28.VS勇者ジャスティス2(鎧袖一触)
勇者ジャスティスの聖剣による攻撃を弾くために、『大剣者』で斬り返したのだが、威力が出すぎてしまったようだ。
『聖剣 カントローム』は、真っ二つに折れてしまった。
王家に伝わる伝家の宝刀を、破壊してしまったわけだ。
完全にやっちまった。
もう死刑確定だ。
というか、既に死刑確定みたいな状況だから、今更だが。
勇者ジャスティスは、何が起きたのかわからないといった顔で、呆然としている。
「おのれ、貴様! よくも聖剣を! な、なんだその剣は!?
……そうか、それがお前が生き残れている秘密か?
どうやって手に入れた?
いやそれはどうでもいい。
その剣は、お前が使いこなせるような剣じゃない。勇者である俺に引き渡せ!」
何言ってんだこいつ?
相変わらず、勘違いが甚だしい。
どうしてそういう発想ができるのか……?
ある意味、おめでたいヤツだ。
「お前たち、ヤマトを取り押さえろ!」
ジャスティスが、周囲の兵士たちに叫ぶ。
「おいおい、約束が違うんじゃないか。お前が負けたら、ここから引き上げる約束だろ?」
「はぁ? 馬鹿め、俺は負けちゃいない。剣を折っただけで、勝ったなんて思ってるんじゃねぇ!
お前は王家に伝わる秘宝であり、過去の勇者たちが使ってきた聖剣を折ったんだ。
国家反逆罪を超えた大反逆罪だ!
捕まえて当然だ!」
こいつ……一対一の勝負の約束を、反故にするのか……どこまでも汚い奴。
こうなったらしょうがない。
——ビュウンッ
——ビュウンッ
「ぐわぁ、ぎぇぇぇぇ、ヤ、ヤマト、何をした!?」
ジャスティスが悲鳴をあげた。
俺は『光魔法——太陽光線』を発射し、勇者ジャスティスの両肩を射抜いたのだ。
勇者装備の防御力の高い鎧を、貫通できてしまった。
ジャスティスは、最初の言葉を発した後、言葉を続けることができず、痛みに悶絶している。
俺は続けて、勇者の両側に列をなすように待機している兵士たちの足元にソーラレイを発射し、地面をえぐった。
丁度、ジャスティスの左右に二本の線を引いたような形になった。
かなりの距離にわたって地面をえぐったので、衝撃波と土煙が巻き起こり、兵士たちは驚き、尻餅をついている。
「お前たちに告げる! 勇者との約束を聞いていたはずだ。素直に引き上げないならば、俺の光魔法で全てを焼き尽くす! これは警告だ! 早く引き上げろ!」
兵士たちを、無闇に殺傷するつもりはない。
どうせジャスティスに振り回されているだけだろうし。
気持ち的には……ジャスティスを倒してしまいたいが、仮にも国が勇者と認定した者を倒したら、より面倒なことになりそうだ。
今回はおとなしく引き上げてもらって、諦めてくれることを祈るのみだ。
まぁ期待薄だが。
「ひ、光魔法だと!? 貴様、光魔法が使えるのか?」
ジャスティスが苦痛に歪んだ顔で、問いを発する。
「お前に答える義務などない。お前は、俺との勝負に負けたのだ。とっとと引き上げろ! 早くしないと魔物の群れに囲まれる可能性があるぞ! この騒ぎで周辺の魔物が刺激された」
魔物の群れが襲ってくると言うのは、半分適当だが半分真実だ。
十分可能性がある。
「勇者様、ここは一旦引いて、体勢を立て直しましょう」
中隊を率いている隊長が、兵士たちにジャスティスを抱えさせ、後退を始めた。
「ふざけるな! 回復薬を寄越せ! 回復すれば、あんな奴すぐに倒せる」
「ジャスティス、相変わらずあなたは、戦況の判断ができないようですね。あなたでは、ヤマトには勝てない」
ヒーラーのユーリシアが、そんな言葉を発しているのが聞こえてきた。
『聴力強化』スキルを発動しているので、拾えてしまう。
そして、「ヤマトがあんな力を持ったなんて……想定外だわ」と呟いた声も拾ってしまった。
ユーリシアには、なにか違和感を感じる。
まぁもともと何を考えてるのか、よくわからないところはあったが。
俺は、この混乱に乗じて、再び森の茂みに姿を隠し、待機していたクラウディアさんとラッシュともに、様子を見た。
二人には、待機してもらっていたのだ。
二人が俺と行動を共にしている事は、既に知られてはいるが、二人が必要な事態にならない限りは、姿を晒さない方がいいだろうと考えたのだ。
矢面に立つのは、俺一人でいい。
二人は、一緒に行動したいと言っていたが、不測の事態に備えて警戒を頼むと伝えて、納得してもらった。
実際、不測の事態が発生すれば、応援に出てもらうつもりではいたが。
兵士たちは、そのまま引き上げてくれるようだ。
よかった。
もう二度と来ないでほしい。
「周辺情報取得、魔物の群れが接近中。今の騒ぎを察知し、進路をこちらに向けています。
このままでは、すぐに王国軍と遭遇します」
『大剣者』が、そんな警告を発した。
やはり今の騒ぎが、魔物の群れを引きつけてしまったようだ。
ちょっと派手にやりすぎたか……。
そんなに強い魔物はいないはずだから、十分倒せるとは思うが、不意打ちを喰らったら混乱するだろうから、情報提供くらいはしてやるか。
「王国軍、今の騒ぎで魔物の群れが寄って来ている! じきに来る! 戦闘態勢を整えろ!」
俺は再び王国軍に近づいて、声を張り上げた。
「なに!? 魔物の群れ?」
「いかん、早く撤退せねば!」
「いや、間に合わない。ここで迎え撃つ!」
「迎撃態勢をとれぇぇぇぇ!」
兵士たちは動揺しつつも、最後の隊長の指示で、迎撃態勢をとった。
勇者ジャスティスも回復されて、怪我が治っているようで、戦いの構えをつくる。
東方向からの魔物の接近の気配を察知したようで、兵士が盾を構え一列に並んでバリケードを作る。
そうこうしてるうちに、魔物が到達。
イノシシ魔物だ。
これは結構大変かもしれない。
デカいだけに、力の弱い兵士のところは突破されてしまう可能性がある。
読んでいただき、誠にありがとうございます。
ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。
評価していただいた方、ありがとうございます。
次話の投稿は、本日中の予定です。
もしよろしければ、下の評価欄から評価をお願いします。
励みになります。
ブックマークも、よろしくお願いします。
この物語は、私の書いているもう一つの連載「異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜」と、同一世界線の違う時代の違う場所の物語です。
https://ncode.syosetu.com/n8768ff/
もしよろしければ、そちらも読んでみてください。
よろしくお願いします。




