10.『固有スキル』の機能を再発見
固有スキル『献身』のスキルレベルが上がったことによって、新しい機能が解放され、『献身ポイント』を使って『献身による加護』を発動させることができた。
俺は、10回分を一気に発動させることで、11回分の加護を得られるというお得なモードを選択し、八つのスキルと三つのアイテムを手に入れることができた。
死の流刑地とも言える『北端魔境』に追いやられ、詰んだかと思ったが、かなり展望が明るくなった。
何とか生き残るには、十分なスキルを得た。
——ユラ、ザザッ、ザザザッ
なんだ……?
少し揺れたような気がする……地震か?
木々の枝も、揺れている。
ん、……また目の前の巨石が光りだした。
俺が巨石に手を当てて『献身』スキルを発動したときに、光ったのだが、その時に俺は大ダメージを受けてへたり込んでしまった。
その後は、巨石は普通の状態に戻っていた。
なぜまた光りだしたんだ……?
——ミシ、ミシミシ、パリンッ、バンバンバン
おお、巨石が前半分が突然ひび割れ、砕け散った。
なんだ……?
……割れた巨石の断面に……剣のようなものが……。
剣状のものが、型取りでもしたかのように、真ん中あたりに埋まっている。
岩が砕けたので、前面は露出しているわけだが。
……全体が茶色く変色している。
剣のような形をした木の化石みたいな感じでもある。
ん……?
動いている……?
………………。
間違いない! 剣が振動している!
どうやら……この地面の小さな揺れと木々の揺れの震源は、この剣みたいだ。
いったいどういうことだ……?
「私を……長き眠りから……目覚めさせた者よ……。……あなたの情報を、スキャンした……。私を使う資格は……ありそうだ……。私の力を……欲しますか……?」
なんだ!?
声が聞こえる。
女性っぽい感じ声だ。
誰だ!?
人の気配は、感じないが……。
……まさか……剣からなのか?
剣が話している?
「私に話しかけたのは……あなたは……目の前にある剣ですか?」
「……そうです。私は……大剣者……。長き封印より目覚めた神器です。並の者では……私を目覚めさせることは……できません。神の導きでしょう……? 違いますか?」
「……はい。テラス様の導きで、ここにたどり着きました」
「テラス様の導き……なるほど。では……あなたには……資格があるのですね。私の力を求めるならば……私に触れて……魔力を注ぎ込みなさい……」
ん、……よくわからないが、この“話す剣”が使えるようになるということか……?
テラス様の導きだし、迷う必要は無いだろう。
俺は剣に手を当て、魔力を流し込んだ。
「ぐっ……」
一瞬にして、ほとんどの魔力を吸い上げられた。
——ピキッ、パリンッ
茶色だった剣の表面がひび割れて、本当の姿を現す。
……う、美しい……神々しさすら感じる。
黒い鞘には、赤いラインが入っていて、何カ所かに、綺麗な石が埋め込まれている。
思わず見惚れてしまうかっこよさがある。
そして剣の鍔と柄は、黄金に輝いている。
「改めて挨拶します。私は大剣者。あなたと契約が結ばれました。あなたの人生の助けとなりましょう」
目覚めたばかりの時と違って、キリリとした、冷静な感じの話し方だ。
声の感じは……やはり女性っぽい感じだが、少年のような感じでもある。中性的な感じというやつだろうか。
「あ、ありがとう。ところで……なぜあなたは、剣なのに話ができるんですか?」
「それは……私が『神器級』階級のアイテムであり、超高性能の魔法AIを搭載している自律思考アイテムだからです」
「自律思考……? よくわからないけど……生き物と同じってこと?」
「似たような機能で、自律して思考することができますが、生き物と同義というわけではありません。あくまで魔法AIの性能で思考しているのであって、魂は宿っていません。そこが生物との根本的な違いです。考えて話すことができる道具ではあっても、生き物ではないのです」
「……いまいちよくわからないけど……。まぁ話はできるけど、生き物ではないってわけね……」
「あなたの事は、マスターとお呼びしましょう。私の事は、『大剣者』とお呼びください。丁寧な口調は不要です。気軽に話しかけてください」
「わかった。じゃあ気軽な感じで、話しかけさせてもらうよ」
「はい、そうしてください。
それから……先ほどマスターが使った『固有スキル』により、封印及び経年劣化で受けていたダメージの約半分が消失しました。
その効果でダメージを受ける前の状態に、50%ほど戻りました。
ただ稼働するには心もとない状態です。もう一度、先程のスキルを使ってもらえれば、おそらく更に残存ダメージの半分をなくすことができると思います。
そうすれば、ダメージを受ける前の状態の80%ほどにはなると思います。
その状態であれば、ある程度の機能を発揮できると思いますし、残りのダメージは、内蔵している自己修復機能で時間をかけずに回復できると思います。お願いできますか?」
「それは構わないけど……俺のスキルを使ったことによって、君の受けていた経年劣化とかのダメージが修復されたってこと?」
「はい。効果としては……そう表現することもできます。ただ……機能を修復したというよりは、受けたダメージを半分無かったことにしたと表現する方が正確でしょう。その結果として、あたかも修復したような状態になっているのです」
「ちょっと待って……。という事は……例えば、壊れた武器とかに対して、俺がこのスキルを使えば、半分のダメージがなくなって、また使えるようになるってこと?」
「そう思われます。ただ折れた剣などの場合、半分のダメージの消去で、折れてない状態に戻るかどうかは、状況によると思われます」
「なるほど……でも、ただ傷んだ剣……刃こぼれしただけの剣だったら、だいぶいい状態に戻せるってことだよね?」
「それは間違いないと思われます」
「てか……『献身』スキルは……事実上、物を修理することにも使えるってこと?」
「結果として、そうなると思われます。
本来、修理というのは……その物の構造を把握する知識や理解力と、再構築する技能が必要です。
マスターのスキルは、それとは全く違う理屈で……ダメージを取り除くということで……結果として、修理したのと同様の形になるわけです。
ある意味……時間を遡っているとも言えますし……起きた事象を拒絶していると言うこともできるでしょう。
もっとも、実際のダメージは、マスターに移っているので、時間を遡っているわけではありませんし、起きた事象をなくしたわけでもありません。
転送したと言ったほうがいいかもしれません。
いずれにしろ、卓越した超絶技能の『固有スキル』です。
ただし……半分しかダメージを肩代わりできませんので、一回の使用では、半分しか状態を戻せません。
ただ……現時点では、回数制限等は無いようですので、繰り返せば限りなく100%に近い状態に戻せるのではないでしょうか」
「……それすごいな……。使い方によっては、めちゃめちゃ使えるんじゃないか。というか……そもそも『献身』スキルって、生物以外にも使えたのか……?」
「はい。私に使えたことが、何よりの証拠です。今までは生物のみに使えるという思い込みで、気付けなかったのではないでしょうか?」
「確かに、言われてみれば、そうかもしれない。
それに使い方としても、あらかじめ対象者を指定して、その者が受けたダメージを半分引き受けるという使い方だった。
だが今回の使い方は、ダメージを受けているものを後から指定して、そのダメージを半分引き受けるという使い方をした。
であるならば……生き物に対しても、すでに大怪我を負った者を、後から指定して、そのダメージの半分を引き受けるという使い方ができるかもしれない。
使い方も、二種類あったということだ」
どうやら、俺の『固有スキル』は……すごい可能性を秘めたスキルだったみたいだ。
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この物語は、私の書いているもう一つの連載「異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜」と、同一世界線の違う時代の違う場所の物語です。
https://ncode.syosetu.com/n8768ff/
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