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6:従者

本日1話目。2話目は18時に更新します


オレがエクリア達がいると聞いていた部屋への道をたどっている間にかなり慌ただしそうな使用人達を見送る。

これは国の政で何か起きたな?

そう思ってる所で柔らかい何かとオレの胸当てが当たる。

「なのですっ」

あれ、と向き直ったら先程の従者らしい少女だった。

使用人の向かう所と顔を必死で覚えていたので小さな陰に気付けなかったというべきか。ただ、

オレにぶつかった従者は「ミュウー?」と探しに来たらしいエクリアの声を聞くや否やササっとそちらへ向かいダッシュする。

…鳥みたいなのが描かれた珍しい下着だったな。


「て、ちょっとミュウ、食い込んでる、手が食い込んでるから止めなさいっ」

え、どこに!と思って少女がかけてった廊下の角を見るとそこにはエクリアが身に着けた山脈を鷲掴む小さな女巨人の魔の手が!!


「むー、ご主人様の胸もミュウのものなのですーやらしー目でミュウの胸も先程見てたアホ騎士には見せてやらないのですー」

「何やて、ご主人様の胸はご主人様だけの胸やろ!」

と盛大にどこかの国の語が飛び出してしまったオレ。戦いのゴングが鳴るのを魂で理解できた…っ!!


「ミュウは知っているのです、この世には種を植えられない胸と植えられた胸があるのです」

「それが男と女だとでもいうのかよ」

「女ですらその前者の絶対数は圧倒的に少ないのですっ、特徴ではなく希少価値ですらないのですっ」

「そんな事を言えばいずれ女性同士でも火花散る戦争の冬が来るぞ!

何故選民主義を他の事に使えなかったんだ!」

「小粋なジョークで世界が救われるならミュウがやらねば誰がやるのです!」

「とりあえずあんたたち2人がまともな思考ができない変態だとハッキリと分かったわよバカ――――――――!」

「「すみませんでした(のです」」

雷とオチをエクリアが盛大に落としてくれたので世界の胸囲社会は守られた。きっと…そうだよね、弟に妹よ。


「いやあ、こんな幼子な嬢ちゃんとだと会話の気が抜けて弾むわぁ」

「ちんちくりんそうな股間のナニを持ってそうな人が良く言うのです」

「いや、うん。そろそろやめような。数日の内にオレも受肉されるそうだしその時確かめればええんやで?」

「お嬢様にはミュウがいればいいのです、泥棒オオカミは天に尻尾を巻いて還ってほしいのです」

「それができれば苦労はないな」

「…なのです?」

凄く見損なったような目で見るのを正面から見据える。本音でこう言う捻くれた娘に語らないと無理だろう。

それでも捻て受け取るようならそれはこの子の清算するツケだ。


「オレはヘビを追うのに必要だとか言われているんだそうだ。そしてそれはエクリアの下じゃなくても良かったんだそうだ。

生まれが狩人だからかね、

でも【助けて】って言葉を聞いて応じれないのは1つの命としてだけじゃなく男として騎士として恥ずかしいと思えるくらいにはオレは人間のつもりだよ」

「「…」」

「エクリアを誰が追っている?誰が蛇となると思う?」

2人して顔を見合わせる。戸惑いはあるようだけど伝わりはしたらしい。

「考えながら部屋行こうぜ。時間は少ないかもしれないけどな、焦っても変わらない事はある」



2人に招き入れられた場所は割と女の子の部屋らしい所だった。これは、2人でこの館に住むって事か。


「敵は帝国なのです」


部屋内に設置されていた料理場。手慣れたようにフライパンで野菜の具を入れた麺みたいな皮を食用オイルで揚げながらミュウは答える。

「でも帝国ではないのです」

「どこかで聞いたことのある謎かけのようだな」

「蛇に近いという言葉で思い出したのです。


あいつはご主人様をこの世の全てから追放するつもりなのです」


「はぁ?」


天使ですら制限を設けられるこの世界、人の心をどうこうするような真似をしたらそれこそ排除対象だろう。

けど、この世界なら…全てを敵に回してもそんな1個人を無かったことくらいならできるのか?

記憶という心の穴がどうなるかも分からない…いや、それすら何とも思わないという事か…?

それとも…


そう考えている間にミュウは続ける。

「この世の全てなのです。……そう口にしたのです。

いたという記憶すら人の中に残すつもりが無いように口にしていたのです」

「そいつは?」

「多分名前を言っただけで誰もが殺される事になるのです」

「ミュウ!」

コトンとミュウがオレ達の中央に揚げあがった料理と温かいスープを置く。

その手をエクリアが凄い表情で握りしめる。


「アタシが絶対あなたを安全な所へ送るっていった約束が守れない!」

「それは多分無理なのです」

ツインテールを更にリボンで2つ分けにした両端4つの白髪が揺れる。

気付けば首に飾られたエクリアからの贈り物だろう断裂抑制装置に手を当て言っていた。


「ご主人様の力の一端がミュウの【特異点の網】を隔離しようとしても、

引き寄せは行われるのです。死の運命から命が逃れられない事や風が幾ら暴風になっても大地を直接えぐる事が出来ないのと同じなのです」


「そこで諦めてんならお前は一生そのままなんだな」

バッサリと切って捨てる。こういう言い合いにはナイフのように現実をぶつけないと解決は難しい。

沢山の師匠にも言われたことだ。

「てかまず前提問題としてお前1人で抱えられたもんじゃねえだろ。

誰もが殺される?はん、元より特別なんざそうそういるかよ…

いるかもだけどあの肉ダルマみたいな女将さんは除外な」

「カジメラ氏を悪く言うのは止すのです…」

「そこは置いとこうぜ」と前置いた後オレは続ける。


「どうにもできないならできないと決めないであがく行動をしないでどうするんだ?

考えないでどうするんだ。未来は変えられません、ハイそうですかならそのまま向かいますと初めから諦めるくらいなら、

何か変えられないか行動しないと始まらないだろ?

考えるなり誰かに相談するなりしてダメだったってのか?

これまでの人生で似たようなのを見る経験は…無いかもしれないけどな。

いつも自分を中心に何かしら起きているってわけじゃないんだろう?それは」

畳みかけるように言いつつ2人が何か言葉を探している内に「少なくともだ」と前置いたあと

オレは言う。

「オレたち二人にそれを言ったって事は変わる可能性はあるんじゃね?

力にならないなんてウチのマスターでもいわないだろう?」


「当り前じゃないっ!何のために逃げてきたと思っているの!」

エクリアがテーブル叩いて立ち上がるくらいに感情的になる。

スープが零れかけたが今はそこは問題じゃない。

「じゃ、ミュウの方は今までどんなことがその特徴のせいで起きて来たか。

それで、どうすればいいかこれ2,3つくらい食べながら考えな。でも」

その前に野菜包を前にしてオレは両手を合わせてこう言った。

「いただきます。生かしてもらう為採った恵みとかに感謝するのは

忘れない方がいいな」


ミュウっていう名前をアニメで聞いた方はいませんか?どうにもアンドロイドの執事みたいな

麗人女性キャラなのだそうですが。

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