31.『勇者の可能性』の称号の謎
クラウディアさんが、思い描いていた最強パーティーの構想があると話し、ラッシュは興味津々にその人選を尋ねてた。
俺がそこに入っているのかについても、関心があるようだ。
「もちろんよ! ヤマトくんは当然入ってるわ!
『勇者の可能性』を持つ者としては、第三位になってしまったパーティーのミーアちゃん、女性勇者だけど彼女が一番適任だと思った。
魔法使いとヒーラーは、さっきの二人、イリーナとフランソワ。
そして、斥候、マルチサポーター、司令塔としてヤマトくん。
……そこまでは決まってたのよ」
「おお、すごい! ヤマト先輩が、重要ポジションですね!」
ラッシュが、嬉しそうだ。
「“そこまでは”という事は、タンクとロングアタッカーが決まっていなかったということですか?」
少し気になったので、尋ねてみた。
「そうなの。各パーティーのそのポジションの人たちは、実力伯仲だったし、人間性が微妙だったから、私の選考基準を満たしてなかったのよね」
「人間性ですか? それが選考基準に入ってるんですか?」
「もちろんよ。勇者そして勇者パーティーと名乗る以上、人々を助け、導く存在じゃなくちゃ。何よりも優しさや……人への思いやりが大事だと思うのよね。正しく力を使うためには、大事なことよ」
クラウディアさんが、語気を強めた。
そんな選考基準で選んでくれたというのは、素直に嬉しい。
「そもそも『勇者の可能性』って『称号』は何なんですかね? 勇者ジャスティスなんて、一番勇者から縁遠い性格してると思うんですけど……?」
ラッシュが疑問を呈した。
実は、俺もその点については疑問に思っている。
神様は、どういう基準で『勇者の可能性』の『称号』を与えているのか?
神に対して不敬だが、明らかに間違いじゃないかと思うんだよね。
再びテラス様と話ができたら、尋ねてみようかな……。
恐れ多くて訊きづらいけど。
「実は……私も不思議に思って、過去の文献を調べてみたのよ」
クラウディアさんが、苦笑いしながら腕を組んだ。
「それで、何かわかったんですか?」
俺は思わず、食いついてしまった。
ラッシュも、うんうんと頷きながら答えを待っている。
「はっきりとはわからないんだけど……『勇者の可能性』というのは……あくまで可能性であって、『勇者』の『称号』とは、次元が違うものみたい。
まぁざっくばらんに言うと、可能性を示しただけの『称号』だから、ハズレもあるっていう感じみたいなんだよね」
「逆に言うと……必ずしも勇者となるにふさわしいものに、『勇者の可能性』の『称号』が与えられるわけではないと?」
「多分ね。可能性はあくまで可能性なのよ。
過去の資料では、『勇者の可能性』を持っていた者が、その後必ず『勇者』の『称号』を得たわけでもないし、国から勇者と認められたわけでもないのよ」
「という事は、一生、『勇者の可能性』という『称号』のままだった人もいるし、『勇者の可能性』の『称号』だけでは、直ちに国が勇者と認めたわけでもないと」
「そう。昔の記録では、『勇者の可能性』という『称号』があった者と何の『称号』も持たない者が候補にあがって、何の『称号』も持たない者の方を、国が勇者と認めたなんてこともあったみたい。
詳しくはわからないけど、なんとなくその時の方が健全に選抜していた気がするわね」
「なるほど……」
「それじゃあ昔は……『勇者』の『称号』はともかくとして、『勇者の可能性』の『称号』は、今ほど絶対視されていなかったってことなんですね?」
ラッシュが確認する。
「そうね。過去には、『勇者の可能性』や『勇者』の『称号』について、研究していた時期もあったみたい。
その当時の研究責任者の書いた本を読んだんだけど……『勇者の可能性』とは、勇者となる可能性がある者……意志や想念の強さなど、大きな力を持つ可能性がある者に与えられる『称号』ではないかとされていたわ」
「という事は……『勇者の可能性』の『称号』は、人間性などは関係なく、良くも悪くも想いの力が強い者に与えられるという感じなんですね?」
「なるほど、それなら確かに、あのジャスティスに『称号』が与えられたのも、納得できますけど」
「多分、ヤマトくんの言う通りだと思うわ。
もちろん記述されている研究責任者の意見が、真実かどうかはわからないわけだけどね。
でもラッシュが言うように、そういう基準で『称号』が与えられるなら、ジャスティスみたいな者にでも『称号』が与えられたことは、ある程度納得できるわよね。
その本でも触れられていたけど、『勇者の可能性』の『称号』を持つ者は、良い方向に花開けば立派な勇者になるけど、悪い方向に向かえば、大悪人となって人々の害悪になる。
まぁ今のジャスティスみたいな感じよね」
「そうですね……。ジャスティスも『勇者の可能性』の『称号』が与えられるほど強い想念の力を持っているんだから、良い方向に向かえば、立派な勇者になれたんでしょうけどね」
「今のジャスティスからは、予想もできないですけどね」
ラッシュが首を傾げる。
「まぁこれは、本人次第だから」
俺たち三人は、ジャスティスの振る舞いを思い出し、お互いに苦笑いをした。
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この物語は、私の書いているもう一つの連載「異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜」と、同一世界線の違う時代の違う場所の物語です。
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