107.二番煎じらしい哀れな最期
「マスター、ジェイスーンのステータスを確認しました。
『勇者の可能性』が『落ちた勇者の可能性』になっています。
『反転による魔王の可能性』『反転魔王(闇落魔王)』という『称号』も増えています。
前回のジャスティスと全く同じ状態です」
現れたジェイスーンを、『アナライズ』した『大剣者』が報告を上げてくれた。
表情が完全にいっちゃってると思ったが、魔王として目覚めたのか。
『魔王』の『称号』を得た割には、小者感というか、単に頭がおかしくなった奴という印象しか感じない。
そして全く以て、ゲンナリだ。
完全に、ジャスティスの二番煎じじゃないか。
密かに逃げていたら、もしかしたら見逃していたかもしれないが、出てきてくれて助かった。
こいつは、ここで倒しておかないと。
ジャスティスの二番煎じも、ここまでだ。
ジェイスーンは、何やらぶつぶつをうわ言を言っていて、やはりまともではない。
戦うまでもない。
俺は、迷わず『光魔法——光の洗礼』を発動する。
「うぎゃゃゃ、ぎょえぇぇぇぇ」
「ひぃぃぃぃぃ、きゃぁぁぁ、オエェェェェ」
闇落ちしたジェイスーンは、浄化の光にさらされて、悶絶している。
そして隣にいた国王も、悲鳴をあげている。
最初は驚いたが、よく考えてみたら納得だ。
人を人とも思っていない、国民のことを全く考えていない、こいつの魂は、十分に汚れているわけだ。
ジェイスーンは、確実にこの浄化の光で息絶えるだろう。
そして、国王もこのままにしたら、おそらく狂い死ぬだろう。
「ひぃぃ、や、ま、どぅ、ざま……だずげで……」
国王が、俺に懇願するように言葉を発した。
さすがにジェイスーンよりは、魂の汚れが進んでないようで、何とか言葉を出すことができたようだ。
ちょうどいい、国王にはやらせようかと思っていたことがある。
「おい、国王、お前は国民に対して、大きな罪を犯した。俺の言う通りに贖罪を果たすなら、その痛みから解放してやるが、どうする?」
「わ、わがり、まじだ……」
そんな言質を取ったので、俺は『光の洗礼』の効果を打ち消した。
できるかわからなかったが、浄化中であれば、途中で解除できるようだ。
というか、そのことが確認できた。
国王も、少しは役立ったと言える。
「おのれ、ヤマト、貴様……」
痛みがなくなった国王は、手のひらを返したような言葉を発しようとしたので、俺は再び『光の洗礼』を浴びせる。
充分予測できたことだ。
「ひぃぃぃぃぃ、きゃぁぁぁ、ぎゃ、ぎゃ、ずみまぜんですた……。なんでも、言う通りに、じまず……」
国王は、悶絶しながらそう言って、下半身を濡らした。
まじか……漏らしやがった。
俺は、再度『光の洗礼』を解除した。
「これは、光による浄化。汚れを払うものだ。
お前がそれほど苦しむという事は、それだけお前の魂が汚れているということだ。
二度と俺を欺こうと思うな!
いつでもお前を浄化できるんだからな!」
「ひぃぃ、わかりました……」
国王はそう言って、虚ろな目をした。
こいつの無能さや行いは死に値するが、罪を償わせるのは、もう少し後だ。
簡単に楽にしてやるわけにはいかない。
自分がないがしろにしてきた人々に謝罪させ、贖罪させなければ。
そうこうしているうちに、ジェイスーンが、動きを止めた。
どうやらユーリシアと同じように、魂が崩壊するレベルで浄化され、息絶えたようだ。
ただジャスティスのように、肉体まで消えたわけではなく、遺体は残っている。
真の魔王になっていないからだろうか……?
そこら辺の違いは、今のところよくわからない。
哀れな男だとしか言いようがないが、まぁ自業自得だ。
これで、今度こそ終わったようだ。
悪魔は姿を見せていないが、今回の襲撃は凌いだと判断して良いだろう。
だが、王都全域の様子は、確認しなければならない。
残っているのは『小悪魔』だけだろうが、倒し切っているかはわからない。
まずは、状況確認だ。
俺は、国王を『巻きひげ縄』で拘束して、鳩尾に一発ぶち込んで気絶させた。
そして『オートホース』で浮上する。
王都上空を旋回して、人々を助けている飛行帆船『天船』に合流しようと思っているのだ。
ちなみに、国王はお漏らしをしてしまっているので、『オートホース』が汚れないように、空中に吊るす感じで、俺が掴んでいる。
『大剣者』が『天船』の現在地を捕捉したので、高速移動で合流した。
「シーア族長、状況はどうですか?」
「はい、ヤマト殿のお陰でゾンビが殲滅されてからは、一気に好転しています。兵士・衛兵が持ち直し、『小悪魔』を倒していますので、もうすぐ終わるでしょう」
そうか……よかった。
「怪我人は?」
「はい、数多く出ていまして、デワサザーン伯爵とモーリス侯爵のところにも、一度行きましたが、備蓄していた回復薬では追いつかない状況のようです。回復魔法が使える者も、多くはいないようですから」
「瀕死の人も、かなりいるのですね?」
「かなりいるでしょう。回復薬の投与が遅れれば、瀕死に近づく者もおりますし」
それはやばいな。
「それでは、戦いが激しく、重傷者が多そうな場所から順に、回ってもらえますか?」
「構いませんが、何を?」
「まずは、瀕死の人を救います」
「救うというと、回復魔法を?」
「回復魔法も持っていますが、もっと手っ取り早い方法があるので」
「手っ取り早い方法?」
「まぁその点については、後で説明しますが、私の持つ『固有スキル』で救うことができるのです」
「なるほど、わかりました」
シーア族長は、何かを察したようで、すぐに船を動かしてくれた。
俺は、前に兵士たちを助けた時と同じように、多くの重傷者を指定して、『献身』スキルを発動するつもりだ。
もちろん、すぐにHP1になると思うが、最近はもう慣れて、意識を失いそうになることも基本的にはない。
だから、自分ですぐに回復できる。
この船に乗っている限りは、その数秒の間に攻撃を受けるようなこともないだろうし。
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