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4:ウォーノッドヴァンガード(前半

本日2話目です。


「さあて、仮なんて付くに限らずうちの家族入るに当たり自己紹介は済まさんとね」


公国特殊任務部隊内の前線用組織ウォーノッドヴァンガードが持つ超巨大強襲艦グリフォニアテンペス。

全長400レート(メートル)に30インチ連装砲を4基備えた軍用空戦艦。船の船体に翼と球状の機構を持ち、

マストの上には3つの大きなプロペラントタンクと鋭利な翼にホバー変形部が爪のように並ぶ。

下部船体にも推進機構が付けられており、最大速度はそこらの国の空母には逆立ちしても負けないんだそうな。

また、小型魔艇という名前の強襲用空中ボートを10隻ほど保有しており、

10人まで先行を可能としていた。


部屋は炊事・洗濯場実験・収納庫・個室・客室と多岐にわたり、この船1つで生活に1月はできるらしいが全部見て回らない事には理解が追いつかない。


とにかく船とかを知らないオレでもとんでもない空飛ぶ戦艦なのはわかった。


今はソムロが統治している浮遊島にある収艦スペースを大々的に使い居座っている。


そのブリッジで肉ダルマ―カジメラという名のオカミが口にするのを聞きながらオレは思う。


(果たして、仲良くできるかどうかは別だ)

一気に肩身が狭い思いだった。

オカミさんのいう事は真実でも決して真実とは限らない。

家族すら利用する人物何てそこら中にいてもおかしくない、この部隊の総大将がその第1人者なのだから尚更に。


(しかし…)

そう思いながらオレは周囲を見回す。

(ただでも狭い肩身が割と別の意味で狭くなりそうですねこれ…)

見た所男6,7人。大して女性11人(例外含む)+召喚者及び召喚獣。

マジで男が肩身の狭い思いするとは思わなかった。

そして女性陣でも

(天と、地の差がありますね…中間が存在しない形で)

因みに、あの女将より大きいというバケモンだろというサイズの胸がある。

世界は広いなと思ってガン見してはいけない。

彼女達の目が野獣の眼光になっていくのだ…っ

「んじゃ、まずは同期同士で話でもするかい」

「へ、同期?」

流石に意表を突かれる。思わずリフスペート(オウム)返しで訪ねてしまった

「お前と同じ【仮入隊】身分だという事だ、バケモノ」

「ね、姉様…」

やけに刺々しい言葉が開幕から来た。胸を見てたからかもしれない。


「ウーリ・アストラだ。…礼をされるつもりはない」

こういうのは最初からなめられたら負けなんでからかう所から始める。

「おたく、非処女だな」(ドヤァ…

「死ねばいいのにとでもいえばいいのか貴様」

「見た所諜報員で枕ごとでも教え込まれたかよ?にしては歩き方の偽装がなってねえよなぁ、え?」

ニーヨニーヨしながらあえて言う。冷たい目に殺意が付いてくるがあえて正面から受け止めてやる。

いびりで軽くコミュニケーションした所でカジメラのオカミに視線を投げる。


「はいはい、ケンカは後々さね。もう1人同期はいるんだよ?」

「私の名はアルトレートだ。既に加入内定を済ませて悪いが宜しく頼むよ。君とは気が合いそうだな」

「それはねえ!」

あえてにっかり言いながら言う。イケメンは敵だ。たとえオレが2枚目に近い3枚目でもな!

しかし真のイケメンは「嫌われたものかな?」とこのにくいかわし方よ。やっぱずりぃな。

こういう奴は嫌いじゃない。


つい昨日、気さくに話しかけられた時から多分気の合う付き合いになるとは思ってたが。


「先程は姉様が失礼しました…」

「ああお構いなく、そういうタチなんだろうしああいう女性も嫌いじゃない」

「それを聞くと安心してしまいました、この船の操舵主任を務めさせて頂いてます、

レウフ・ロンジュエです。それとこちらが…」

『やほーい、天使は初めてかい?少年』

小さな光が彼女の肩回りをクルリと一回転しオレの目前で止まる。

翼を2,3対も広げた小さな天使だ。

間違いない、昨日艦を不可視の障壁で完全に守っていたのはこの天使か。

しかもそれだけじゃないなこの天使…魔力がけた違いに高いと第六感が未熟なオレでも感じる。


オレが魂座で会った天使と同等に近い神力を備えているか…?


「私も帝国西部の出身ですが、ここにきて召喚にあやかれました」

「うん…?」

このレウフって子、姉と言っていたウーリとは違い小さな体にはち切れんばかりの実りがついた体つき。

服はどこか祈り手や踊り子を思わせるようできわどい所の大半をしかとカバーしているがそれ以外の露出が大きい服装。


姉のどこか男の子の工作員と見紛う服装とは大違いだ。


しかしオレが気になったのはこのレウフって娘、目の焦点がまるで動いていない?と

オレが思ったのを察したのか「あ、失礼しました」と前置きし


ポロリ と 音 が す る…


いや、服とかが開けたんじゃない。顔から何かが2つ落ちてきた。オレは落ちそうなそれを反射的に手にしてしまう。

…冗談じゃねえ。冗談じゃねえぞ!?


彼女の眼球じゃないのか、これは。


「一応見てくれは同じものに近いように作って下さったのです。

ここの人達は気も腕もいい方ばかりですよ」

何という気もなしに穏やかに口にする。流石のオレでもこれにはたじろいだ。

彼女は視覚という光を文字通り失っているはずじゃ?

「それ、は…」

「姉様と私が引き取られた家の古い仕来りみたいなものを行っただけの話です。

それに、目が見えずともわかる事はありますよ」


す…とオレは眼球を拾った右手を握られる。ウーリが憤怒の顔でこっちを睨んでいるが気にもならなかった。

それはこれから冬が明ける季節にも関わらずひび割れた感じのする乾いた手。

これは、家事をしてたオレの母と同じように優しい手だと分かる。

「あなたの手は取りこぼしも無いように大きく力強そうですね」

その言葉に悲しさを憶えながらオレは返す。

「君のは優しさに満ちているな」

「…口説きですか?ご主人さんが聞かれたら怒られますよ」

「許して下さい本当の美人には弱いんですそして発言は絶対撤回しないしできないから」

「はい」

目が無いのが分からないくらい自然体でお淑やかときた。これは、叶わねえわな。

と思いながら「もういいかい?」と声かけてきたカジメラさんにレウフをそっと預ける。


顔形からしてレウフとウーリは双子の姉妹だろう。家名がどうして違うかは後から聞くしかないな。

因みに妹は山脈で姉は丘陵だ。問題はそこじゃないだろうがな(キリッ

「え、エドウィックっていうんだ。エドって呼んでよ。隣のこのフォックスとハムスターの中間みたいのはマリシュ。

僕と―」

「ドアストだ」

「ムニェーリムよ。マリシュは私達が村全体共々奴隷になりそうな所を助けてくれたの」

「キュッキュキュー」

球種花みたいに所々の関節にある毛皮がふんわりとしたいわゆるペットのような召喚獣を囲う3人が口々に言う。

エドの容姿はどこにでもいる気弱そうな眼鏡に茶髪、金色というよりは黄色い麦のような色合いの目だ。


ドアストは髪を切るのが面倒そうな性格のようで、片腕が機械化している。


緑の目のムニェーリムは赤い髪を両端で束ねている。両端の髪留めから魔法具の気配がしている。

そして


「エドを隊長にした直接攻撃部隊主力、ティエレッタよ」

恐らく直接攻撃部隊の中で一番の主力ともいえる魔力がこのティエレッタという女性から感じる。


この気配は間違いねえ、竜の気配―それも数多の。


他の胸の無い少女達と同じ外見は14程度の少女のそれだ。

この直接部隊自体の装備が冒険者風の動きやすい装備で統一しているから区別は余りつけ難いかもしれない。


しかし、確かに召喚するものの力で契約者の力も伸びるとハッキリと分かる。


しかもこの恩恵は必ずしも誰もが預かれるものではない代物だ。

召喚されるものは望んでこの浮遊島世界に呼び出される。

召喚自体を拒否する事もお互い可能ではあるらしい。

召喚を行う装置は公国・連邦・王国の限られた場所に設置し、

次元の亀裂を私有化できているんだそうだ。オレみたいな例は本当に少ない。

てか、オレみたいな別世で死んだ奴を蘇らせるような形態はこの世界で初なんだそうだ。

少なくとも表向きは。


昨日の艦をまるでケーキ入刀みたいに軽くぶち抜き破壊したオレとエクリアの力と同じ。

途轍もない、途方もない力だ。

そんなのを持つ可能性を召喚契約は有している。いい意味でも、悪い意味でも。


それでお次はというと

「ベガレニーとー」

「アーシェだよー」

「「姉妹揃ってウォーノッドヴァンガード(以下WV)の産業系工作主任だよー!」」

これはまたおしゃべりな感じの姉妹が来た。平たい胸を気にすることなく研究者の薄い衣を着ている。

クラゲみたいな頭に複数の色の石がついていて石と頭の隙間から何か糸が幾筋も垂れている。

「ウーリのいる直接攻撃部隊とレウフちん隊長の艦直衛部隊の罠連携も兼ねてのそれぞれ部隊所属なんだよ」

「こちらに攻めるも地獄、守るのも地獄を見せたるのだよー近づいた奴らは魔力の糸で艦もバラバラに解体するの」

「へえー、もしかして2人とも商業にも関わってきてるとか?」

「ご明察―!あたし達のこのジュエリーヘッドの各魔法鉱石からは様々な種類の魔法伝導糸が生み出せるのだ!」

「こんな世界だから私達は希少なのだよ~」

口々に話すタイミングが完璧だ、本当に仲いいんだろうと分かるし見てて飽きない。

エッヘンとはってる胸は姉妹揃ってまな板だが。それよりも気にするべきは


「この世界、水少なそうだけどお前ら大丈夫なの?」

「実は結構陸地じゃ身体能力落ちるんだよねー、クラゲだけに」

「カジメラさんやショアンちゃんに助けられなければ私達は貴族の道具に文字通りされてたんだろうなあ。

一応今もお貴族様の道具ではあるんだろうけど」


この姉妹はフライングジュエリーという希少な種族で旅の遊牧民から奴隷として売り出されそうになったのだそうな。

どこもかしこからも奴隷として売り払われそうになった所帯が集まるのがこの特殊部隊WVだそうだが。

クラゲの頭に魔力の宿っている結晶がいくつもくっついた特異な容姿。


この世界には管理される法則がいくつか存在しているらしい。1つはこの契約召喚のシステム、

何かしら縁のあるモノがこの世界には【属性道】として引き寄せられるらしい。

それは、本当にどういった形なのかも天使や魔族の知識すら凌駕する時すらあるとウーリの召喚物である回転糸弩―いわゆるクロスボウにのり移ったエルフの精霊が教えてくれた。

名前はアルドナというらしい。


そしてもう1つがこの浮遊島をめぐる天水路システム、

この水の道は浮遊島を通し緩やかな螺旋と幾重の網を数十も描きながら下の最底淵穴へと流れ出でている。

中には排水をしたの島へ流している浮遊島もあり、途中のろ過魔術装置は中継地点に存在していない。


上層の大半は確かに楽園で、選民思想も多い理由はそこにある。

正直気に入らねえ。

納得も理解もどっか遊覧してそうな毒虫に食わした方がましだ。


そして先程から「あの、その…」と引っ込み思案にこっちを見て何か話しかけようと努力しているのが

さっき話に出てきたショアンって子かな。


髪も目も真っ青な海のような少女。服装もニーソにどこかで見た気がする教育機関の正装みたいな服を着ている。


この子の背中を押すように後ろからオレに飛んできたのが彼女の召喚者だそうな。

目につくのは悪魔の羽。頭の上で輪のように爪のような部分が連結している。

「ショアンの代わりにこのどこにでもいそうな魔族娘が紹介するねっ、

ショアンの召喚パートナー兼魔力回復要因のチェアーちゃんでーす。

タテサダって商人さんには借りがあるけど気を付けてねー」

「チェ、チェーちゃん不躾すぎるよぉ…」

「ってことはオレの体や他召喚されてるもんをいつまでもこの世に留めておけるよう根幹に近い部分で補助して貰ってるとか?」

「その通ぉーり!ただお兄さんの場合はねー…」

チェアーって娘は他の少女の方を見る。ここにきて【なぜか】どこかで見覚えのある服装の少女がいた。


間違いない。彼女は【オレが死んだ世界のどこかの国にあった魔術師師団が着ていた服を着ている】。


脇で従者のように立っている女戦士も。

分かりやすくオレの前にいつでも立ちふさがれる位置を取っている。

魔術士の少女が数歩の距離まで寄ってきておりチェアーの言葉を引き継いだ。


「その体はその魔法紋が魔力で満たされ次第定着され、受肉も近い内に完了するよう魔法を施してあるんだ。

試験的な観察も兼ねてね。

…初めまして、私はアンソニーという。

従者のようなお付きの戦士はケーラだよ」

「私と今レウフと操舵調整の交替に行っているラヴァという男でズィーゲル将軍旗下の

戦術本部部隊を担当している」

事務的な言葉が説明するようにオレの耳に入る。

主である少女と反対側の方で髪を一まとめに束ねている色黒の少女は次にオレへ向け口にした。

「提案したい事がある。

あなたはかなり消耗しているようなので休憩をはさむ事を提案する」

「お、助かる」

割と覚える名前が多すぎるので思わずそう言ったオレだった。


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