43.魔王の称号、ジャスティスによる惨劇、ユーリシアの愉悦
勇者ジャスティスは、怒り狂い発狂した。
奴の周りに、黒い靄のようなものがかかった気がしたが、それは奴の異変を示すものだった。
『大剣者』がアナライズによって、奴の身に起きた変化を確認したのだ。
ジャスティスのステータスが、変化したのである。
『称号』にある『勇者の可能性』が、『堕ちた勇者の可能性』に変わり、更には、『反転による魔王の可能性』『反転魔王(闇落魔王)』という称号を獲得している。
おそらく……奴の強い想念が……悪いほうに花開いてしまったのだろう。
『堕ちた勇者の可能性』になり、それにより『反転による魔王の可能性』になった。
そしてそこにとどまらず『反転魔王(闇落魔王)』という魔王の『称号』まで得てしまったという事のようだ。
「『大剣者』、他のステータスの変化は?」
「レベルやサブステータスに示される能力値などに変化はありません。特殊なスキルも獲得したわけではないようです。魔王の『称号』を得たと言っても、まだ成り立ての卵状態と思われます」
なるほど、現時点では特に大きな力を得たわけではないのか。
だがいずれにしろ、放っては置けない。
ジャスティスは相変わらず絶叫しているが……ん、ユーリシアが、ジャスティス向かって何かを投げた!
その何かは、まるで意思があるかのように動き、ジャスティスの首に巻きついた。
「ぐおうぅぅぅぅ、グギャァァァ、ぎぃぃぃぃ」
ジャスティスが、苦しみだした。
「『大剣者』、あの首輪みたいな物が何かわかるか?」
「確認しました。「名称』が『悪魔宿しの首輪』となっています。
詳細表示に示される情報によれば、悪魔が作り出した特別なアイテムで、魔王もしくはその可能性がある者を、悪魔の邪念で拘束し悪意を増幅させるようです。
真の魔王、悪の魔王を作り上げ、従わせる強化・強制アイテムとも表示されています」
なにそれ!?
悪魔のアイテムなのか?
それをユーリシアが付けたのか!?
どういうことだ……?
「この世界を脅かす存在、それが悪魔です。現状を分析するに、ユーリシアは悪魔の手先と考えるべきでしょう。そして魔王の『称号』を得たばかりのジャスティスを、『真の魔王』にしようとしているのでしょう」
『大剣者』の現状分析は恐るべきものだが、おそらく、その通りなのだろう。
『真の魔王』なんかになられたら大変だ。
今のうちに倒してしまわないと!
ん!?
ジャスティスの苦しみが止まった。
絶叫を止め、息荒く呼吸している。
目は、真っ赤に充血している。
「うりゃァァァァ!」
——ザウンッ
「きゃっ……」
「ぐおうぅ」
「な、……」
周囲にいた勇者パーティーのメンバーを、いきなり斬り倒した。
……一瞬だった。
くそ!
魔法使いのマルリッテ、第二位パーティーのタンクとロングアタッカー、三人とも倒れ込んで動かない。
「うりゃァァァァ、たァァァァ」
ジャスティスはそのまま周囲の兵士たちをも、切り捨てていく——
これ以上はさせない!
「ソーラーレイ!」
指先から発射したソーラーレイが、ジャスティスの右肩を射抜いた。
体のど真ん中をぶち抜いてやろうと思ったが、奴の激しい動きで、ずれてしまった。
だが動きは、止まった。
そして、トドメだ——
ん!
——グシャッ
「ぐあぁ……」
ジャスティスの体を、背後から剣が貫いた!
心臓を貫かれたらしく、ジャスティスは動きを止めた。
ジャスティスの背後にいるのは……剣を突き立てたのは、第二位パーティーの勇者候補ジェイスーンだ。
突然、ジャスティスの背後に現れ、剣を突き立てたのだ。
危なかった。
突然現れたジェイスーンに気付くのが遅れたら、ジェイスーンごとジャスティスを撃ち抜いていた。
……聞いたことがある。
ジェイスーンは、特別なスキルを持っていると。
『縮地』と言う……対象との距離を一瞬で縮める、瞬間移動のようなスキルを持っているとのことだった。
おそらく、それを使ったのだろう。
俺の攻撃で動きが止まったところを利用し、一瞬で背後から刺し貫いたのだ。
そして勇者ジャスティスは、やはり絶命したようだ。
剣を抜かれ、そのまま地面に崩れ落ちた。
周囲にいる兵士たちは、突然のことに、固まってしまっている。
早く負傷者を回復するべきなのだが。
「『大剣者』、倒れた者たちの状況がわかるか?」
「確認しました。
ジャスティスは生命活動が停止、死亡したようです。
その周囲に倒れている者も、皆死亡しています。致命傷に至らない傷の者まで、死亡しています。
ジャスティスの攻撃に、特殊な力があったのかもしれません。
合計十三名の死亡です」
ジャスティスは、ほんとに死んだらしい。
そして勇者パーティーのメンバーも、ユーリシア以外は死んだってことか……。
そして周辺にいた兵士にも、犠牲が出た。
ほんの一瞬の出来事だった。
それにしても、斬られた者がみんな死んだなんて……。
やはりジャスティスの攻撃は、特別な力があったのか?
「ふふふ、これは思わぬ成果。新たな因子まで育った。
そして当初の予定通り、勇者ジャスティスは、反転して魔王となった!
ハハハハハハ」
なんだ? ユーリシアが高笑いしている。
その勝ち誇ったような声は、当然周りの者にも聞こえている。
「ユーリシア、お前、何を言ってるんだ!?」
二番手勇者ジェイスーンが、驚きの声を上げる。
奴は、さっきユーリシアがジャスティスに首輪をつけたのを見ていなかったのか、ほんとに驚いている。
問い詰められているユーリシアは、ジェイスーンを吟味するように、下から上へと視線を送り、怪しい笑みを浮かべた。
「ふふふ、いいわね。あなた……これで、ジャスティスにかわり、勇者となれるわね。望み通りかしら?
ただ、残念ながらジャスティスは死んでないわよ。そう簡単には死なないわ。
でもあなたは、良い仕事をしたわ。
この瀕死こそが、真の魔王としての覚醒に繋がる。
そのための贄としては、殺した数が少し足りないけどね。
ふふふ、まぁいいでしょう」
ユーリシアが、嗜虐の笑みを浮かべている。
彼女が言う通り、ジェイスーンはこの状況を利用し、ある意味ジャスティスを暗殺したのかもしれない。
だが、勇者候補だった者として、魔王の『称号』を得た者を倒すのは当然とも言える。
むしろ賞賛されることだろう。
気になるのは、ジャスティスが死んでいないという発言だ。
『大剣者』のアナライズは、死んだと言っていたが……。
魔王の『称号』を得たことで、何か特別な力が働いているのか?
もしくは、あの首輪の力?
読んでいただき、誠にありがとうございます。
ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。
評価していただいた方、ありがとうございます。
次話の投稿は、本日中の予定です。
もしよろしければ、下の評価欄から評価をお願いします。
励みになります。
ブックマークも、よろしくお願いします。
★★感謝・御礼
ハイファンタジー部門で日間2位、日間総合ランキングで8位に入ったいました。
ご愛読に心から感謝いたします。
まだブックマークや評価をしていない方で、もし応援していただけるようでしたら、よろしくお願いいたします。
この物語は、私の書いているもう一つの連載「異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜」と、同一世界線の違う時代の違う場所の物語です。
https://ncode.syosetu.com/n8768ff/
★★こちらの作品も、異世界転生転移部門で日間31位まで浮上中です。
合わせて感謝御礼申し上げます。
もしよろしければ、そちらも読んでみてください。
よろしくお願いします。




