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第69話 特殊スキルを持つ者

 彼女を鑑定した樹はとんでもないスキルを目にした。


【魔力増大】: いかなる状態でも触れた者の魔力を極限まで上昇させる事が出来る。


「こんなスキル初めてだ。特殊スキルの一種か? でも何故彼女が……」


 樹はその遊女を見つめていた。


「そこの旦那、その子が気に入ったかい? 今晩のお供にどうだい?」


 呼び込みの婆さんが声をかけてきた。


「ああ、いくらだ?」


 樹は反射的にそう答えてしまった。


「金貨一枚でどうだい?」

「分かった。それでいい」

「それじゃ、中に入んな」


 婆さんに促され、樹は遊郭の中に足を踏み入れた。


「今晩、夜伽をさせて頂きます、鈴と申します」

「ああ、よろしく頼む」


 すずと名乗った彼女は綺麗にお辞儀をした。


 そこからは言わなくても察しが付くであろう。

どちらかともなく優しくキスをすると、二人の影は重なるのであった。


「戻りましたぁ」


 深夜2時過ぎ、樹は屋敷の鍵を開けるとそっと中に入ろうとした。

その刹那、パンっと電気が点った。


「こんな時間までどちらにいらしたのですか??」


 シャルが頬を膨らませていた。


「申し訳ない。ちょっと気になった子が居てな」

「女の子ですか?」

「あ、ま、まぁな……」

「樹様もいい大人ですから何も言いませんが、もう少し慎みを持ってですね」


 シャルが樹にお説教を始めようとした。


「まぁまぁ、そのくらいにしておきなさい」


 セザールが階段を降りてきてシャルを嗜めた。


「それで、何か収穫があったのですね」

「さすがはセザール。察しがいいな」

「いえ、旦那様の顔を見ればわかります」


 樹は顔に出やすいらしい。

自分ではポーカーフェイスのつもりなのだが。


「遊女を雇うにはどうしたらいい?」

「ほう、遊女をですか。中々、面白い所に走りましたな」


 セザールは少し広角が上がったように見えた。


「それで、遊女を雇う方法はあるのか? 無いのか?」

「ありますよ」

「どうしたらいい? 教えてくれ」


 樹はセザールに真剣な目で訴えた。


「一般的には身請けをするしかありませんね。かなりの額が必要となりますが……」

「分かった。それをすれば雇う事が出来るんだな?」

「左様ですございます」


 樹は身請けを申し出る事に決めた。


「楼主に言えばいいのか?」

「左様でございます」

「ありがとう。早速、明日行ってみるよ」


 そう言うと樹は自分の部屋に戻った。


「セザールさん、よかったんですか? 樹さん、変な女にハマりそうでしたよ」

「あの方がそんじょそこらの女性の為にあそこまで真剣な目をするとは思えません。人を見る目はある方ですから」

「まぁ、セザールさんがそこまで言うならいいですけど」


 そうとシャルとセザールも眠りに就く事にした。


 翌朝、樹は目覚めると早速昨日の遊郭へと向かった。

そう、特殊スキル持ちの彼女を屋敷で雇う為に。

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