01
ニャウ。
子猫ような鳴き声に目を覚ませば、そこは森の中だった。
けれど陰鬱さはなく、木漏れ日が美しい。
ここが異世界なのか…
カプカプ。
小さな生き物が手にじゃれついてくる。
遠慮なく噛み付いてくるそれを摘み上げると、不満そうな声を上げた。
ニャー。
子猫…いや、虎か…?翼があるけども。
まあいい、こいつは後回し。
こういう時はお約束だよな。
「ステータス」
おぉ、出たぞ!
目の前に、半透明のウィンドウが表示された。
タッチパネルみたいに操作も出来るようだ。
名前 : ヨシト
年齢 : 17
おぉ、17歳!
うんうん、いい感じだ。
ステータスが全部“∞”なのはこの際気にしない方向で。
気にしたら負けな気がする。
称号 : 女神を土下座させた男。
ちょっと待て、人聞きの悪い!
あれは女神様の自発的行動のはずだぞ。
あとは、アイテムボックスに路銀とか入れとくって言ってたな。
アイテムボックス
中身 : 100億ギル、調味料セット、外套、武器防具一式
100億ギル…大金だと思うんだが、こっちの通貨の価値が分からん。
お、これは女神様からの手紙か?
……ふむ、なるほど。
1ギルは1円、つまり日本円に換算して100億円。
慰謝料だから気にせず受け取ってくれと。
……俺、もう一生働かなくていいんじゃないかな?
あと、調味料セットは使った分だけ自動補充機能付き。素晴らしい。
アイテムボックスに入れとけば腐ることもない。
醤油も味噌もマヨネーズもあるぞ、ふはははは!
………取り乱しました。
さ、装備のチェックをしよう。
「これ…えらい豪華な武器だな…」
比喩でなく、ピカピカ輝いてるんですが?
こういう時は鑑定。
神具 : 聖剣ヴァイスリーン。女神自ら創造した最強の剣。あらゆる魔を払う。
はい、アウト。
盾も鎧も神具だった…しばらくアイテムボックスに封印だな。
外套は問題なさそうなので、ありがたく使わせてもらおう。
読んでくださってありがとうございます。