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はじめまして。 小説初心者の時計と申します。

「こんなはずじゃ…… なかったのにな」

ーー


バス! バス!

早朝、 誰もいない空間にサンドバッグを殴る音が響く。

「くっ……」

1人の青年が一心不乱にサンドバッグを殴る。


ーーバスッ! バスッ!

青年は汗だくになりながらも殴る。 しかし、体力も底を尽き殴っていた手が止まる。

「今日はもう切り上げるか……」

タオルを手に取り汗を拭きながら2階の自室に戻り、ベッドに横たわる。 すると、不意に眠気が襲って来て、

ーー青年の意識は消え深い眠りに入っていった。





「あの男で間違いないんだな?」

青のドレスローブを着た女性がどこか怒っているような、そんな声で隣の男に問いかける。

「はい。 間違いないかと」

「ふん、そうか。 随分と呑気じゃないか。 今すぐ移動魔法陣を組め!」

「はっ!」

そう言って男が部屋をでる。

(やっと、この時が来たか……穢れた奴を暴く時が)

女は背後の光が差し込んでいる窓へと近づき外を眺める。 遠い過去を見るように……

(長かった。実に長かった。再開するのはあの戦い以来……か)




……どれくらい経っただろう。 先程の男が部屋に入り

「魔法陣、組み終わりました。いつでも連れてこれます」

「よし、今すぐ発動させよ」

「了解しました」

淡々と男は喋り、また、部屋を出て行く。


男が部屋を出て少し経って、

ー部屋の中央に魔法陣が出現し眩い光を放ちながらぐっすりと眠っている青年が姿を表し出す。

「来たか…… トニー=レッドフォード!」




トニーは夢を見ていた。


「お前は、日本界で佐久間 勇樹として生きろ」

青のドレスローブを着た美貌の女性が言う。

「意味での記憶は取り除いておく。 日本界で誰かに拾ってもらい育ててもらえ。 そして、時が来たらファニムに戻ってくるのだ」

そう言って楕円形の魔法転送陣の中にトニーを押し魔法を解除した。


日本界に転送され、どこの街かも知らない場所で1人座っていると優しそうな顔のおじさんがしゃがれた声で話しかけてきた。

「坊や、なにしとるんじゃ?」

俺は答える気力もなく、力なくコクッと首を縦に振る。

「うーん……こまったのぅ」

俺は反応にこまったおじさんのズボンの裾を摘んだ。

それが決め手となったのだろう。おじさんがニカッと笑って

「よし! 家でワシが面倒を見てやろう」

と言って、俺をおんぶして1軒の少し古びた家に連れていった。 おじさんがドアを開けるとそこには四角くロープで壁を作られたような決闘場みたいな場所が中央に大きく設置されていた。 さらに隅には、赤や青の太い棒みたいな何かが吊るされていた。 すると、おじさんが俺の反応を見て、

「驚いたじゃろう、まぁ無理もないのぅ。 ここはのぅ、ワシが若い頃格闘技のジムだったんじゃ。今ではもう潰れたがのぅ。」


ーーしかし、ここで夢は強制的に終了する。

「おい! 聞こえんのか!」

夢で聞いたような女性の声が耳元で響く。その声で俺は目を覚まし、ガバッと起き上がる。 しかし、部屋の光が強く目を細める。すると、

「やっと起きたか、この怠け者!」

目が強い光にだんだん慣れ、声の聞こえる方を見る。

そこにはあのドレスローブを着た女性が立っていた。しかも、夢に登場した女性にそっくりだ。俺は目を疑い擦る。 しかし、擦っても何も変わらず、だ。

「トニー久しぶりだな〜!」

先程とは雰囲気が変わり、いきなり親しく接してくる。 この変わりように俺は混乱状態に陥ってしまう。

すると、女性が俺のことはお構い無しに

「あー、いきなりで悪いが、トニーお前にはここのファニム総合学園で講師、兼スパイをしてもらう。」

いきなり馬鹿げたことを言う女性に目を点にして俺は「はっ?」 、と力なく反応するのであった。



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