戦え!なろうファイター!〜日間ランキング編〜
なろうファイターの朝は、SNS巡回と爽やかな挨拶から始まる。
「なろろろろろ!」
なろうファイターの挨拶である。
なろうファイターは言葉を持たない。言葉は全て創作に費やされ、誰かとのコミュニケーションのために語彙を割く余裕がないからだ。
──しかし、例外があった。
「なんだここは。えらくしけた場所じゃねえか」
「なろろろろ!?な、なろ!?」
「なるほどな。ここが、ランキング外か。まともな言葉も持たない、か」
なろうファイターは悟る。
この男、危険だ。
よもや。
「テン、プレ!?」
「気づけるだけの力があったか。そうだ俺は、喋れるなろ。個人サイトも運営していたなろ」
なろうファイターは、言葉を、持たない。
だが、ランキング上位者は別だ。
彼らは、強い。脳みその言語野を、会話にさく余力すらある。
どちらの方が強いか、明白だろう。
なにせ、言葉が喋れるのである。比較的まともに見えるのは、どちらだろうか議論をする余地さえない。
だが、ここで疑問がふと、よぎった。ランキング上位存在がなぜ、こんなところ、に。
「少し、腕慣らしに、な………」
「なろろろ!?」
なろうファイターは、迷惑だと、鳴いた。
ここは、なろうファイターの家だからだ。勝手に侵入されている。
「そんなことを言って、いいのか?」
「なろ!?」
「俺は、PV数を操る能力を持っている」
「!」
PV数操作。
なろうファイターなら、否、文字を読む生きとし生けるものものであれば、知っている能力だ。
禁術と言ってもよい。
かつて、なろう環境を席巻していた、「能力名 以外文字数稼ぎあああああああ」と同様に、今は口に出すことすら忌避される、能力。
「俺はJava Scriptが書けるからな────」
翌日のことである。
該当の作者はアカウントをバンされた。
「なんだった、なろか…………っ!言葉が喋れるようになったなろ!?」
なろうファイターは、急いでホーム画面を確認する。赤字表記。
もしや。
「日間、入り!?も、もしや、昨日の迷惑奴がバンされたことで、ランキングの席があいて………!」
望外の喜びであった。これで、言葉をしゃべれないなろうファイターから、一歩抜きん出ることが、できた。
なろうファイター(ランキング入り)は滂沱の涙を流す。
だが────
「なろろろろろろろろろろ!」
首筋に、異世界チート釘バット(釘が錆びているお手軽破傷風セット)を突きつけられた。
「なっ、侵入者!もしや、なろのランキングを奪うために!?ま、負けないなろ!せっかく言葉が喋れるようになったなろ!このまま逃げ切ってやるなろろろろろろろろろろろろろ!!!!」
なろうファイターの戦いは終わらない。
がんばれ、なろうファイター。
一次創作は読まれないらしいぞ!




