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第2話 「入学式」


〜前回までのあらすじ〜

朝起きたら姉と妹が僕と同じベッドに!! 呆れながらも音は朝食作りに洗濯と主婦業をこなす。

「ほら、急いで!! じゃないと遅れちゃうよ!! さすがに初日から遅刻するわけにはいかないでしょ?」


「待ってよ!!にい〜」



あれから朝食を済ませ各自準備をして、僕たち2人は学校へと向かっている。姉さんはというと一足先に仕事へと向かった。



時間はAM8時:20分



普段ならもう少し早く家を出ているが、今日はいつもとちょっと違う。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


魔法が使われるようになり教育界にもその影響は現れた。魔法が学校の授業に取り入れられ、義務化されたのである。従って学生はそれまで学んできた一般教養に加え、魔法に関する最低限の教育(魔法の発動から制御、法律に至るまで)を受けなければならなくなった。また高校の名前も変わり、魔法を扱う学園…魔法学園が全国に創設されたのだ。


僕が通う清正せいせい学園もまたそのうちの一校である。学園のもつ高度な教育、豊富な研究設備などを理由に全国から多くの学生が集まってくる。高等機関である大学や専門機関へ毎年多くの学生を輩出しているのも魅力の一つであろう。学園には4つの学科(魔法戦闘科、魔法支援科、魔法情報科、魔法技工科)があり、生徒たちは自分にあった学科を専攻することで、より自分の技術や知識を高めることが出来るようになっている。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




今日はそんな清正学園の入学式なのだ。実は僕の妹心が、今日から同じ学園に通うことになる。僕はその2年生だ。




入学式を経験した親御さんなら分かるかもしれないがこういう朝は大抵時間通りにはいかない。忘れ物はないか、髪型は変じゃないか、写真撮ってなどと、ついつい予想外の状況に陥ってしまう。気付いたら予定時間より家を出るのが遅れてしまった、なんて事はよくある話だ。そう……まるで僕らのように。




従って、時間ギリギリの登校になってしまったのである。




「おっはよ〜!! 相変わらずあなた達は仲が良いわね。 羨ましいぐらいだわ!!」



少し早足で学園へ向かっていた僕らに、一際テンション高く声をかけてきたのは、幼なじみの 七草千夏ななくさちなつだった。近所ということもあってか千夏とは幼い頃から一緒に遊んだりしていた。もちろん今でもその仲は健在だ。彼女も僕らと同じ学園に通う2年生である。



「おはよ。朝からテンション高いね。」


「おはようございます。千夏さん。」


「はぁ〜い。2人ともおはよ。おッ!!制服似合ってんじゃん!!心ちゃんもついに高校生か〜 いや~早いもんだ。で・も……仲良く登校も良いけど時間やばいと思うよ?」



千夏にそう言われ時間を見ると……



AM8時30分



僕らの学園は45分からHRが始まる。しかも今日は入学式のため10分早く時間が設定されている。つまり35分からHRが開始ということだ。



「…やばッ!!もうこんな時間。こころ、 急ごう!!」


「フフ、2人は果たして間に合うのでしょうか? おっ先〜!!」



そう言うと千夏は手を振りながらさっさと行ってしまった。あいつは足が早いからな。



「あッ!!ちょ…って、もう見えないし。どんだけ早いんだよ。」


「にい。 私たちも急ご? まだ間に合う!」



心は隣に歩いていた僕の腕をとり、走り始めた。

こうして僕らも千夏の後を追うように学園へと向かうのだった。

「なんで??」




なんとか僕らは間に合い、それぞれの教室へと向かった。



この学園は専攻は違っても、専門科目の授業以外同じ授業を受けるため、クラスを専攻ごとに分ける事はしていない。



従って専攻が違うもの同士が同じクラスになることは何ら珍しい事ではない。 しかもクラス替えがないため2年生ともなるとクラスのみんなが顔馴染みとなる。



先程僕らをおいて先に行った幼なじみも同じクラスだ。彼女の専攻は魔法戦闘科。妹と同じである。



ではなぜ僕が疑問を感じているのか……



それは決して "専攻が違うもの同士がクラスメイト" だからではない。



そう、あれは入学式での新任の先生紹介の時だった……




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


妹の心が新入生代表として挨拶を終えると、次に新任の先生が紹介された。(新入生代表挨拶は今年度の入試トップの学生が務める)



自分は列の後ろだったため、初めその新任の先生が誰なのかよく分からなかった。



だが教頭先生からマイクを渡され一言話し始めると、なんとも聞き慣れた声が聞こえてきたのだ。




「みなさん はじめまして。立花 静と申します。私はここの卒業生でもあるため、再びこの学園で過ごせる事に喜びを隠しきれません。担当は保健医をさせて頂きます。皆さんの心と体、安心して学園生活を送れるようにしっかりとサポートさせて頂きます。これからどうぞ宜しくお願いいたします。」



♪パチ パチ パチ♪



会場から拍手とともに主に男性陣から「まじ可愛い!」「胸でか!」と小言で囁かれているなか、僕は頭の中が?でいっぱいだった。



普段の姿からは決して想像つかない程きびきびしている。だがあれは紛れもなく姉の姿だったからだ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「なんで??」



入学式が終わりクラスに戻って来ても、僕は混乱気味だ。すると千夏が声をかけてきた。



「ちょっと。あれどういう事?? なんで静さんがここにくるのよ??」


「知らないよ。 それはこっちが聞きたい…。」


「知らないって…家で何も聞かなかったの??」


「聞いてない。 じゃなきゃここまでテンパってないって。」



本当になぜ姉さんは何も言ってくれなかったのだろうか……



まさか同じ学園で、しかも教師として来るとは……






新学期早々まさかの出来事に、大きな不安と共にただただ僕の頭には?が増えていくだけだった。









ちなみに入学式が終わってから僕の携帯へ




「にい〜!!」とメールがきた。




心も僕と同じ状況だった事は言うまでもないだろう。


〜次回予告〜

新学期が始まり姉が教師として音と心の学校にやってきた!! その理由は??



いよいよ本格的に学園生活がスタート!! と思いきや転校生?? その正体やいかに!!



次回

第3話 「懐かしき人」


「やっと会えましたわね!!」

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