06
結界も張って、安全面もオッケー。
え、見張り?必要ないよ。
…土下座するほど嬉しいか、猫耳メイド。
「サマンサって呼んでくださいなのです」
あ、そう。
「そろそろランタンつけましょうか」
「いや、ランタンは必要ないよ」
光魔法で小さな光球をいくつか宙に浮かべる。
日が落ちると綺麗だから、女の子は喜びそうだな。
「嘘、魔法の多重展開…こんな簡単に…?」
「ん?何か言ったか?」
「い、いいえ!そろそろ晩御飯にしようかな〜って」
コンロと、鉄のフライパン。
油返しして、焼くのは日本で一番売れてる銘柄のウインナー。
鉄のフライパンで焼くと、プリプリして美味いんだよな〜
あとは切れ目を入れたパンにレタスを敷いて、焼いたウインナーを乗っける。
お好みでケチャップとマスタードをかければ…
「ホットドックの完成!」
飲み物は水筒に移しておいたミネラルウォーター。
ハクにはウインナーとリンゴ。
夜空を見ながら食べるこの贅沢よ。
「ヨシト…あの、材料費払うから…余裕があったら私たちにもそれ、食べさせて」
カリナが手に持ってるのは、クッキーの出来損ないみたいな…
鑑定。お、あれが冒険者御用達の携帯食か。
うん、モソモソして不味そうだ。
「ああ、材料費はいいよ」
「え、でも…」
「サマンサ、メイドならお茶入れられるよな?」
「あったり前なのです!」
「茶葉もティーセットもあるから、あとで美味しい紅茶淹れてくれ」
追加でホットドック2つ。
「 おいひぃ〜〜♪」
「プリプリ、肉汁が…っ!」
歯を立てた瞬間プリッと弾ける皮。
肉汁が口に溢れる。
うん、美味しい!
(ますた、おいしい!)
「おかわりするか?」
(うん!)
「いっぱい食えよ〜」
「おかわりなのです!」
「お前じゃねぇよ!遠慮がないな?!」
作るけど!
ああもう、この駄メイドめ。
◇◇◇◇
食後の紅茶は、サマンサが淹れてくれた。
へぇ、さすがお姫様付きのメイドだな。
3人でお茶を飲みながら、はちきれそうなお腹でひっくり返ってるハクを眺める。
「明日の昼までにはテミルナ山の麓に着けそうだな」
「うん、気合い入れないと!」
「大人しい気質のドラゴンらしいから、大丈夫だよ」
ドラゴンスレイヤー目的の、他の冒険者の方が面倒そうだ。
かち合わないよう気を付けよう。
「じゃあ、そろそろ寝るか」
「そうね、おやすみなさいヨシト、ハク様」
ウトウトと今にも寝落ちしそうなハクを抱えて立ち上がる。
「…何から何までありがとう、ヨシト」
「い、いや…気にするな」
「ふふ、優しいのね」
そう言って微笑んだカリナは、いつもより可愛く見えてドキっとした。
「にゅふふ〜、ふわふわベッドで朝までぐっすりぃ〜♪」
……色々台無しだよ!駄メイドめ!
読んでくださって、ありがとうございます。