#1 The end and reproduction
朝起きたら、顔を洗って。着替えて、それからご飯を食べて。
学校に行って友達と会って、ちょっと嫌だけど勉強して。
帰って来て、皆で夕飯を食べて。テレビを見て。ときどき喧嘩して。
ちょっと目を閉じて、また目を開いたら朝が来ていて。
ーーーーーーそれが当たり前だと思ってた。
ーーーーーーこんなにいきなり、失くすなんて思ってもいなかった。
ーーーーーー神様なんて信じてないけど、いるならどうか、返して。
『父さん…?母さ…ん…?…皆、は、どこに…』
皇 レイが目を開くと、そこにありふれた日常はなく、瓦礫の山や建物が燃え尽きた跡ばかりだった。
『どうして…誰もいないんだ…?俺、だ…け?』
夢なんだと思いたかった。そう、これは悪夢。目を開ければまた、母さんの催促する声や皆の笑い声、テレビのニュースキャスターの声がするはずだ。レイは再び目を閉じようとした。
『少年。』
一人の男の声に遮られた。
『…なんだよ。もう少し寝かせろよ。
ーーー疲れたんだよ、もう。』
レイにも、わかっていた。いや正確に言うと思い出したのだ。
昨日家族も、集まっていた親戚も、みんな目の前で異端人に殺された。
帰って来ないことくらい、わかっていた。
『…その様子だと、受け止めきれていないようだけど…いやに冷静なんだね。』
『……っるせぇ。』
この男には関係ないのに、自然と異端人への憎しみをこの男に当ててしまう。…復讐したい。あいつらに。異端人に。
『…なるほど、異端人に復讐したいのか。君は。』
『…っ!あんた、何で…』
『なんとなくさ。』
なんとなく、の割りにいやに的を突いてくる。何もかも見透かした様な物言いだった。
『そんな君に朗報。君は"適合者"だ。』
『適合…者?』
『そう、君は力を得たのさ。』
「ーーーー朝、か。」
いつもここで目が覚める。
レイはあれから、あの男ーー小鳥遊・キース・晃に連れられて、地下シェルター内部にある日本政府直轄の「β-replica作戦本部(通称:β作戦本部)」の寮に入れられた。様々な検査をした。専用の武器を作るからといって身体能力のテストでデータも取られた。
最低限以上の衣食住。こんな世界の中じゃ恵まれてる方じゃないか。レイはそう思う事で、この現状を受け入れようとした。
それでも、心の傷は癒えなかった。
ーーーピリリリリッ
無機質な通信機の音が部屋に鳴り響いた。どうやら早速作戦会議の様だ。
初SFの作品です。他の投稿サイトで連載していましたが、こちらで連載する事に致しました。
初心者ですが、よろしくお願いします。暖かい目で見てください。楽しんでいただけたら幸いです!