143.新体制の発表
断罪パートの次は、今後の体制の発表を行った。
実際は、その前にいくつかの真実の公表も行われた。
具体的な内容を明らかにしなかったが、新たな神託が降りていて、若き『神託の巫女』が誕生していたと発表された。
今後、『十神教会』を立て直すことになる巫女長に続く二人目の『神託の巫女』の登場に、人々は驚いていた。
そして、神託内容の詳細は公表していないが、ざっくりとした説明だけは行った。
『光の聖者』の下に真の勇者たちが集まり、この時代に降り注ぐ暗黒を打ち払うと言うものだ。
そして、今回魔王を退けたことが終わりでは無いと言うことも付け加えた。
裏で糸を引いていた悪魔を倒したわけではないし、新たな魔王が出現する可能性もある。
襲撃直後の演説でも語ったことではあるが、改めて注意を呼びかけ、不安はあると思うが、心を乱すことのないようにと呼びかけた。
まぁ不安を持つなという方が、無理だと思うが。
この国は、今後俺が守るから安心してほしいという話もしたわけだが、その説得力を増すためにも、覚醒した『真の勇者』が『光の聖者』の下に集っているという話もした。
『カントール王国』の勇者候補最後の一人であるミーアさんが、『真の勇者』として覚醒し、俺の下に参上したと公表したのだ。
今回の襲撃事件の時にも、人々を守るために活躍したことも報告された。
そして今後は、俺と共にこの国を守ると宣言したのだ。
それを聞いた人々は、大きな歓声をあげていた。
『光の聖者』という存在とともに、『勇者』が現れたのだから、人々のボルテージは凄かった。まさに熱狂であった。
実は、ミーアさんの存在は、隠しておこうかとも思っていたのだ。
だが、勇者候補が三人いた事は、広く知られている事実だ。
そのうち二人が魔王になったわけだから、もう一人はどうなのかという話も、当然噂になると思い、公表することにした。
それに、やはり人々を安心させる存在としては、『勇者』は格別だ。
この国においては、絶大な存在感があるのである。
俺と共に矢面に立つことになって申し訳ないが、頑張ってもらうしかない。
ちなみに、新たに『勇者』の称号を得たラッシュとクラウディアさんについては秘匿している。
悪魔の動向も全くわからない状況だから、隠せることは隠したほうがいいとの判断だ。
それから、王家に連なるミトノ公爵家の提案で、初代王の遺言も公開された。
それを踏まえても、今の国王や王家にこの国を統べる資格はない。
王家だけに伝わっていた遺言を公開することを提案してくれたミトノ公爵家も、自ら取り潰しを申し出て、王家に連なる者たちは、貴族籍を全てを失うことも発表された。
もちろんこの時には、ミトノ公爵も同席していたのだが、民衆からは、称賛の声と、惜しむような声が発せられていた。
ミトノ公爵家は、実は王都の人々に結構評判が良かったようだ。
最後に、改めて、この国は『光の聖者』である俺の庇護下に置かれ、俺が治める『ヤマト台地王国』略称『ヤマダイ国』の傘下の入ることを伝えた。
『ヤマダイ国』の属国という形になるが、それは守るためであり、『カントール王国』の名前を残すためでもある。
それがこの動乱の時代において、最善の策であると説明した。
民衆の反発もあるかと思ったが、逆に大きな歓声があがっていた。
『カントール王国』が存続すること自体が、嬉しいようだ。
まぁ普通に考えても、自分が生まれ育った国がなくなってしまうとか、突然全く違う名前になるというのは、嫌だと思う。
逆に言えば、一般の人々にとっては国王が変わろうが、中枢の体制が変わろうが、どうでもいいことなのかもしれない。
国に愛着はあっても、王家や体制に愛着などないのだ。
今後の国家運営は、総督府を作り、総督が行うという新体制についても、簡単に説明した。
そして、その総督には元大将軍であるモーリス侯爵が就任すると発表した。
モーリス侯爵は、民衆の支持も高く、大歓声が沸き起こっていた。
ちなみに、これらの発表について、各地方領主貴族たちが反発する可能性も当然予想されているわけだが、未だ反対勢力の貴族は王都に来ていない。
襲撃事件から一日しか経ってないから、よほど近い領地の領主以外は、来れないのである。
王都にいた門閥貴族たちや、地方貴族の王都邸の者からも、表立っての動きは無い。
と言うのも、王都在住の貴族で、問題がある者については、すでに拘束してしまっているのだ。
酷い者については、今回の処刑の際に一緒に処刑している。
元々王都の貴族については、『御庭番衆』が素行などを調査した資料を持っていたので、この機会に一斉摘発したのである。
と言う感じで、午前中に復興イベントは終了したのである。
本格的な新体制作りはこれからだが、そこはモーリス総督に頑張ってもらおうと思う。
はっきり言えば丸投げだ……。
国内の状況として、これから一番懸念されるのは、地方領主たちの反発だ。
反発する者がゼロとは考えにくい。
それはしょうがないだろう。
何をやるにしても、変革を望まない者はいるわけだし、大きく問題があれば排除するという強い姿勢で臨むしかない。
人族同士で争っている場合ではないのだ。
夕方から始めた細かな打ち合わせは、あまり時間がかからずに終了した。
ある程度細かいところまで踏み込んだ人事や、今後予想される問題点とそれに対する対応策等の報告で、特に問題があるようなものはなかったので、全て任せることにした。
国の中核となっていた者たちは皆死んでいるが、もともとたいして機能していなかったので、致命的とは言えないだろう。
やる気のある若い文官や武官を積極的に登用するという方針だったので、全く問題ないと思う。
打ち合わせの後、ミトノ公爵が改めて俺に声をかけてきた。
紹介したい人たちがいるので、ホールに来てもらいたいと言うので、同行することにした。
そこには、多くの人々が跪いていた。
なんと全員ミトノ公爵家の関係者らしい。
右と左に分かれているが、おそらく二千人ぐらいいる。
今いるのは、王城で一番大きなホールで、最大級のダンスパーティーなどで使われる場所だ。
そこが、人でびっしり埋め尽くされている。
この人たちはいったい……?
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