#3 Justice
「総員、第一種戦闘配備!β-replica Mk.001は射出口第10ゲートへ、Mk.002は第13ゲートへ!到着した300秒後に出撃させろ!」
そう叫ぶと、武蔵はキースの方へ振り返った。
「見事なものです。今のところ、ほぼ貴方の戦術通りだ。」
「それはどうも。――――あちらがその気なら、こちらも仕掛けるまでのこと。」
山岳地帯08では、凛が武力介入部隊を迎撃していた。
彼女の戦闘器――アクケルテは戦闘器の中でもかなり特殊なもので、レプリカスーツに接続して使用する数種類のミサイルパックと狙撃用に改造された専用のロケットランチャーのことをまとめて「一つ」とみなしている。
「…ッチ、外したっ…!」
見たところ、雑兵しかいない。どうやら旧市街地エリアにいる一芽やましろ達が本当の狙い目のようだ。
凛は思い切ってそう判断し、数だけは無駄に多い雑兵に体と足元のミサイルパックの砲口を向けた。
「アクケルテミサイルパック2番・3番、オープン!――発射!!」
凛がそう叫ぶと、レプリカスーツに接続された二つのミサイルパックから、敵の雑兵目掛けて一斉にミサイルが発射された。
ミサイルが命中して倒れていく敵を見て、凛の脳裏には今は亡き施設の皆の姿が浮かんだ。―――そうだ、私は、正しい。こいつらは皆を殺した。許さない。だから、せいぜいもがき苦しんで死ねばいいんだ。
「お前達にっ、お前達なんかにっ!!!!」
「―――"お前達なんかに"…何だよ?」
凛は背筋が凍るのが分かった。こいつは雑兵なんかじゃない。本当の武力介入部隊の男だ。
「親も皆殺されたってか?俺たち(異端人)に?」
「だから何だ!お前なんかに何が分かる!」
「その俺たち(異端人)とやってる事は、大して変わんねぇのなァ!!」
「!!!」
男の一言に凛は一瞬攻撃の手を緩めてしまった。
「もらったァァァ!!!!」
男は凛にライフル銃を向けた。その時だった。
「凛さん!!!」
「―――っ、ましろちゃん!!」
凄まじい轟音と共に凛の援護に駆けつけたのは、ましろだった。
それもそのはず。ましろの戦闘器はミョルニル(正式名称:巨大鉄槌型戦闘器)だからだ。全長3m重量5tのこの戦闘器は、高いベータ波放出量を誇るましろにしか扱えない。
「――っクソが!んだよこのガキ…っ!!」
「凛さんに触るなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ましろがミョルニルを振り回すと、流石に2対1では不利に感じたのか、男は山岳地帯08から去って行った。
「…っましろちゃんっ、ありがとう…!でも、どうして…」
「…たった今、本部からレイさんと忍兄ちゃんが出撃したって…っ、だから、背後を突かれる前にっ…凛さんを援護しろって…っ!」
息も絶え絶えになりながらそう会話した後、しばらく呆然とした様子で、異端人の雑兵の屍の山を二人は眺めていた。
「遅くなったっ!すまない!」
「…っ、レイくん!大丈夫、援護感謝します!」
レイが到着した時、旧市街地エリア03では雑兵にはケリがついたものの、やはり武力介入部隊に手こずっていた。
「っあはははははははははははは!!!ねぇ、苦しいでしょう!?僕の手で眠らせてあげる!!!」
「誰が貴様なんかに!!」
今の今まで忘れなかった異端人への憎しみを、レイは目の前の敵にぶつけていた。こいつらは、人間を殺すことを愉悦と感じている。そんなヤツを生かしておけるか。
『―――そこまでだ。ペンドラゴン中尉。』
「っ、サンチェス隊長、しかしっ」
『たった今クレイモア元帥から撤退命令が出た。悔しいのは分かるが、今は撤退しろ。…こんな下級種族、いつでも殺せる。』
「…っ、了解。」
武力介入部隊の"ペンドラゴン中尉"と呼ばれた男は、残っていた仲間と共に撤退していった。
「…っは、以外と短かった、ね。」
「!撤退…したか。…っ、どうした?レイ。」
「……いや。なんでもない。」




