1.突然のクビ宣告
宣伝を少しだけさせてください。
この作品の書籍版第二巻が、12月28日に発売されます!
ぶんか社BKブックス様からの発売です。
第二巻は、『北端魔境』で本格的な国づくりを始めようとするのですが……またもや勇者ジャスティスが……。
一方勇者選抜レース第3位パーティーの勇者候補だったミーアたちは、国に帰る旅の途中に一風変った女侍と幼女忍者と出会います。この2人は書籍版オリジナルのキャラクターです。
今回は書籍版のオリジナル要素が第一巻よりもさらに増え、実に半分ぐらいは新規書き下ろしとなっております。
ウェブ版読者の方にも、充分楽しんでいただける内容になっていると思います。
手に取っていただければ幸いです。
よろしければ、ご購入ください。
何卒、よろしくお願いいたします。
「ヤマト、お前はクビだ! 出て行け!」
俺は、所属する勇者パーティーのリーダージャスティスから、突然クビを宣告された。
それも特別な……記念すべき日にだ。
俺たちは、勇者候補パーティー三組による『勇者選抜レース』を勝ち抜き、『カントール王国』の正式な勇者パーティーと認定された。
今日まさに正式決定したのだ。
目標を達成し、正式な勇者と認定されたのに……
「なんで突然クビなんだ? こうやって正式な勇者パーティーになったって言うのに……」
「ふん、……だからだよ! 正式に勇者に選抜されたから、もうお前は必要ないんだよ! 今までクビにするのを我慢してやっていたんだ。お前がどれだけの貢献をしたって言うんだ? ただの足手まといだったのは、自分でもわかってるだろ!?」
「足手まといって……」
「戦いではいつも最後尾、やることといえば回復薬での支援程度、いつも真っ先に動けなくなって、お荷物だったんだよ! お前がいなかったら、もっと楽に選抜を突破できていたんだよ!バカめ!」
ジャスティスは、蔑む目つきを俺に向ける。
確かに俺は、戦いの時に回復程度の行動しかしていないし、真っ先に動けなくなっていた。
だが、それには理由がある。
俺の『固有スキル』の『献身』が発動していたからだ。
これは、俺が指定した者が受けたダメージを、半分肩代わりするという特殊なスキルなのだ。
俺はスキルの力で、パーティーメンバー全員の受けたダメージを半分引き受けていた。
だからメンバーがダメージを受ける度に、その半分を俺が肩代わりしていて、当然のことながら真っ先に動けなくなるのだ。
それゆえ、足手まといにならないようにいつも最後尾で、受けたダメージを魔法薬を飲んで回復しながら、他のメンバーにも魔法薬をかけてフォローしていたのだ。
このスキルのおかげで本来食うダメージの半分で済んでいることは、メンバーもみんなわかっていたはずだ。
何よりも、俺が勇者候補パーティーのメンバーになったのは、このスキルがあったからだし。
俺はそんなことを思いながら、周りにいるメンバーに視線を送る。
「確かに戦闘じゃぁ……ほとんど役に立ってなかったわよね。まぁダメージを減らしてくれたのは、助かったけどさぁ……」
魔法担当のマルリッテが、おどけながら言った。
「盾役としては、ダメージが減って助かったようにも思えるが……実際のところ、それがなくても戦えていたからなあ……」
今度は、タンクポジションのガードルが、ニヤけながら言った。
なぜ二人とも……手のひらを返したように、馬鹿にした態度をとるんだ……?
「そうね……このパーティーには、あなたは不釣り合いだわ。『勇者選抜レース』も終わったことだし、袂を分かつにはちょうどいいタイミングですわ」
ユーリシアまで……。
俺が一番驚いたのは……巷では『聖女』とすら言われている回復担当のユーリシアまでが、俺にそんな言葉を投げかけたことだ。
まさか彼女からまで、冷たい言葉を浴びるとは……。
貴重な回復魔法の使い手だが、偉ぶることもなく、優しくていい子だと思っていたのに……。
「お前のフォローは、正直大変だったからなあ。これからのことを考えると、いつまでもお前のフォローなんかできねーよ。命があるうちに、やめたほうがいいぜ」
ロングアタッカーで弓使いのボールドウィンが、いつも通りの冷めた口調だ。
なんだこれ……?
既に、メンバー全員が、俺を見限っているのか……?
役割分担で戦っていたと思っていたのは、俺だけなのか……?
勇者ジャスティスの性格がきついのは知っていたし、弓使いのボールドウィンが皮肉屋なのも知っていた。
でも、ここまで見限られていたとは思わなかった。
他のみんなとも、仲がいいと言うほどではないが、普通の人間関係は築けていたと思っていた。
……俺の勘違いだったようだ。
……だが別に大きなショックではない。
確かにめちゃくちゃなことを言われて、イラッとしているし、悔しい部分もある。
でもすがりついてまで、このパーティーにいたいとは思わない。
そもそも俺は、このパーティーに入りたくて入ったわけではないのだ。
『勇者選定機構』のスカウターの目に止まり、王命に従って半ば強制的にパーティーに組み込まれたのだ。
王命に従わないわけにはいかなかったし、片田舎で両親をなくし一人で暮らしていた俺が、王都に来れる機会なんて他にはなかった。
ただそれだけのことだ。
クビだと言うのならいいだろう。
潔く去ろう。
自由気ままな冒険者にでもなればいい。
「分かった。俺が必要ないというなら、別に構わないよ。明日にでも出て行くよ」
ん……俺の言葉を聞いたジャスティスが、悪い笑みを浮かべている。
「ハッハハ、お前はバカなのか!? 普通に、はい、さよならって消えられるとでも思ってんのか!? お前はこれから、罪人が送られる北の魔物の領域『北端魔境』に送られるんだよ!」
「え、どういうこと!? 俺は罪人じゃないだろ?」
「馬鹿言ってんじゃねーよ! お前は罪人なんだよ! 今まで散々足を引っ張りやがって。何もわかってねぇなぁ。ペナルティーなしで、去れるわけねーだろ! 魔物の領域に行って、魔物を狩って、せいぜい国に貢献するんだなぁ。まぁ生きていられればの話だがなぁ! ハッハハ」
なにそれ……?
なんなんだ、このめちゃくちゃな言いようは……。
「俺を殺す気なのか……? 追い出すだけじゃなくて、命まで奪う気なのか?」
「馬鹿なこと言ってんじゃねーよ。殺すんなら初めから殺してるっつうの! 生きるチャンスを与えてやってるだけ、ありがたく思うんだな。せめてもの情けだ。まぁ……本音を言えば……勇者パーティーのメンバーだった者を罪人として、処刑するのは俺たちの名誉に傷がつくからな。だから感謝は要らねーよ」
……なんだこいつ、イカレてる。
こんな奴が、正式な勇者として認定されたなんて……。
そして他のメンバーも一緒に笑ってる。
こんな奴らと……俺は今まで一緒にやってたのか……。
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この物語は、私の書いているもう一つの連載「異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜」と、同一世界線の違う時代の違う場所の物語です。
https://ncode.syosetu.com/n8768ff/
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