47.瀕死の兵士たちを救うために『献身』発動!
……ふう、何とかなった。
突然の悪魔召喚には驚いたが、なんとか凌ぎ、そして倒した。
クラウディアさん、ラッシュ、イリーナさん、フランソワさん……俺の仲間たちは無事だ。
王国軍の被害は甚大だ。
何人もの兵士が倒れている。
この感じ……死者もかなり出ているようだ。
そして今現在も、瀕死の者たちがいる。
早く回復しなければ、更に死者が増えそうだ。
みんなに『光魔法——光の癒し手』をかけてやりたいが、数が多すぎる。
一人ひとりにやっていたのでは、時間がかかってしまう。
手遅れになる人が出そうだ。
……どうするか。
そうだ! やってみるか。
俺は、瀕死の人たちを一気に救う方法に思い当たった。
それは、ここにいる重傷者全員を、俺の固有スキル『献身』の対象に指定することだ。
後からでも指定することができると分かったので、それを行えば、兵士たちが受けているダメージを、半分引き受けてやることができる。
そうすれば、一刻を争う瀕死の者は、命を繋ぎ止めるだろう。
もちろん、これだけの人数を一気に指定したら、確実に俺のHPは1になる。
だが逆に言えば、何十人分のダメージを引き受けても、HP1で踏みとどまれる。
何とかなるわけだ。
もちろん、HP1の状態で攻撃を受ければ、俺の身が危ないわけだが、既に戦闘は終わっているし、俺の仲間たちを配置して、すぐに回復魔法をかけてもらえば大丈夫だろう。
俺は、仲間たちに来てもらって、この方針を伝えた。
そして俺の周囲で、万が一の為の防衛と、回復を依頼した。
まず見える範囲で、重傷と思われる人たちを視線でロックオンして、『献身』対象者に指定した。
そして『献身』を発動する——
——ぐぅぅぅ
やはりHP1になった。
うずくまった俺を見て、ヒーラーのフランソワさんが、すぐに回復魔法をかけてくれた。
楽になったが全回復ではないので、残りの回復は自力で『光魔法——光の癒し手』を発動し、完全回復する。
やはり仲間がいると言うのは、良いものだ。
安心感が全然違う。
今実際に、多くの兵士たちのダメージを、後から引き受けて思ったが、どうせ俺のHPをはるかに超えるダメージを引き受けて1で踏みとどまるなら、一回で済ませた方が良い。
全員を指定するのに多少時間はかかるが、一人ひとりに回復魔法をかけるよりは、はるかに少ない時間で済む。
俺は、みんなと一緒に戦場を移動しながら、ダメージを受けた兵士を『献身』対象者に指定する。
やりながらわかったことだが、この指定は、今のところ上限は無いように思える。
そして、指定に時間がかかったからといって、最初に指定した者が取り消されることも無いようだ。
結果、重傷者以外の兵士も、指定してしまった。
そして、『献身』を発動する——
——ぐあぁぁ
当然HPは1になったが、すぐにフランソワさんが回復してくれた。
これで、命の危うい者はいなくなったはずだ。
そして忘れずに、『献身』の対象者から解除しておく。
「先輩、壊れた物が直せるなら……死んじゃった人を生き返らせるとか……さすがにできないですかね?」
ラッシュが、そんな発言をした。
考えてもみなかったなが……もしそんなことができたら、凄い。
ダメ元で試してみるか。
俺たちは、なるべく人の目が向いていない場所にこっそりと移動し、亡くなった人に対して、密かに『献身』を発動してみた。
すると……俺のHPは大きく減り、対象者の体の傷は、ある程度回復した。
つまりダメージの半分を引き受けることは、できたようだ。
だが、それだけだった。
生き返りはしなかった。
死体の損傷の程度が、軽くなっただけなのだ。
物との違いは、魂があるかどうかだと思う。
魂が抜けてしまった後の死体に、『献身』を発動しても、魂が戻ってくる事は無いのだろう。
まぁ死者を蘇らせるなんて、それこそ神の御業だからな。
少しがっかりしつつ、思考を巡らせていたら、つい馬鹿げた考えが脳裏をよぎった。
傷んだ魔物の死体に『献身』を発動したら、新鮮な肉として蘇るってことだろうか?
もっと言うと、肉として食べた後に一部分残しておいて、『献身』を発動したら、元の状態に戻って、無限に肉を食べ続けられるってことだろうか?
そして貴重な魔物素材を外した後に、『献身』を発動すれば、また現れて素材が取り放題ってことだろうか?
更には、魔物をバラバラに切って、それぞれに『献身』を発動したら、バラバラにした数分だけの魔物の死骸が現れるってことだろうか?
ダメだ……悪魔との戦いで疲れているのか、思考が変な風に暴走してしまった。
我ながら少し笑ってしまう馬鹿な発想だが……冷静に考えたら、これができたらできたで、超絶に凄い!
一度、試してみたほうがいいかもしれない。
だが今は、このぐらいにしておこう。
俺は、思考を切り替える。
そういえば……そもそも、死者を蘇生する魔法とかは、無いんだろうか?
少し気になったので、クラウディアさんに尋ねてみた。
「文献では見たことがないわね。もしそんなものがあるなら、国は躍起になってその資料を探したり、使い手を探すはずだから、多分ないんじゃないかしら」
なるほど、それはそうかもしれない。
死から蘇る魔法なんてあったら、権力者は躍起になって探すだろう。
それが行われていないという事は、そんな都合のいい魔法は無いということだな。
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この物語は、私の書いているもう一つの連載「異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜」と、同一世界線の違う時代の違う場所の物語です。
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