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主人公に魅了された主人公  作者: 塩塩塩いのち
1/5

日常

 空は灰色に染まり、湿った空気は流れ、雨は今にも降りそうだった。


 それでも、オレはいつものように本を読みながら登校していた。

 オレは小学生から今に至るまで、ずっと本を読みながら登校していて、もう癖となっていた。

 傍から見れば、『ガリ勉』『カッコつけ』『何、キャラ作ってのん?』『厨二病オツ』とか思われているかもしれない、いや、言われたことあるか……。


 とにかく、オレは本が好きだった。だから、登校する時、オレの手には本があった。


 まぁ、歩いてる時にどこを向いていたら良いのかわからないとか、寂しさを紛らわすため、とかそんなお粗末な理由もあったけど。

 本が好きなのは確かである。

 その証拠に、今読んでいる『人間失格』は10回以上も読んでいるのに、未だかつて飽きたという感情を抱いた事はない。毎回読むたびに、体から湧き上がる熱は、きっと本物であり感動である。

 オレは本を深く味わえる人間なのである。


 「あ」


 不意にポツポツと雨が振りだした。


 めんどくせぇー。


 オレは、少し濡れた本をカバンにしまう。傘のないオレにとって、雨との相性は最悪である。早く学校に行くか。

 そう思い、オレは雨から逃げるように、地面を蹴り出した。



 多分、この時までが普通だった。

 普通というか、日常がいつも通りに起きているだけであった。

 この後からだ、この後からおかしくなったんだ。

 オレも人々も世界も全部。


 

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