59.初回特典を選べと言われても、迷うんだが
『大剣者』が突然宙に浮いて、揺れだしたと思ったら「『アーカイブ・ランダムアクセス』が発動しました——」と言って、動きを止めてしまった。
何が始まるのか、無言で全員が注視する——
「お待たせなのじゃ! 『大剣者アーカイブ』へのランダムアクセスの時間がやってまいりましたなのじゃ! 我のことは、『大剣者アーカイブ』の管理人とでも思ってくれればいいのじゃ」
突然、そんなことを言い出した。
しかも、今までと明らかに声色が違う。
今ままでは、女性というか中性的な感じの声だったが、今回は幼女のような声だ。口調は、年寄りっぽいのだが。
俺を含め、みんな驚いて固まってしまっている。
何か反応してあげないと……
「えっと……」
「あー、みなまで言わないでよろしい。
ちょっとは聞いておるじゃろう、この機能のことを。
今現在アクセスできない偉大なる知識や過去の契約者の記録、『大剣者』が持つ能力に対し、突然、気まぐれに、ランダムにアクセスするというサプライズ機能なのじゃ。遊び心満載で、ワクワクするじゃろ!?」
“どうだ”みたいなトーンで、説明している。
きっと顔があったら、ドヤ顔をしていたに違いない。
だが俺を含めみんな、微妙に反応ができず固まっている。
「なんじゃ、ノリが悪いのう。
まぁ良いのじゃ。
本当ならば、突然アクセスが発生し、ランダムで情報が選ばれ、勝手に取得されることになっておるのじゃ。
今回は、初回限定特典ということで、管理人である我の解説が聞けて、特別に『大剣者』の隠された機能の中で、ランダムに選ばれた三つの中から、好きなものを選べるということになっておるのじゃ。
すごいじゃろ、すごいじゃろ、すごいじゃろ」
うん、何この人……何か説明してくれてるけど……キャラが濃すぎて、いまいち頭に入ってこない。
でもそんな俺の戸惑いは無視のようだ。
「じゃあ早速、大剣者の隠された機能にランダムにアクセスするのじゃ! ランダムアクセス、スタートなのじゃ!」
何この人……一人で盛り上がってますけど。
そして宙に浮かんでる『大剣者』が、そのまま左右に揺れた。
今度は、その場で横回転でぐるぐる回りだした。
「はい、ストップ! パンパカパーン、選ばれたのは……この三つ!」
『大剣者アーカイブ』がそう言うと、空中に映像が映し出された。
どうやら、三つの機能の名前と簡単な説明が書いてあるようだ。
表示されている内容は……
○『英剣戦隊ダイケンジャー』——特殊強化スーツを装着できる。高い防御力、俊敏性、攻撃力を持つ。
装着するスーツの色によって、出せる必殺技が違う。
強化スーツの基本セットは、赤青黄緑桃の五色。
詳細は、ひ・み・つ。
○『小剣者システム』——『大剣者』の拡張機能。
『大剣者』の子機端末『小剣者』で、各種機能を共有できる。
剣としての機能、『大剣者』及び『小剣者』の使用者間での通信機能、『大剣者』のアナライズ機能が使える。
『小剣者』の基本セットは十三本。
○『剣者ファミリーシステム』——『剣者』という魔法AIユニットを活用できる。
対象物に突き刺すことで、搭載魔法AIが対象物の全容を把握。『ファミリーゴーレム』として操作可能となる。対象は固形物に限られる。
また剣に対して装着した場合は、その剣は宙を浮いて、自律行動で敵を攻撃することができる『フライングソード』となる。
『ファミリーゴーレム』の場合も『フライングソード』の場合も、『大剣者』が統制し操作できる。
『剣者ユニット』の基本セットは、九本。
なんか、どれもよくわからないが、凄そうではある。
でも急に選べと言われても……
「『大剣者』いや、『大剣者アーカイブ』、ちょっとみんなで相談したいんだけど、時間ってある?」
「しょうがないのじゃ。ちょっとだけ待つのじゃ。
それから我のことは、イブちゃんと呼んでくれればいいのじゃ。アーカイブのイブちゃんという単純なネーミングじゃからって、馬鹿にしたら、許さないのじゃ!」
何か言っているけど、まぁいいや。
とりあえず時間がもらえたので、みんなと相談する。
結論が出た。
強くなる事は、優先事項ではあるが、それは別の手段というか、努力で何とかなる部分もある。
そこでまず、一番目の『英剣戦隊ダイケンジャー』は、除外された。
そもそも、どういう内容なのかも、いまいちピンとこないし。
そしてなんとなくだが……“遊び心”感を強く感じて、微妙だし。
今一番必要なのは、お互いに密に連絡が取れること、周辺情報や敵のステータスなどをいち早く確認できることだということになった。
そこで、二番目の『小剣者システム』を選ぶことにした。
俺的には、三番目のゴーレムが作れる『剣者ファミリーシステム』も魅力的だったのだが、やはりいろんな局面で、仲間たちと密に連絡ができることを優先と考えた。
それに現時点では、『オートフォース』と『クマゴロウ』が四体もいるから、今すぐ補強する必要もないのだ。
「イブちゃん、お待たせ。それじゃあ二番目の『小剣者システム』でお願いしたいんだけど」
「わかったのじゃ。ほんとにそれでいいのじゃな? 今回選ばなかったシステムは、今後またランダムアクセスで取得できるかも知れんが、そんなチャンスは来ないかもしれんのじゃ。運次第じゃからな」
「いいよ。それで」
「わかったのじゃ。では『小剣者システム』リリースなのじゃ! そして、またいつの日にか、さよなら、なのじゃ。バイナラなのじゃ……」
イブちゃんがそう言うと、『大剣者』の鞘の亜空間収納からだと思うが、四角いボックスが現れた。
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