23.突然の召集命令
俺たちは、拠点周辺の探索にとりかかった。
……数時間後、周辺の探索を一旦終えた。
魔物との遭遇戦が何度かあったが、『大剣者』が報告してくれた通り、数は多くなかった。
この台地の広大な面積の中では、ほんの一部を探索したに過ぎないから、まだまだ魔物は残っているが、とりあえず俺たちが拠点にしようとしている周辺の魔物は、大体倒せた感じだ。
それから、薬草も見つけることができた。
拠点周辺だけでも、いろんな薬草があった。
ラーテル亜人のラッシュは、俺がいた勇者候補パーティーのサポート部隊で働いていて、いろんな物資の調達をしていた。
それゆえに、彼女は薬草についても結構詳しい。
ラッシュが、色々と見つけてくれたのだ。
ラッシュによれば、食べられる野草も多く生息しているようなので、すぐに畑を作ることができなくても、葉っぱものには困らないそうだ。
拠点近くの森には、みかん、さくらんぼ、ビワなどが成っていた。
この台地に来るまでの森にもあったが、果物がなる木が多いのは助かる。
木苺が群生しているところもあったので、おやつ替わりにみんなでバクバク食べた。
今回は、あくまで拠点にする場所周辺の探索だけに止めたが、この台地は広いので、こういった足を使った地道な探索は、かなり時間がかかるだろう。
まぁ焦る必要は無いが。
時間はいくらでもあるのだ。
名前がないと不便なので、この台地を、『魔境台地』と呼ぶことにし、俺たちの当面の活動拠点を、『第一拠点』と呼ぶことにした。
今日の魔物狩りを含め、ここ数日の魔物討伐で、クラウディアさんとラッシュはレベルが上がった。
俺は、俺のレベルよりも高いレベルの魔物が現れなかったので、まだ上がっていない。
レベル15から25くらいの範囲の魔物も多かったのだ。
クラウディアさんは、レベル20だったが23まで上がった。
ラッシュは、レベル15だったが20まで上がった。
クラウディアさんがもともと持っていた『通常スキル』は、『槍術』『算術』『交渉術』の三つだった。
『槍術』は、槍を使っての戦闘に強化補正がかかるスキルだ。
『算術』は、計算能力が高まるスキル。
『交渉術』は、様々な交渉が有利に進められるスキルである。
この三つの他に、ここ数日のレベルアップで、『銃術』と『聴力強化』のスキルを取得した。
『銃術』は、魔法銃を使っての戦闘に強化補正がかかるスキルだ。
『聴力強化』は、聴力が強化され、遠くの音が聞き取れたり、雑多な音の中で、聞き分けたい音を聞き取れたりできるようになるのだ。
俺も持っているスキルだ。
ラッシュがもともと持っていた『通常スキル』は、『段取り術』というあまり聞いたことがないスキルだ。
物事を同時並行でこなす力があるらしい。
そんなスキルの力もあって、ラッシュがサポート部隊にいた時は、一人でほとんどすべての分野の仕事を担当し、段取りをしていたそうだ。
実態としては、他のメンバーにこき使われていただけのようではあるが。……本人は憤慨していた。
逆にそういう状況に追い込まれたから、この珍しいスキルが発現したのかもしれない。
ラッシュもここ数日のレベルアップで、新しいスキルを身に付けた。
『視力強化』スキル、『臭覚強化』スキル、『剣闘術』の三つだ。
『視力強化』スキルは、視力を強化し、遠くのものを見ることができるスキルだ。
俺が『加護ガチャ』で手に入れた『望遠』スキルのワンランク下のスキルという感じだと思う。
『望遠』スキルは、レアスキルと言うことだったし、『視力強化』スキルより、更に遠くを見ることができるのだと思う。
『臭覚強化』スキルは、臭覚を強化し、様々な匂いを検知し、嗅ぎ分けたりできるスキルである。
『剣闘術』は、剣を使って格闘を交えながら行う戦闘に強化補正がかかるスキルだ。
彼女が好む戦い方だから、このスキルを取得できたのだろう。
クラウディアさんもラッシュも、レベル的に考えれば決して楽な魔物討伐ではなかったが、大きなダメージを負うことなく倒せていた。
当然のことながら、俺の『固有スキル』の『献身』を発動して、彼女たちの受けるダメージの半分を引き受けていた。
それもあって、攻撃を受けても重傷を負うことはなかったのである。
まぁクラウディアさんについては、魔法銃主体の戦闘だったので、負傷することは多くなかったが。
ラッシュは、接近戦タイプなので、ある程度ダメージを受けながら戦っていた。
だが、かなり動きが良く、将来有望だと思えた。
見る目が確かなエリートスカウターだったクラウディアさんも、素晴らしいと絶賛していたし。
今後が楽しみである。
◇
街に戻り、いつものように『冒険者ギルド』に三人分の『魔芯核』を提出して、帰ろうとすると……ギルドの入口で、衛兵が待ち構えていた。
「守護様がお呼びだ。ついて来い」
なんだ?
ここに来て以降、放置状態だったのだが。
いい予感はしないが、ここは一旦ついていくしかない。
俺はクラウディアさんとラッシュに宿に戻っているように告げて、衛兵についていく。
守護の屋敷に着くと、あのいけすかない守護が偉そうに腕を組んで待っていた。
「ふん、何とか生き残っているようだな。さすが勇者候補パーティーにいただけはあるようだ」
「あの……ご用件は?」
「お前に召集命令だ。王都に戻り、勇者パーティーに復帰することが認められた。勇者様による特別の温情措置らしいぞ」
なんだと?
全く予想だにしない内容だ。
勇者ジャスティスが俺を呼び戻すなんて、ありえない……。
「それは本当なのでしょうか?」
「本当も何も、国王陛下の印がある。王命だ!」
そう言って命令書を俺に見せた。
本当に、王印がある。
一体どういうことだ……?
「あの……理由がわからないのですが、何かご存知ですか?」
「ああ、私も不可解に思ってな、尋ねてみたのじゃ。お前の弱さや素行については、特別な温情を持って許し、勇者パーティーで償う機会を与えるそうだ。勇者様が、お前を自分の奴隷にして、指導しながら鍛えてやると言っているらしいぞ」
なんだそれは?
全く理解できない。
そもそも、温情を持って許すとか言いつつ……勇者パーティーで償えと言っているのだから、矛盾している。
「今日はもう遅い、明日に戻ればいいだろう」
「はい、分りました。宿に戻って準備をして、明日の昼頃に来ればよろしいでしょうか?」
「……まぁいいだろう」
守護は、昼頃というのが少し気に食わなかったようだが、了承してくれたので、俺は守護の屋敷を後にした。
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この物語は、私の書いているもう一つの連載「異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜」と、同一世界線の違う時代の違う場所の物語です。
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