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106.魂の残滓がもたらした情報

 ジャスティスの浄化というか、苦痛はまだ続いているが、俺は油断なく見守る。


 そんな時、小さな光の粒が、俺の目の前に浮かんでいることに、気がついた。


 ————ありがとう、解放してくれて。

 ————私は、間違っていたみたい。

 ————下級貴族だった私の両親は王族に蹂躙された。

 母は犯され、それに抗議した父は殺され、家は滅ぼされた。

 その恨みを晴らしたい、その一心で悪魔の声に答えてしまった。

 ————でも、今ならわかる。違う道もあったはず。

 ————恨みで悪魔契約者となったために、私のように理不尽に親を亡くす者、肉親を亡くす者を、私の手で数多く作ってしまった……。

 ————悪魔契約者となってからは、おぼろげな記憶しかないけど、私は取り返しがつかない罪を犯した。

 その罰で、魂が砕け散った。

 ————だけど、ほんの少しの欠片……残滓が残ってくれた。

 止めてくれたあなたに、お礼を言いたい。

 止めてくれてありがとう。

 ————そして、伝えなければならないことがある。

 ————私の契約の悪魔は、最初は中級悪魔と思っていたけど、違った。

 名前を持つ悪魔……中級悪魔や上級悪魔よりも上の存在、おそらく貴族悪魔以上の存在。

 ————奴は、自分が受肉する為に、多くの人を殺そうとしている。

 その時に放たれる怨念を集めるために、理不尽な死に方をさせようとしている。

 ————これからも、戦乱を起こし、多くの人の命を奪おうとするはず。

 ————だけど奴は、まだ実体を得ていない。

 だから、本来の力が出せないし、自分で直接人々を殺すこともできない。

 ただ、逆に実体がないことで、見つけ出すのも困難なはず。

 ————まだ時間はあるだろうけど、備えることしかできないかもしれない。

 ————私が言えた義理では無いけど、気をつけて。

 そして、奴に力を与えてしまった私の過ちを、正してヤマト。

 本当にごめんなさい。

 ————あ……今思い出した。奴の名前は……ヒミゴ。

 でもこれは、真名ではないはず。

 単なる契約者に過ぎない私に、真名を悟らせるはずがない。

 真名を知ることができれば、悪魔を押さえ込んだり、封印したりできるはず……。

 ————本当にごめんなさい、ヤマト……


 声とも言えないような声、直接頭の中に語りかけてくるような、そんな声だった。

 そして話の内容からして、ユーリシアの魂の残滓だったようだ。


 ユーリシアが契約していた悪魔は、普通では契約できないような高位の悪魔だったらしい。


 実体を持っていないというのは幸いだが、それゆえに探す事は困難。

 そして実体を手に入れるために、人々を苦しめて殺そうとしている。

 全く以て厄介な状況だ。


 なんとか見つけて倒せればいいが、俺の力が及ばぬほど強大な悪魔だった場合……その時の為に、ユーリシアがヒントを残してくれたのかもしれない。


 名前を持っている悪魔は、非常に少ないが強力だと『勇者選定機構』の講習で聞いたことがある。

 だが逆に、その名前は弱点にもなるということのようだ。


 真名を知ることができれば、封印することも可能なのかもしれない。



 そしてジャスティスにも、終わりの時が近づいている。


 『光魔法——光の洗礼』による浄化の光流に蹂躙され、その体が少しずつ薄くなっている。

 今まで浄化したゾンビやユーリシアは、遺体は残っているが、ジャスティスは魔王化しているからか、体ごと消滅している。


「……ギャ、ギィ……」


 もう悲鳴すらも、あげれなくなっているようだ。


 足元から薄くなり、上へと消失が広がっていく。


 そして……最後に、顔が弾けるように消えた。


「マスター、魔王ジャスティスの痕跡は、確認できません。『光の洗礼』の浄化の光により、完全に消滅したようです」


 『大剣者』が報告をあげてくれた。


 良かった。

 何とか魔王ジャスティスを倒すことができた。


 だが、油断はできない。


 ユーリシアと契約していた悪魔が、何かしてくる可能性がある。

 実体は無いにしろ、何かの策を練っているかもしれないし、手下の悪魔を潜ませている可能性もある。


 今回は、前回のように悪魔が出てきていない。

 ユーリシアを早々に拘束したから、召喚できなかったのかもしれないが、やる気なら王都を襲った最初の時に悪魔を投入することもできたはずだ。


 そう考えると、何らかの事情があって、悪魔を投入できなかったのではないだろうか。

 というか、前回投入したのが、全てという可能性もある。


 悪魔を召喚するなんて、そう簡単にできるものでは無いはずだ。


 まぁいずれにしろ、最初の時点で悪魔が投入されていなかったのはラッキーだったし、多分、今更出てくることもないのではないだろうか。


 そんなことを思っていると、建物の中からジェイスーンが現れた。


 そういえば忘れていたが、こいつと国王は邪魔だったので、穴を掘って下に落としたんだった。


 地下室になっていたようだから、繋がっている部屋を通して、上がって来たのだろう。


 ジェイスーンは、喚き散らす国王を引きずっている。


 気にも留めていないそのジェイスーンの表情は、完全にイカれたような感じになっている。


 さっきまでも、ジャスティスの言いなりで、不自然でおかしい感じではあったが、今はまた違った意味で、おかしくなっている。



読んでいただき、誠にありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] なるほど・・・ どこで闇堕ち裏話があるのかと思ってたらここですね。 そして、理由は予想通りでした(笑) 本当に滅ぶべき王家ですな。
[一言] ユーリシアが憐れだなぁ…… クズな王族や貴族が居るとこんなことが起きると伝えていくべき?
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