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第63話 宿敵

 ギルドに入ると冒険者たちから視線を集める。

樹たちはそれを気にせず、一直線にメラニさんが受付をしている窓口へと向かった。


「メラニさん、ギルマスに呼ばれているんだけど」

「あ、はい。ギルマスから樹さんたちが来たら案内するように言われています。こちらへどうぞ」


 そう言うと奥にあるギルドマスター室へと通された。


「おお、急に呼び出して悪かったな。まあ、座ってくれ」


 ギルマスに促され、樹たちはギルマスの対面にあるソファーに腰を下ろした。


「君がシャル君だね。噂は聞いておる。樹とアリアの弟子だそうじゃないか。ワシはここ王都ギルド本部のギルドマスターを務めておる。君にも期待しておるからの、よろしく頼むぞ」


 そう言うとギルマスはシャルの肩をポンと叩いた。


「は、はい。ご期待に沿えるよう頑張ります!」


 シャルはいつにも増して緊張している様子だった。



「さて、それでは本題に入らせてもらおうかな」

「はい」


 ギルマスは樹の方に向き直った。


「実は、うちの調査部から報告があってな。例の組織のボスの潜伏先が分かった」

「例の組織ってあいつですか?」

「ああ、お前さんたちの宿敵だ」


 その言葉を聞いて樹とアリアの目には火が灯った。


「シャル君も自分の故郷を破壊したやつらの親玉だ。一応、聞かせておくべきだと思って来てもらった」

「そう言うことだったんですね。ありがとうございます」

「それで、潜伏先なんだけどな」


 そう言うとギルマスは一枚の紙を樹たちの前に置いた。


「ここは……」

「ああ、オリエンス王国との国境沿いにある街だ。一応、うちの領土なのだが」

「厄介な所に逃げ込みましたね」


 樹とアリアは顔を見合わせた。


「だから、ワシも存分にやってこいととは中々言い辛くてな……」

「でも、向こうの国に許可取れば思い切りできますよね?」

「ああ、でも、そんなこと出来るのか?」

「ええ、うちにはオリエンス王国王女が居ますから」


 その言葉にギルマスは目を丸くした。


「全く、いつもながらどうなっているんだ、君の家は」

「まあまあ、許可を取れば好きなように暴れられますから。その辺はこっちで何とかしてみますよ」

「うむ、そうだな。例の組織のボスの身柄だが、生死は問わないということになった」

「つまり、殺しても?」

「構わない」


 あれだけのことをやって来たのだ。

この判断が下るのも当然と言えるだろう。


「分かりました。今度こそヤツをぶっ潰します」

「ああ、頼りにしているぞ。うちとしてもこのまま野放しにしておく訳にはいかないからな」

「了解しました」


 樹たちはこの依頼を正式に引き受けるとギルド本部を後にした。


「シャル、大丈夫か?」


 シャルの表情がどことなく暗かった。


「はい、大丈夫です。あの組織に復讐できるかもと思ったら、色々考えてしまって」

「そうだよな。無理に連れていくつもりはないからな。シャルの意思に任せるよ」

「いえ、私も付いて行きます。この手で仇が討てるなら」


 そう言ってシャルは拳を握り締めた。


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