12.魔物に包囲されていたのは、見知った二人
「さてと……街まで戻るか」
『日曜神テラス』様の導きで発見し、俺の『献身』スキルを使って目覚めさせ、契約を交わした『神器級』階級の剣『大剣者』をひとしきり振った俺は、次の行動に気持ちを切り替えた。
もう夕方だし、だいぶ奥まで来ているので、今日中に戻る事はとてもできそうにない。
途中で野宿をして、明日の午前中に到着する感じになるだろう。
本来なら、こんな魔物の領域で野宿なんて自殺行為だが、今の俺なら何とかなりそうだ。
と言うよりも、この『大剣者』を使ってみたい。
どちらかと言うと、魔物に襲われるのを待っている気分だ。
帰り道で襲ってくる魔物がいるだろうから、その魔物に対して試し斬りをしよう。
◇
だいぶ日が昇った。
街は、もうすぐだ。
結局、夜は眠らずに朝方に仮眠をとった。
夜の方が魔物が襲ってくる危険が高いから、眠る気分にはとてもなれなかったのだ。
まぁそういう意味では、朝方の仮眠も、目を閉じて体を休めていた程度だが。
それにしても、『大剣者』の威力は凄まじかった。
『剣術』スキルを取得したとは言え、スキルレベルはまだ1で心もとない状態だった。
だが、『大剣者』は体の一部のように感じられ、凄いスピードで振るうことができた。
切れ味も抜群で、本当に魔物を一刀両断することができた。
まぁここまでの道のりも、それなりの強さの魔物しか現れなかったお陰ではあるが。
といっても、並の冒険者や兵士にとっては、命の危険を感じる魔物も何体か出た。
それなりの強さの魔物しか出なかったというのは、一番最初に出くわした鹿魔物ほどの強い魔物ではなかったということなのだ。
まぁ……あいつの強さは、例外と言えるだろう。
ただ少し厄介な魔物もいた。
レベルは高くないが、上空から遠距離攻撃を仕掛けてくるコウモリの魔物がいたのだ。
昼には現れなかった魔物だ。
遠距離からの超音波攻撃は、かなり厄介だった。
だが俺には、遠距離の敵も倒せる『光魔法——ソーラーレイ』があるから、倒すこと自体はできた。
命中させるのが大変だったが、考え方によっては良い訓練になった。
そもそもが夜の戦いは、月明かり程度しかないから、上空にいる敵をとらえる事は、なかなか難しい。
だがここで、『大剣者』の機能が活躍した。
最初には説明されていなかったもので、魔力を流して“炎”と念じると、刀身に炎を纏うことができるのだ。
炎を纏った状態にすると、かなりの範囲を明るく照らすことができる。
これにより、夜でも何とか魔物を倒すことができたのだ。
帰りの道中だけで、魔物を五十体以上倒している。
レベル20前後の魔物が多かったが、それでも数を倒したので、俺のレベルが1つ上がって34になった。
ちなみに今までわからなかった魔物のレベルも、『大剣者』の『アナライズ』コマンドを使えば、『鑑定』スキルを使っているのと同様に、すぐにわかるのだ。
そして倒した魔物は、全て『大剣者』の鞘に内蔵されている『亜空間収納』の機能を使って回収した。
行きに倒して放置していた魔物も、回収することができたので非常に助かった。
魔物を何体でも回収することができるので、すごい便利機能だ。
容量の大きさを考えると、魔法カバンはもちろん『アイテムボックス』スキルよりも、段違いに優秀だと思う。
ん……この感じ……戦いの気配?
「周辺情報を取得。——人族女性、亜人族女性が魔物に包囲されている模様」
おっ、俺が戦闘の気配を察知した途端、以心伝心のように『大剣者』が周辺情報を取得し、報告してくれた。
魔物に包囲されているということは、かなり危ない状況だ。
見捨てるわけにはいかない、助けに行こう。
え、……あの二人は!?
「ソーラーレイ」
俺は、光魔法で包囲している魔物を狙撃しつつ、駆け寄りながら魔物を斬り倒した。
「ヤマト先輩!」
「ヤマトくん!」
そうこの二人は、俺の知り合いだ。
亜人の少女は、俺がいた勇者候補パーティーのサポート部隊のメンバーだ。
人族の令嬢は、『勇者選定機構』のスカウターで、俺をスカウトした張本人だ。
いつも俺のことを気にかけてくれていた人だ。
貴族の令嬢なのだが、それを感じさせない気さくな人だ。
なぜこの二人がここに?
……まぁ質問は後だ。
魔物を全て片付けてしまわないと。
俺は、残りの魔物を次々に斬り倒していった。
そして最後に、怪我をしている二人を『光魔法——光の癒し手』で回復した。
「先輩……よかった……生きてて……うわぁぁぁん」
「ほんとに……よかったわ……ううぅ」
二人が泣きながら、俺に抱きついてくる。
それにしても、どうしてここに……?
「ラッシュ、クラウディアさん、なんでここに?」
「先輩を追いかけてきたんですよ!」
「私たちも、追放されちゃったのよ」
ラッシュは真剣な顔で、クラウディアさんは少しおどけながら言った。
「追放されたって……どうして?」
「先輩を追い出すなんて、バカな勇者たちのパーティーのサポートなんて、やってられないです」
「私も同じよ。あなたをスカウトした責任もあるし、あなたの力を見極められない勇者たちも、長官も宰相や国王も問題よ。私の方から、国に見切りをつけてやったわ」
「え、クラウディアさん、伯爵家の令嬢ですよね……?」
「そうよ。父には知らせを出しておいたから、びっくりするだろうけど……ちゃんと状況と私の考えが伝わると思うから……多分大丈夫よ」
「ほんとに大丈夫なんですか……? ……というか、どうして追放されちゃったんですか?」
「まぁそれはねぇ……追放されちゃったと言うよりは、追放されるように仕向けたのよ」
「そうなんです。クラウディアさんの作戦に、まんまとバカ勇者が乗って、予定通り私たちを追放してくれたんですよ」
クラウディアさんとラッシュは、お互いに嬉しそうに顔を見合わせている。
なにそれ? どういうこと?
わざと追放されたってこと?
まぁ追放されて、こんなに嬉しそうに、“してやった”みたいな笑顔作っているから、そういうことなんだろうけど……。
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この物語は、私の書いているもう一つの連載「異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜」と、同一世界線の違う時代の違う場所の物語です。
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