60.『大剣者』に隠されていた『小剣者システム』リリース!
突然に始まった『大剣者アーカイブ』に対するランダムアクセスで、システムの案内役というか『大剣者アーカイブ』の管理人だというイブちゃんの指示に従い、初回特典の三つの中から一つを選んだ。
『小剣者システム』だ。
それらしき箱が、突然目の前に現れた。
宝箱のような形になっている。
蓋を開けると……中に十三本の短剣がセットされていた。
「お久しぶりです。マスター、『アーカイブ・ランダムアクセス』はうまくいったようですね」
いつもの中性的な声の『大剣者』が戻ってきた。
“お久しぶりです”と言っても、ほんの二十分程度の話だと思うが。
まぁそれはいいけど。
「『大剣者』、君はさっきガイドしてくれたイブちゃんは別の存在なの?」
「はい。『大剣者』全体のシステム中の別の存在です。イブちゃんは、一緒に暮らす同居人、ファミリーのような存在です。ただ現時点の私では、イブちゃんと自由に交流することはできませんが」
「なるほど。もしかして……他にもそんな存在、いたりしないよね?」
「現時点では、その情報にアクセスすることができません」
そうか……現時点では、突っ込んで聞きたい事は、ほぼアクセスできないわけね。
「『小剣者』システムがリリースされたため、そのシステムを私が掌握いたしました。実際の機能については、私が説明いたします。
その短剣は『小剣者』という名称で、1号から13号と簡易的に命名することにします。
まず剣として使えますので、護身用の短剣として所持するメリットがあります。
ラッシュについては、もともとの武器が短剣ですので、現在の武器の代わりに一本使用することをお勧めします。
それから『小剣者』を通して私と会話をすることができ、戦闘中などアナライズに基づいたアドバイスを提供することが可能です。
また、私が持つアナライズ機能も使えますので、例えば五人がそれぞれ別の場所にいても、同時に魔物などのステータスを確認することが可能です。
現時点で使える機能は、そのぐらいですが、『小剣者』を通して、いつでもお互いに会話をすることができます」
「なるほど。それはすごいな。早速、試してみるかな」
俺はそう言って、みんなで会話してみることにした。
『小剣者』1号を俺、2号をラッシュ、3号をクラウディアさん、4号をイリーナさん、5号をフランソワさんに充てがった。
それぞれ、ある程度離れた距離に移動する。
「『大剣者』、どうやればいい? 『大剣者』に接続してもらうの? それとも直接相手に呼びかければいい?」
俺は、手にした『小剣者1号』に向かって話しかける。
「どちらでも構いません。効率を考えれば、直接呼びかけた方が良いでしょう」
と言うことなので、
「ラッシュ、聞こえる?」
「はい。先輩、聞こえます! 『小剣者』を通しても、先輩の声は素敵です!」
すごいクリアに聞こえる。
そしてラッシュの発言が、少し天然な気がするのは気のせいだろうか……。
まぁそれはいいけど。
俺は、他のメンバーとも確認しあい、通話ができることを楽しんだ。
そして、またみんなで集まった。
「これはすごいわね。離れたところにいても、密に連絡が取れる。それから多分だけど……音声が外には出てるけど、周囲にはあまり大きく聞こえないみたい。でも装備している私には、クリアに聞こえる感じがするわ」
「さすがクラウディアさんです。その通りです。
装備者にはクリアに音声を届け、その周辺にはなるべく聞こえないようにする機能があります。音声を出す以上、完全に聞こえなくすることは無理ですが。
また発する音声も、呟く程度の音量でもしっかり拾い上げて、相手に伝えることができます。ゆえに、周囲に人がいる状況でも、あまり聞かれずにやり取りすることも可能です」
『大剣者』がクラウディアさんの感想に答え、追加説明をした。
そんな機能があるとは、すごいな。
「確か、『念話』っていう心の中で念じて、他の人と話すスキルがあったと思いますけど、それに近い感じですよね」
フランソワさんが、そんなことを言った。
確かに『念話』というスキルについて、聞いたことがある。
心で念じるだけで、相手に繋がって話ができるらしい。
『小剣者』での通話機能は、そこまででは無いにしても、それに近い感覚ではある。
「それから、『小剣者』を持っている者全員を繋いで、同時に話すこともできます。『オープントーク』という機能です」
『大剣者』から、更に追加説明が入った。
全員で同時に会話できるということは……作戦行動中に、逐一連絡を取り合ったり、指示を出し合ったりできるわけだ。
そして情報の共有も一瞬だ。
これはかなり凄い。
俺たちは、その機能を確認するため、再度お互いに離れて、実践してみた。
離れた場所にいて、みんなで会話ができるというのは、不思議な感覚だったが、その有効性を確認できた。
そしてまた集合した。
「『大剣者』、素朴な疑問なんだけど、『大剣者』の『亜空間収納』って、今アクセスできないだけで、いろんな物が入ってたりするの?」
俺は、つい気になって確認した。
どう考えても、この『小剣者』は『亜空間収納』から出したと思うんだよね。
「その情報についても、アクセスできないので、正確にはお答えできませんが、ほぼ間違いないと思われます」
おお、やっぱりそうか。
なんかそれだけでも、今後期待できそうだな。
もっとも、それを取り出すには、よくわからない何かの条件を満たす必要があるんだろうけど。
契約者である俺の成長みたいなことなんだろうが。
後は、運頼みで『アーカイブ・ランダムアクセス』で接続できることを祈ると言うことだな。
そうだ、多分違うと思うが、念のため確認だけしておこう。
「『大剣者』、『アーカイブ・ランダムアクセス』って、毎回こういう役立つシステムに接続して、使えるようになるわけじゃないんだよな?」
「その通りです。『大剣者アーカイブ』に保存されている知識にアクセスしたり、以前の契約者の情報にアクセスしたり、隠されたシステムにアクセスしたり、ということがランダムに発生します。
ゆえに、このようなシステムが必ずリリースされるわけではありません。
貴重な情報が引き出せることもあれば、取るに足らない情報が引き出される可能性もあります」
「やっぱそうか。ただ取るに足らない情報なんて、保存されてるの?」
「もちろんです。例えば……そうですね、前契約者の好きな食べ物とかの情報にアクセスしてしまう可能性もあります」
なるほど、それは確かにどうでもいい情報だな。
やはり、過度な期待はできないってことだな。
何かすごいものにアクセスできたら、儲け物といったところだろう。
今回は、“初回特典”とやらで、すごいものが来たわけだ。
これも“遊び心”の一種なのかもしれないが、ありがたいことではある。
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