51.我慢できずに『献身』発動!
俺は次に、鋼鉄製のクマ型ゴーレムを確認した。
『名称』が、『黒魔鋼のゴーレム タイプベアー(黒魔鋼狼)』となっている。
……タイプベアーは、わかるけど…… 黒魔鋼狼ってなに?
そんなサブネームいる?
熊なのか、狼なのか、はっきりしてほしい!
てか、どう考えても見た目が熊だから、これで狼って言われても衝撃でしかないけど。
それとも何かの特別な機能が……?
『名称』に焦点を当て詳細表示と念じるが、何も表示されない。
……後にしよう。
『階級』は『極上級』だった。
『オートホース』の『究極級』よりは下だが、『オートホース』のように魔法AIが搭載されている。
魔力を流して起動し、単純な指示を出して行動させることができる。
ほぼ『オートホース』と同じような感じだ。
まぁまだ修復前で、試してないから実際の使用感はわからないが。
『オートホース』ように武装が内蔵されているかどうかは、現時点ではわからない。
さっきもやったように、詳細表示と念じても、何も表示されないのだ。
修復して、確かめるしかなさそうだ。
それに修復すれば、『大剣者』の超魔法AIが、『オートホース』にしたのと同じように、クマ型ゴーレムの魔法AIにもリンクして、制御できるようになるかもしれない。
そうすれば……武装があるかどうかや、隠し機能があるなども、把握できるはずだ。
名前に隠された“狼”についても、判明するかもしれない。
ただの“お遊び”の可能性もあるが……。
ちなみにクマ型ゴーレムと言うのは、面倒なので、この際、『クマゴロウ』と呼ぶことにした。
なんとなく、製作者の思う壺な気がして……少し不本意だが。
それはさておき、やはり修復してしまって、いろいろ確かめてみたい。
俺は、この場で修復に取り掛かることをみんなに話した。
今日合流したイリーナさんやフランソワさんはもちろん、ラッシュやクラウディアさんも、物に『献身』を発動するところは見たことがない。
みんな興味津々といった表情だ。
俺は、『クマゴロウ』と戦車のセットを、四つまとめて『献身』の対象に指定する。
数が多いと、それだけ一気にダメージを受けるが、一つやっても多分俺のHPは1になる。
だったら、まとめた方が一回で済む。
どっち道、完全に近い状態まで修復するには、何回も繰り返さなければいけないので、まとめることで、そもそもの回数を少なくしたいというのもある。
『献身』スキルを発動する——
——ぐっ
やはりHPは1になった。
すぐにフランソワさんが回復魔法をかけてくれ、楽になった。
全回復はしていないので、自分で『光魔法——光の癒し手』をかけ、完全回復する。
俺は、これを更に五回繰り返した。
……完全に近いところまで、修復できた。
というか、王国軍が持ってきた状態よりも、よくなっている気がする。
多分、間違いない。
経年劣化もあっただろうし、ある程度のダメージはそのままにしていた可能性もあるからね。
それにしても……新品みたいでいい感じだ。
四台並べて、まずは戦車……鋼鉄馬車から確認する。
中は……めっちゃ広い!
やはり空間が、五倍に拡張されているようだ。
みんなも驚いている。
馬車の後ろの扉を開いて、四台全てを覗き込む。
四台のうちの二台は、椅子が配置されていて、やはり五十人ぐらい乗れるようになっている。
ふと思ったが、かなりの重さになるはずだ。
これを牽引できるクマ型ゴーレム『クマゴロウ』の能力は、それだけで凄いと言える。
残りの二台は、何もないただの空間が広がっている。
「ねぇ、この一台さぁ、内装とか充実させて、くつろげる部屋にしてもいいんじゃない?」
クラウディアさんが、楽しそうにそんな提案をした。
「それいいかもです! これから『北端魔境』を探検するときに、移動する家として使うっていうのはどうです?」
ラッシュもノリノリだ。
「あーそれいいかも! くつろげる拠点って大事よね。遠征用の拠点として最適ね」
フランソワさんも、目を輝かせている。
「じゃぁさぁ、トイレとかも作っちゃえばいいんじゃない。中に個室とか作れるよね? こんなに広いし。本当は汚れを流せるように、お風呂があると最高なんだけど」
イリーナさんがそんな話をすると、女性陣は全員大きく頷いた。
やはりトイレは大事だよな。
トイレは、排泄物を薬草で分解するものが一般的で、水を使わないから設置できそうだ。
風呂は水を使うから、工夫が必要だろう。
でも、何とか工夫すれば、外に排水できるようにできると思う。
お湯を沸かすのは、魔法道具がないと大変だから、とりあえず水浴びができればいいかな。
やろうと思えば、貯めた水に炎まとわせた『大剣者』を入れて、お湯にする手はありそうだが。
まぁそれにしても、水の取り込みが問題だ。
ただこれも、『魔法の水袋』があるから、あれを何回もぶちまけて水を貯めるという手はある。
まぁそこら辺は、後で考えることにしよう。
「じゃぁ一台を、その方向でみんなで改造しようか?」
俺がそう言うと、みんなは歓声を上げた。
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