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徒然短編

こんなゆめ

作者: 紅夜 真斗

キウイ……ニュージーランドの飛べない鳥だったはず、です。

目覚ましに合わせて必死に起き上がり、隣の家の小鳥の鳴き声で意識を現実へ浮上させていく。

朝からご近所同士でゴミ袋もそのままに談笑。

隣のおばさんが小鳥が餌をねだる声にかごをあけてたが、逃げ出す様子もなく実に大人しかった。

  少し遊んでらっしゃい


おばさんの言葉が理解できるのか、小鳥は戸惑いながら空へ飛び立った。

二度三度と虚空を飛び回り、気が済んだのかカゴへと戻ってきた。

しかし、中にはいつの間にか先客がいた。

見慣れないそいつは長く細いクチバシをもち、長めの細い足で焦げ茶色の体型は丸い。

そいつはキウイ……何故だ?

おさまるはずもない体型はきっちりカゴに窮屈なそぶりもなく納まっていた。

小鳥か先客を無理矢理どかすことなく自分の部屋を手に入れるのは時間がかからなかった。

キウイ自身がひゅっと空を飛んで、場所を返したのだ。

……ちょっとまて、キウイは飛ばない鳥。しかし、そいつは天高く煌めく朝日を浴びながら確かに飛んでいた!

キウイは頂点にまで飛び上がった途端、その翼を閉じて、クチバシから地面へと落下した。


……死んでしまう!!


咄嗟に過ぎった言葉はすぐに驚愕の声となりもれでた。

キウイは地面に激突することなくそのクチバシを地面に突きたてた!

まるで大地に埋め込まれた太い一本の杭さながらにピシリと垂直になっていた。


 ――ありえねっ!!!!


どれほどまで表情を崩せばいいのかわからないほど、顔中の筋肉がゆがみ視線は杭となったキュウイから動けなかった。

「あら、水探しが始まったのね」

見慣れた光景であるかのようにおばさんの一人が呟いた。

その次の瞬間、キウイの体がそのまま空へはねあがり数メートル離れた先の地面に再び突き刺さった。

幾度となく同じ事を繰り返す姿を見ていると、ふらっと一匹の猫が体制を低くして尻を左右に振ってリズムをつけていた。


 ――か、狩りが始まる?!


思った次には猫が地面に突き刺さったまま何かを探すように目を細めるキウイの元へ、その牙と爪を向けた。

とっさの判断だったのか、キウイは今までにない高さへと飛んだ。

朝日を背に受け、猫がさも不快そうな声を上げたが落下が始まったのを確認すると、近くの家壁を蹴り空に居るキウイを追った。

勝利の女神は猫に微笑んだ。

落下が始まっていたキウイに逃げるすべはなくその背を猫に押さえられ地面へ叩きつけられていた。


こう書くとまるでバトルシーンさながら!

しかし、そう表現したくなるほどの数秒の出来事だった。

猫が獲物を仕留めようと最後の牙を付きたてようとした瞬間、キウイはその巨体を生かして猫をフリほどき逃げ出した。

キウイ本来あるべき足で地面を蹴って走って逃げる姿に猫は狩人の本能を更に刺激されたのかわからないが、あっという間に視界から消え去っていった。

道路の影から小さな闘争の声。決着は数秒でついていた。

更に追いかけて道路へと顔を覗かせると、犬の散歩中だっただろう少年がその両手に傷ついたキウイを持ち、連れの犬が猫を威嚇していた。

よく見れば猫もさっきとは打って変わり土埃に毛並みが乱れていた。


どうやら狩りは最後の乱入者の勝利で終わったらしい……

本当に夢ってのは忘れてるようなモノでも、勝手につなぎ合わせて笑わせてくれました。

(笑って起きた今日の出来事)

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― 新着の感想 ―
[一言] 夢って支離滅裂なほど面白いですよね。おばさんの存在感に脱帽です。
2007/06/07 03:15 退会済み
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