魔物を宿す者·3
放課後
「行くぞ、デス・ダーク!」
「黒木くん、俺は志賀 暮人だよ」
やや強引に校内案内を任された俺は、全く話の通じないコイツと微妙な感じに廊下に出た。
「まず、どこに行きたい?」
うちの学校は本校者と別校舎、教員校舎に部活動校舎と、かなり入り組んでいるため、目的地無しには動けない。
当然転校生に場所が分かるわけがないので、希望を聞いた。のだが、
「魔王城に攻め込むぞ!着いてこい、デス・ダーク!」
と、いきなり部活動校舎に向かって走り出した。
「ちょっ、黒木くん!?魔王城が学校にあるわけないだろ!ってどこ行くの!」
慌てて俺も黒木を追う。
俺は100メートル走10秒前半と、全国陸上並の足の速さなのだが、・・・何故だ、何故黒木に追いつけない。
俺より速いとなるとボルト手前だぞ!?
いくら何でも人間・・・しかもただの高校生がこうも速いものか。
「ハッハッハ!遅いぞデス・ダーク!俺は魔王の側近の1人に召喚されているのだ!」
なっ!?俺はお前を召喚した覚えはないぞ!
・・・ん?魔王城、側近、コイツからしての魔王ってまさか・・・校長先生。
「く、黒木くん、そっちじゃない!魔王様は教員校舎にいる!」
そう言うと、黒木は止まった。
しかし、下を向いて動かない。
「黒木く——」
「おい、デス・ダーク。今、なんと言った」
「ああ、だから教員校舎に、」
「その前だ!」
その前?まさか・・・
「ま、魔王様?」
「そうだ、貴様、何故魔王『様』と言う」
「それは——」
当然と言いかけて、慌てて口を噤む。
何が当然なものか!
魔王『様』と言うなど、自分は魔族だと言っているようなものでは無いか!
「ご、ごめんっ。何か不味かったかな?」
慌てて謝り、惚けるも、黒木が動く気配はない。
勘づかれたか・・・
黒木がゆっくりとこちらを向く。
目が合った。
こちらを睨みつけている。
どうやら、逃がしてはくれなさそうだ。
3話目投稿です!
ギリギリですみません・・・どうにも当日まで気づかない性分でして、トホホ
次回はGW中なので早く投稿出来ると思います!
次回もお楽しみに!