35.聖剣に秘められた職人のような技能
『聖剣 カントローム』を改めて握り、魔力を流そうと思っていたら、魔力とは別の生命エネルギーのようなものを吸い上げられる感覚に襲われた。
そのままの感覚に任せていると……なんとなく聖剣と一体感が芽生えてきた。
聖剣が自分の腕の延長のように、体の一部のように感じられる。
……ん!
頭の中にイメージが流れ込んできた。
言葉が思い浮かぶ……おそらく発動真言だろう。
「聖なる突風」
俺が思わず言葉にすると……剣先から砂塵が噴出した。
そして……この感覚……イメージで出力が調整できるようだ。
砂塵を絞ると高圧縮になり、まるで俺の『光魔法——太陽光線』のような感じになった。
威力が高い攻撃として、そして遠距離攻撃として使えそうだ。
ふと思ったが……威力を小さく調整できれば……研磨とかにも使えるかもしれない。
そして逆に攻撃範囲を広げるイメージで膨らませると、砂嵐のようになった。
これは範囲攻撃として、使えそうだ。
「やはり聖剣はすごいな!」
無意識にそんな言葉が口から出てしまった。
「マスター、確かに聖剣は素晴らしい剣ですが、わたくしこと『大剣者』に瞬殺されたことをお忘れなく……」
『大剣者』がそんなこと言った。
瞬殺って……。
というか、『大剣者』さん……面白くない感じの発言なんだけど……。
魂がないって言ってたから……感情のようなものは、ないんじゃないかと思うが、超魔法AIだから……そういう人が持つような感情もあったりするのだろうか……?
「もちろん忘れてないよ。『神器級』は伊達じゃない。この聖剣も、『大剣者』が倒して仲間にしたようなもんだから、『大剣者』の子分みたいなもんだな」
俺がそう言うと、『大剣者』は宙に浮いて、三回ほど左右に揺れた。
なんとなく、嬉しそうな雰囲気が伝わってくる。
それはいいとして……聖剣を握り続けていたら……もう一つ発動真言が、そして使用のイメージが……
俺は、そのイメージのまま、聖剣を地面に突き刺す——
「聖なる赤土壁」
発動真言を唱えると、剣を突き刺した地面の少し向こう側に、大きな土壁が出現した!
まるで土魔法で作る壁のようだ。
これも凄いな。
しかもこの壁……かなり強固だ。
ただの土壁ではなく、焼き上げたレンガのような硬さがある。
そして分厚く大きな壁が出せる。
魔物と戦うときの簡易的な戦闘陣地としても使えるだろう。
この機能で、もっと巨大な壁が出せれば……この『魔境台地』に作る予定の外壁が作れるんだが……。
「マスター、現時点でもかなり聖剣の性能を引き出しているようです。適性が高くなければ、最初の使用でこれほどの壁を出せないでしょう。今後の精進により、更に大きな壁を出現させることも可能と考えます。具体的なイメージ力、注げる魔力量などで、外壁並みのサイズも作成可能かもしれません」
『大剣者』は、俺の心の内を見透かしたかのように、そんな指摘をしてくれた。
やはり俺のイメージ力を鍛えたり、注げる魔力量が増えれば、巨大な外壁もこの剣で作れるかもしれない。
楽しみだ。
ちなみに、この聖剣に最初に触れるときは、生命エネルギーのようなものが吸い上げられたが、技を発動するときには、普通の魔法道具と同じように魔力を消費するのである。
「マスター、壁の規模を小さくし、硬さを極限までイメージして、もう一度技を発動してもらえますか?」
『大剣者』が今度は、そんな要望を言ってきたので、その通りにやってみる——
すると、超高密度な感じの……圧縮された土の壁が出た。
最初に出したものよりも、かなり固そうだ。
「マスター、私を使い、この土壁をレンガサイズに切ってみてください」
『大剣者』が追加の要望を告げる。
なるほど、『大剣者』の言わんとしてる事が、わかった気がする。
言われた通りに、切断する。
うん、これはまさにレンガだ!
「なるほど、この技を使えば、簡単にレンガが作れてしまうわけだ。
煉瓦職人いらずってわけだ!」
「その通りです。また今後、街の道路を作るときの石畳としても使えます。
細かく分けた石を張るデザイン的なものにしても良いですし、この土壁を大きく利用した巨大なパーツを作って、効率的な一枚岩の石畳にしてもいいと思います」
「おお、いいね」
さすが『大剣者』だ。
これはいろいろ使えそうだ。
この壁を大きなサイズで切って組み上げれば、石造りの家もできるだろう。
レンガを積み上げる家もいいが、一枚岩的な感じで石を配置して家ができれば、作るのも効率的で良いかもしれない。
もちろん、壁が倒れないような工夫はいるんだろうけど。
材木で作る家だけでなく、レンガ作り、石造りの家もできてしまう。
素晴らしい!
ただ冷静に考えると、レンガにしろ石造りにしろ、接合部分がしっかりできないともろいから、やはり職人技みたいなものは必要かもしれない。
それに伴う資材も必要だろうし。
そんなことを考えていたら、またイメージが……
「聖なる粘性泥」
そう呟くと、剣先からドロっとした粘土のようなものが飛び出した。
そして、固まった。
これも、攻撃技?
敵をこの泥の粘膜で覆って、固めて拘束するのか?
敵を倒すのではなく、無力化するのに便利そうだ。
そして……これを使えばレンガを積むときのパテとしても利用できる!
なにこの聖剣、凄すぎる!
まるで、建築土木関係の職人を集めたような……そんな存在じゃないか!
なんかもう……新たな村人が来てくれた感じだよ。
この聖剣に超魔法AIが搭載されてなくて、話ができないのが寂しいくらいだ。
読んでいただき、誠にありがとうございます。
ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。
評価していただいた方、ありがとうございます。
次話の投稿は、本日中の予定です。
もしよろしければ、下の評価欄から評価をお願いします。
励みになります。
ブックマークも、よろしくお願いします。
この物語は、私の書いているもう一つの連載「異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜」と、同一世界線の違う時代の違う場所の物語です。
https://ncode.syosetu.com/n8768ff/
もしよろしければ、そちらも読んでみてください。
よろしくお願いします。




