140.実は『真の聖者』になっていた
『神託の巫女』であるナナリーは、もともとレベル自体が高くない。
今回の戦いに参加したことによって、レベル27になっていた。
彼女は、紫髪をツインテールにしたかわいい感じの少女だ。年齢は、十三歳だ。
巫女らしい白の着物をベースに、赤い袴の衣装である。
彼女は、『呪い耐性』というスキルを持っている。
それ故に、呪いの武具も使いこなせるだろうと、デワサザーン家の伝家の宝刀を貸し出され、うまく使いこなしてみせた。
『魔杖 こけしロッド』である。
『究極級』階級の『魔法の武器』で、かつ『呪われた武器』だ。
強力な技コマンドを使用すると、呪いが発動する。
一回使うと、左足が麻痺し動かなくなる。
二回使うと、右足も麻痺する。
三回使うと、左手が麻痺し、四回使うと右手も麻痺し、四肢が動かなくなるのである。
しかもその持続時間は、一日×使った技コマンドの回数、つまり四回技コマンドを使うと、その後四日間、四肢が麻痺した状態が続くのである。
それゆえに、強力な武器であり伝家の宝刀であったが、デワサザーン家では、ほとんど使われることがなかった武器なのである。
だが『呪い耐性』があるナナリーは、問題なく使いこなしたのだ。
ナナリーの護衛である神殿騎士のサザリーは、ナナリーの実の姉でもある。
彼女は十八歳だが、生真面目なキリリとした印象で、もう少し年上に見える。
髪色は、黒に近い濃い紫色で、肩のあたりまで伸ばしている。
『十神教会』の神殿騎士で、全身鎧とまではいかないが、それに近い位のパーツの多いしっかりとした鎧を着込んでいる。全身、白でまとめられていて、結構かっこいいのだ。
彼女は、もともと槍を使っているという事だったので、俺が『加護ガチャ』で手に入れた『魔槍 トンボギリー』を託したのだが、うまく使いこなしてくれていた。
仲間たちに、槍をメインで使う者がいなかったので、お蔵入りになりかけていたが、彼女に託して正解だった。
彼女は、神殿騎士ということもありもともとレベル37あったが、今回の戦いに参加して、レベル39になっている。
最後に俺についてだが、実は俺にも驚くべき変化が起きていたのだ。
なんと『職業』欄に、『聖者』を得ていたのである。
今回の戦いに入る前までは、『称号』のところに『光の聖者』を所持していただけだが、今回の王都での戦いの後に、『職業』欄に『聖者』と表示されていたのである。
『勇者』と同様に、『職業』欄に表示されるということが、『真の聖者』として覚醒したという事のようで、『特殊ステータス』の欄に『職業固有スキル』が発生していた。
『聖者』としての『職業固有スキル』が、使えるようになったのである。
『聖なる箱』『聖なる波動』『聖者の結界』という三つのスキルだ。
『聖なる箱』は、容量無限の収納スキルである。
『真の勇者』として覚醒したミーアの持つ勇者の『職業固有スキル』の一つ『無限収納』と、ほぼ同じスキルのようだ。
俺は、ほぼ同等の能力を持つ『大剣者』の『亜空間収納』を使えるので、新たに取得してもあまり意味は無い。
と思ったのだが……詳細表示を確認すると、驚くべき能力が書かれてあった。
『時間の経過の有無が選べる。収納空間の中で、分解や分類ができる。加工や融合もできる』
と表示されていた。
この機能は、はっきり言って凄い!
まず時間の経過の有無が選べることが、凄い!
『大剣者』の『亜空間収納』、『真の勇者』の『無限収納』と同じように、時間経過を完全に止める事もできれば、『アイテムボックス』スキルや『魔法カバン』のように、かなり緩く時間を経過させることもできる。
そして、通常と全く同じ時間を経過させることもできるのだ。
任意に時間経過の違う空間を作り出して、選んで収納することが可能なのである。
本当に、凄い能力だと思う。
普通は、時間経過が止まっていた方が、いいだろう。
腐りやすい物とかを保存できるからだ。
だが、普通に時間を経過させることもできるならば、収納しながら干し肉を作ったりできてしまう。
これは、干物の生産などにめっちゃ使えそうだ!
まぁ『真の聖者』に覚醒して、それによって得たスキルで干物が作れると喜ぶのは、俺ぐらいだろうが。
次に凄いのは、この空間の中で、分類、分解、加工、融合ができることだ。
分類するだけなら、『大剣者』の『亜空間収納』でも『真の勇者』の持つ『無限収納』でもできる。
だが、分解、加工、融合なんて事は、できない。
一応、『大剣者』の『亜空間収納』でできないか、『大剣者』に確認してみたが、「現時点ではできません」との回答だった。
少し気落ちしたようなトーンだったのは、気のせいだろうか……。
口ぶりからして、将来的には、出来るようになるのかもしれないが、少なくとも現時点ではできないようだ。
それ故、この『聖なる箱』のみの特別な機能と言えるだろう。
『大剣者』によれば、この機能の中で『分解』をうまく使えば、魔物の『魔芯核』を個別に取り出すことなどができるらしい。
例えば、魔物を解体する知識もしくはスキルを持っているならば、魔物を収納して、イメージすることによって、収納した状態で、解体ができてしまうらしい。
解体が簡単にできちゃうんだから、それだけで凄い機能である。
加工や融合についても同様らしい。
スキルを持っているか、具体的に工程がイメージできるなら、この収納空間の中で、行うことができるようだ。
例えば、石を収納して、それを矢尻のように加工することができてしまうのだ。
融合については、例えば簡単な薬の調合や魔法薬の合成などができるらしい。
まだ試してはいないが、薬草と溶液を混ぜるだけというような感じのシンプルなものならば、可能なはずだとのことだ。
『大剣者』の解析なので、ほぼ間違いないだろう。
これらの機能は、いろんな生産に使えてしまいそうだ。凄すぎる。
収納型のスキルの中では、現時点で最強ではないだろうか。
仮に、順位をつけるとすれば、『真の聖者』の『聖なる箱』> 『真の勇者』の持つ『無限収納』> 『大剣者』の『亜空間収納』>『アイテムボックス』スキル>『魔法カバン』という感じになるのではないだろうか。
『真の勇者』の持つ『無限収納』>と『大剣者』の『亜空間収納』は、ほぼ同等だが、前に『大剣者』に説明を聞いたときに、『亜空間収納』は無限と言っていいほどの大容量と説明していた。
容量無限とは言い切っていなかったので、その点を考慮すると、容量無限の 『無限収納』の方が上と言えるだろう。
『無限収納』も、内容物を分類したり整理したりという機能があるが、『大剣者』の『亜空間収納』の同様の機能の方が、使い勝手は良さそうである。
この点では、『亜空間収納』の方が上とも言えるが、容量を重視して『無限収納』を上と位置づけた。
なんとなく『大剣者』が気落ちしているような気がしたのは、気のせいだろうか……。
『大剣者』をフォローしているわけではないが、『亜空間収納』は、あくまで現時点での能力で、今後もしかしたら能力が拡張されるか、本来の能力が開放されて、より凄くなるかもしれない。
『アイテムボックス』スキルは、『通常スキル』だが、発現する者は少なく、みんな欲しがるスキルである。
時間経過は、ストップしているわけではないが、かなりゆっくりになるので、生鮮品でも十分保存に役立つのだ。
容量は限られていて、スキルレベルによる。
『魔法カバン』は、『アイテムボックス』スキルを魔法道具に落とし込んだような性能だが、一般的には収納容量は『アイテムボックス』スキルほど大きくないので、下の格付けした。
時間の経過については、『アイテムボックス』スキルとほぼ同様である。
実は『魔法カバン』は、『階級』が高いものになると、容量が大きいものがあるので、『アイテムボックス』スキルを上回る可能性も十分にある。
それから、『大剣者』の『亜空間収納』は、スキルではなく『魔法の道具』としての機能なので、もしかしたら『魔法カバン』に使われている魔術式の最上位版である可能性もある。
まぁ俺の予想としては、全く別の原理の可能性の方が高いと思っているけどね。
これらの亜空間収納系のスキルや魔法道具全てに共通しているのは、魂のあるものが収納できないという点だ。
魂のあるものの定義が曖昧だが。
植物などは、収納できてしまうのだ。
俺としては、植物も生きている生き物だと思うのだが、魂があるとは言えないらしい。
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