27.VS勇者ジャスティス1(聖剣VS大剣者)
翌日、何やら森の一部が騒がしい。
『ショウナイの街』に近い方が騒がしい。
もしや、また衛兵隊が来たのか?
面倒だが、様子を見に行くか。
俺は、クラウディアさんとラッシュを伴って、オートホースで森に偵察に行った。
おおっと、昨日よりもはるかに進んで来ている。
俺が『大剣者』を手に入れた巨岩のあたりまで進んでいる。
それもそのはず……かなり数の兵士だ。
五十人以上いる感じだ。
中隊規模だ。
この規模で完全武装で来ているから、ここまで進んで来れたのだろう。
『ショウナイの街』の衛兵隊ではない。
王国軍の兵士だ。
精鋭部隊かもしれない。
もしかしたら、このまま『魔境台地』まで到達するかもしれないな……。
『魔境台地』を知られたからといって、すぐに攻め落とさされる事はないと思うが、何となく嫌なので、ここで足止めするか。
「伝えたはずだ! 俺は勇者パーティーに戻るつもりはないし、『カントール王国』も捨てる。どのみち、追放された身だ。ほっといてくれ!」
俺はあえて姿を現し、兵士たちにそう告げた。
軽いどよめきが起きる。
そして兵士たちを掻き分けるように、男が姿を現した。
ん、勇者ジャスティス……あいつ、直接来ていたのか……。
勇者パーティーで来ているのか?
魔法使いのマルリッテとヒーラーのユーリシアも一緒だ。
タンクとロングアタッカーは……違う。
ガードルとボールドウィンじゃない。
あれは……第二位の勇者候補パーティーの人間だ。
どうして……?
もしかして、ガードルたちは追放されたのか?
それとも死んだのか?
更に後方には、第二位の勇者候補パーティーの魔法使いとヒーラーの子もいる。
だが、勇者候補はいない。
これは一体どういう組み合わせなのか?
まぁどうでもいいか。
「ヤマト、悪運だけは強いようだな。この魔境で生きているとは」
勇者ジャスティスが、悪い笑みを浮かべている。
世の人々の尊敬する勇者様とは思えない、感じの悪い笑みだ。
「ジャスティス、来たなら丁度いい。直接伝えるよ。
お前のパーティーに戻るつもりはない。
俺を追放したのは、お前だ。今更戻れといっても、もう遅い!
俺は、国を捨てた。もう『カントール王国』とは関係ない。
俺は、この『北端魔境』で生きていく! ほっといてくれ!」
「そんな勝手が許されると思うか! お前は罪人なんだよ。
だからこそ、この流刑地とも言える『北端魔境』に送られたんだ。
だが、俺が温情で、もっと良い形で償いをさせてやる。
俺の奴隷となり、勇者パーティーに貢献できるようにしてやる。
そうすれば、いずれ恩赦もありうるぞ。
俺に感謝し、早く投降するんだ!」
「馬鹿なことを言ってるんじゃない!
俺が邪魔で、目障りで、追放したんだろう?
なぜ呼び戻す?
まさか……俺のスキルの能力が無いと、満足に戦えないのか?
まさか……ジャスティスが弱いせいで、ガードルとボールドウィンは死んだのか?」
本当はジャスティスなど相手にしたくないのだが、これで最後にしてほしいので、あえて挑発するようなこと言ってやった。
「うるさい! お前の能力など、戦闘においては全く役立たずだ! 俺にとっては、お前など関係ない。だが俺のパーティーメンバーにとっては、少しは役立つ……。メンバーの為に、俺様が度量の大きいところを見せてやったんだ。
それを感謝するどころか……無礼な奴め!」
何言ってんだこいつ……。
なんか……負け惜しみにしか聞こえない。
話すだけ無駄だな。
俺が呆れて黙っていると……奴が続ける。
「おいヤマト、おとなしく投降しろ。お前は、現時点で国家反逆罪だ。本当なら死刑なんだぞ。それを生かしてやるんだ、ありがたく思え!」
まだほざくのか。
どうしてくれよう……。
まともに抵抗して、五十人規模の中隊を相手にするのは、骨が折れる。
無闇に殺してしまうのも、寝覚めが悪いし。
「ジャスティス、じゃぁ勝負しないか?
勇者であるお前と、一対一の勝負だ。お前が勝ったら、投降する。お前の奴隷となろう。
だが俺が勝ったら、ここから撤収し、二度と来るな」
「なんだと、てめえなめてんのか!? 数日間、魔境で生き残ったからって、俺に勝てるとでも思ってるのか?」
「そう思うなら、そう思え。だが勝負は受けるだろ?」
こんな多くの兵士が見守る中で、勝負を受けなければ逃げたと思われる。
ジャスティス、お前は受けるしかないはずだ。
「ふん、いいだろう。まったく愚かな奴だ。気が触れたようだな」
「御託はいい。こいよ」
俺はあえて挑発するように、手招きする。
「貴様、なめやがって! 勇者様をなめるんじゃね!」
ジャスティスが激昂しながら、剣を抜いて襲いかかってくる。
奴は、『勇者の可能性』という称号を持ち、国から正式な勇者として認定された。
だが、特別なスキルを持っているわけではない。
多くの兵士が持っている『剣術』スキルなど一般的なものだ。
珍しい『剛力』というスキルを持っているが、腕力を強化して攻撃力を強化するというものだ。
良いスキルではあるが、それほど驚異的なスキルというわけではない。
まぁ実際、『剛力』スキルを使った攻撃をまともに受ければ、大ダメージを受ける。
一撃必殺の攻撃を出せるスキルとも言えるが、当たらなければそれまでなのだ。
以前の俺ならともかく、今の俺にとっては、全く問題ない。
ジャスティスはレベル45なので、レベル差は相変わらず10くらいあるが、全く負ける気がしない。
一直線で進んでくるジャスティスに対し、俺はバックステップで距離をとりながら、攻撃する距離に近づけさせない。
奴の怒りが、どんどん湧き上がっているのがわかる。
「ちょこまかと逃げるんじゃねぇ! 正々堂々と勝負しろ!」
業を煮やしたジャスティスが、動きを止めて叫ぶ。
ジャスティスの持つ剣は、『カントール王国』に伝わる聖剣で、勇者に与えられるものである。
確か名前は……『聖剣 カントローム』。
特別な力があって、土魔法のような技が出せると聞いたことがある。
だが、奴が使ってこないところを見ると、まだ使いこなせていないのだろう。
そんな聖剣を壊してしまうのは、気が進まないが……やむを得ない。
『大剣者』で斬り合えば、聖剣といえども、壊れる可能性がある。
まぁしょうがない。
なるようになれだ。
俺は動きを止め、再度手招きして挑発する。
「ふざけるな! お前、そこを動くんじゃねぇぞ!」
奴が聖剣を大上段から振り下ろす——
剣を叩きながら、受け流すしかない。
——パリンッ
奴の『剛力』スキルが乗っていたのが分かったので、打ち負けないように、全力で叩き返してしまった。
俺のその意思が『大剣者』に伝わってしまい……かなりの威力で聖剣を斬り付けるかたちになってしまった。
その結果……パリンッという音とともに、聖剣が折れてしまった……。
やっちまったなぁ……。
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この物語は、私の書いているもう一つの連載「異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜」と、同一世界線の違う時代の違う場所の物語です。
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