45.VS盾の中級悪魔
巷では聖女とも言われていたユーリシアは、悪魔の手先で悪魔契約者だった。
魔王の『称号』を得たジャスティスは死んだかに見えたが、ユーリシアは死んでいないと言って、周りの死体とともに消えてしまった。
迷惑な置き土産を残して。
下級悪魔四体と中級悪魔一体を、召喚していったのである。
下級悪魔四体のうち三体は王国軍が対応し、残る一体はクラウディアさん、ラッシュ、イリーナさん、フランソワさんが連携し対応している。
彼女たちについては、俺の固有スキル『献身』の対象として指定しているので、受けたダメージの半分を俺が肩代わりしてやれる。
だが、それでも危険な相手であることは間違いない。
それに彼女たちが一気にダメージを受ければ、俺のHPが急激に減り、俺が危うくなる。
そうなる前に、まずはこの中級悪魔を倒してしまわないといけない。
そして早く、彼女たちの救援にいかなければ。
「『大剣者』、少しの間、自律行動で奴を牽制できるか?」
「イエス、マスター。もちろんです」
『大剣者』は、鞘と共に俺の腰のベルトに差していたのだが、自分で鞘から抜けて空中を浮遊し、中級悪魔に向かった。
『大剣者』は、盾の中級悪魔の前で、牽制するように宙を舞い、スピードの変化をつけて突進し、斬り付けた——
——ザンッ
切れ味抜群で、見事に盾を切り裂いた。
が、奴の盾はすぐに復活する。
だが、『大剣者』のお陰で、奴の動きは暫し止まった。
その隙を逃さない。
俺は、一気に距離を詰めて、聖剣を振り下ろす——
——ザンッ、ザザンッ
渾身の一振りが、青い閃光と共に中級悪魔を引き裂いた。
が、紙一重で体を躱され、左肩から腕を切断するに留まった。
奴は距離をとり、時間を稼ぐ。
すぐに、切断された肩のところから、回復してきている。
盾同様、体のパーツも再生できてしまうようだ。
やはり、体の正面を貫かないとダメだ。
前に『勇者選定機構』の研修で聞いたことがあるが、再生能力がある魔王や悪魔などを倒すには、致命傷を与えなければならないとのことだった。
手や足などではなく、頭部や胸部を吹き飛ばさなければならないのだ。
もう一度だ。
悪魔に対して、聖剣の威力が抜群なのはわかったから、それを体のど真ん中にぶち込むだけだ。
「驚きですねー。聖剣を使いこなせる者がいるとは。危ないところでした。だが同じ手は、通じませんよ。そう、もうあなたに勝ち目は無いのです。もはや、力押しで行けば、勝てちゃいますね。ヒョホッホ」
中級悪魔が口を開いた。
初めて声を発したが……耳障りな、身の毛がよだつような気持ち悪い声だ。
力押しと言った通り、奴は、発生させた盾を次から次へに投げつけてくる。
めちゃくちゃな攻撃だ。
だが……そのせいで、距離を詰められない。
飛んでくる盾は、聖剣で両断したり、避けたりしているが、数が多くて……だんだん厳しくなってきた。
まさに力押しされている感じだ。
——ドンッ
「ぐあぁ……」
避けたはずの盾が、後方で反転して、回転しながら俺に当たった。
……全身に激痛が走る。
……やばい。
だが、意識を失わなくてよかった。
俺はすぐに、『光魔法——光の癒し手』で自分を癒す。
だがこの状況……まずいな。
盾の悪魔の盾の使い方が、進化している。
そんなふうに思ってしまったからか、盾の悪魔はさらに大胆な攻撃を放つ——
全身に鱗のように纏っていた盾を、一気に空中に放り出したのだ。
その盾は、まるで生き物のように、軌道を変えながら俺に向かってくる。
「ソーラーレイ!」
俺は左手をかざし、指の先から太陽光線を発射する——
広げた五本指すべてから光線を発射し、そのまま手を動かし、向かってくる無数の盾を撃ち落とす。
だが、これでもすべての盾は、防ぎきれなかった。
軌道を変えた盾が、三つ四つと俺に迫り、避けきれず、数枚被弾してしまった。
『大剣者』が縦横無尽に動き、何枚もの盾を切断してくれたのだが、数枚は被弾し、そのうち一つは背中に直撃した。
「ぐふぅ、ぐあぁ……」
……呼吸ができない。
意識が飛びそうだ。
……ん、急激に回復してきた。
これは、回復魔法……?
どうやらヒーラーのフランソワさんが、俺に回復魔法をかけてくれたようだ。
彼女は、ラッシュたちと一緒に、下級悪魔と対峙していて、俺の場所からは結構離れている。
この距離でも……回復魔法が届くのか? 凄いな。
俺がフランソワさんを見て、礼の意味で頷くと、彼女も頷いた。
「ヒョホッホ、人間、しぶといですね。
お前のような者がいるのは、全くの予想外。でも楽しめました。
ですが……ここまでにしましょう。
こんな不確定要素は、蕾のうちに潰すのが一番です。
私にとってはラッキーでした。
お前にとっては、私との出会いがアンラッキーでしたね。ヒョホッホ」
盾の中級悪魔は、嗜虐の笑みを浮かべている。
くそ、悪魔とはこれほど強いのか……。
『勇者選定機構』での研修で、過去に存在したとされている魔王や、それを助けたとされている悪魔の情報も、ある程度勉強させられた。
下級悪魔と言われる比較的出現しやすい悪魔でも、並の兵士では全く敵わない災厄。
表示されるレベルよりも、はるかに強いということだった。
中級悪魔にもなれば、最強の騎士団やトップランクの冒険者が束になってかかっても、敵うかどうかということだった。
なぜか、今そんなことを思い出した。
研修を受けているときは……現実味がなく、聞き流す感じだったが、改めて思う……悪魔は厄介だ。
上級悪魔になると、勇者でも倒せるかどうかということだった。
ここに現れなかっただけ、幸いと思える。
もし上級悪魔まで現れたら、ここの全員が終わっていただろう。
それを思えば、まだましな状況だ。
俺は、自分に言い聞かせ、自分を奮い立たせる。
なんとしても、この中級悪魔を倒し、ラッシュたちを助けに行かないと。
「『大剣者』、切り札はいけるな?」
「イエス、マスター」
まだ俺たちには、切り札がある。
魔物の群れを倒すために使う予定だった攻撃、まだ打ち合わせをしただけの段階だが、それを奴にぶち込む!
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この物語は、私の書いているもう一つの連載「異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜」と、同一世界線の違う時代の違う場所の物語です。
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★★こちらの作品も、異世界転生転移部門で日間24位まで浮上中です。
合わせて感謝御礼申し上げます。
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