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そらのそこのくにせかいのおわり(改変版)3.9 < chapter.10 >

 三回目の人生で、私は女として生きることをやめた。

 兄と私、どちらの身体も自由に使えるなら、男として生きる選択肢が存在することに気付いたのだ。

 小学校、中学校、高校レベルの学力はすでにある。私は『グレンデル・グラスファイア』として王立大学に入学。教育省の特別支援制度で学費と寮費の免除を受け、薬学部に通うことにした。

 しかし、私は『天才少年』などではない。十一歳で大学に進学したのは間違いだった。周囲の期待と実際の学力の差に、徐々に居づらさが増していった。

 そして三年目の夏、決定的な事件が起こる。

「……僕はやっていません」

「言い訳は結構。目撃証言がいくつもあるんだ。さあ、盗んだ薬品をどこに売り払ったのか、洗いざらい喋ってもらうぞ」

「……やっていないんです。本当に、僕は……」

「もうそんな嘘はいい! さっさと言え! どこに売った!?」

「……」

 研究室からいくつかの薬品が盗み出され、その犯人が私だと証言した者がいるらしい。その証言者が誰か、心当たりはある。常日頃、私に嫌がらせをしてくる貴族のボンボンだ。その男は何年か浪人してからの入学で、年齢は私の十歳上。十四の子供が自分と同じ学力を持っていることが許せないようで、事あるごとに絡んで来ていた。

 私が何も言わなかったことで、この日はこれ以上の追及を受けることは無かった。けれども、証言者は貴族の子弟だ。たとえ私の無実が証明されたとしても、証言した彼の面子をつぶす以上、退学させられることは間違いない。

 学長室を辞してから、私はその貴族の取り巻き連中に拉致された。

 物置部屋に放り込まれ、リンチを受ける。

 問題を起こしても、起こさなくても、もうこの大学には居られない。おとなしく耐えているのも馬鹿馬鹿しくなって、私は彼らを凍らせた。その場にいた六人全員を、頭のてっぺんから足の先まで、身に着けた衣類から体の芯まで、余すことなく凍結させたのだ。さすがにこの状態から蘇生できる人間はいない。

 やれやれ、この先どうしたものか。こいつらをどう処分しようか。

 そんな考え事をしていると、拉致と暴行を命じた馬鹿貴族が、歪んだ薄ら笑いを浮かべながらやってきた。地面に這いつくばって許しを請う『生意気なクソガキ』の姿を見物しに来たのだろう。

 けれどもここに、彼の思い描いた景色はない。

「ひっ!? こ、これは……う……うわあああぁぁぁーっ! 人殺しぃぃぃーっ!」

 私は攻撃を試みたが、残念ながら相手は貴族だ。私の魔法は、衣服に縫い込まれた防御呪符によって全て弾かれてしまった。

 私はその場を逃げ出し、騎士団から追われる身となった。

 それから先は、もうお約束。私を追ってきたのは例の騎士団員で、私は彼と戦い、そして――。


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