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56.国って宣言すればいいのか? ノリでいいのか?

 『みんなで、ここで生きていく。そして、鍛えて強くなろう』という決意を新たにしたところで、仲間として、お互いのレベルやスキルの確認をすることにした。


 新たに合流したイリーナさん、フランソワさんについては、俺は詳しく知らないし、クラウディアさんもラッシュも俺も、今回の戦いで、レベルが上がっている。

 新しい『通常スキル』を取得した者もいるので、そこら辺も含めて、確認しておこうということになったのだ。


 そして、改めて挨拶みたいな感じになってしまった。

 俺としては、なんか今更で、少し照れくさい。


「ヤマト君さぁ、私のことは、イリーナでいいから。年上だけど、気軽に呼んで」


「私もフランソワでいいわ」


「だったら、私のことも、“さん付け”しなくていいわよ。クラウディアって呼び捨てにしてもらったほうが……逆に嬉しいかも」


 メリーナさんとフランソワさんはわかるが、なぜにクラウディアさんまで。


 完全に、便乗して楽しんでいるようだ。

 イタズラな笑みを作っている。


「年上だし……“さん付け”のほうが楽なんだけど」


 そんなふうに言ってみたのだが……


「すぐ慣れるよ、慣れの問題だからさぁ。まずは呼んでみて」


 イリーナさんが、ちょっと強引に絡んできた。

 というか顔を近づけて見つめているので、このままうやむやにはできそうにない。

 しょうがない。


「……イリーナ」


「そう、それでいいの! 言ってるうちに、慣れるから」


 イリーナさんは、満足そうに声を弾ませた。


「まぁずるい。私にも言って」


 今度は、フランソワさんだ。


 面倒くさいが、しょうがない。

 この状態を早く終わらせたい。


「……フランソワ」


「いいわね。なんか親しくなったって感じ」


 フランソワさんは、イタズラな視線を俺に向けてくる。


「ちょっとずるい! ヤマト君、私も、さぁ早く、クラウディアって呼んで、呼んで、呼んで」


 クラウディアさんが、そう言いながら迫ってくる。

 おかしい……この人、こんなキャラだったか?


 多分、イリーナさんとフランソワさんが無事に合流して、嬉しくてハイテンションになっているだけだろう……そう思いたい。


 まぁいい、面倒くさいから、早く終わらせよう。


「……クラウディア」


「あーん、いいわ。やっぱり、いい……」


 なぜか、うっとりとしている。


「じゃぁ俺のことも、ヤマトでいいから」


 俺は、みんなにそう言ったのだが……


「ダメです! 先輩は先輩です! “ヤマト先輩”は譲れません!」


 ラッシュが、凄い圧で手を挙げながら抗議した。


 ラッシュは、俺より年下で、もともと“さん付け”されてないので、会話に入れないでいたのだが、ここぞとばかりに手を挙げ、立ち上がったのだ。


「そうね。私もヤマトって呼び捨てにしてみたいけど、最低でも“君付け”をしたほうがいいわね」


 クラウディアさんが、思案げな表情でそんな発言をした。


「ラッシュの主張は、年下っていうこともあり、なんとなくわかりますけど、なんでクラウディアさんが呼び捨てにするのはダメなんですか?」


「だって、これから国を作って王になる人を、呼び捨てはできないわ。君呼びが限界よ。呼び捨ては……そういう時が来るまで楽しみに取っておくわ、ふふ」


 王になるって……。

 国を作ろうなんて話はしたけど、それって俺が王になるということになるわけか……。


 まぁその話は置いておくにしても、“そういう時が来るまで楽しみに取っておく”というのは、どういう意味なんだろう?


 色っぽく俺を見つめて微笑んでるんだけど……まさか……いや、そんなわけないな。


 それにそもそも、仮に将来、王になるとして、今の時点で呼び捨てにするのも、君付けも大差ないと思うんだが。

 基準がよくわからない。


「じゃぁ私もヤマト君で」

「そうね、いずれ陛下って呼ばなきゃいけなくなるかもしれないから、今のうちにヤマト君って呼んでおこう」


 イリーナさんとフランソワさんは、楽しんでる感じだ。


「私は、先輩が国王になっても、先輩って呼んでいいですか?」


 ラッシュが少し目を潤ませながら、祈るような顔で俺を見る。


「もちろん先輩でいいし、国王になるとか言われても、全くピンとこないんだけど。

 国のかたちになるなんて、いつかになるかわからないし。

 このままずっと五人かもしれないよ。

 村ですらない、一つの家族のままかも」


 俺がそう言うと、ラッシュは安堵の表情を浮かべ、他のメンバーはニヤッと笑った。


「でも楽しくていいじゃない」

「それに国なんて、勝手に国って宣言しちゃえばいいんじゃないの?」

「ふふ、五人の国もありかもね。魔境に暮らすんだから、何でもありでいいんじゃない」


 クラウディアさん、イリーナさん、フランソワさんは、どこまでも楽しんでいる感じだ。


「でも勝手に宣言したって、誰も認めてなきゃ国じゃないんじゃないかな」


「確かに、冷静に考えればヤマト君の言う通りなんだけどね。どこからも相手にされないければ、国として機能しないと思うし。でも開き直って、自給自足で自分たちだけで暮らせば、立派な国じゃない?」


「まぁ確かに、別に他の国と外交がしたいわけじゃなくて、のんびり自由気ままに暮らしたいだけだから。

 堅苦しく考えなくても、いいのかもしれないけど」


「そうよそうよ」


「私も賛成です」


「じゃぁ堅苦しく考えずにさぁ、国って宣言すれば! 五人だけど。

 そうすれば『カントール王国』がまた軍を派遣したら、戦争行為になるし。

 コテンパンにして、戦争賠償でお金を巻き上げちゃえばいいんじゃない?」


「それいいかも! 『ショウナイの街』に行って、守護に国を作ったから、今度襲ってきたら戦争だぞって言いに行っちゃう?」


 クラウディアさんとラッシュの賛同はいいとして、イリーナさんとフランソワさんがちょっと暴走気味だ。


 この二人は、あくまでノリの良いキャラのようだ。


 なんか、なし崩し的にこの案が採用されそうで怖いから、話を変えよう。

 というか、本来のステータスの確認をしてしまおう。



 それにしても……女子四人のノリについていくのは、意外と大変だったりする・・・・。


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