表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/17

火炎都市

「さて、先輩!次のお宝はどこだにゃん!」


 究極の米パワーはまだ持続している。疲労感はない。むしろ、次なる戦いへの渇望が、我の心を燃え上がらせていた。

 ドローンが、ホログラムの地図を空中に投影する。


『次の目標は、エディオン新宿東口本店。そこに眠るは五つ目の鍵…』


 ドローンは、一瞬だけ言葉を区切った。


『『絶対清浄の空気清浄機』だ』


「新宿…!あのへし折れた摩天楼の街か!上等だにゃん!」


 スマホのタイマーは、残り『1時間58分』。もう、迷っている時間はない。

 我はエンジンを咆哮させ、新橋の街を飛び出した。だが、新宿へと向かう道のりは、これまでの比ではなかった。


「な…なんだ、この熱気はにゃん…!?」


 街が、燃えていた。

 キンタマキが歩いたことで破壊された地下のガス管が、至る所で引火し、大規模な火災を引き起こしていたのだ。マンホールから、ビルの亀裂から、間欠泉のように炎が噴き出し、我々の行く手を阻む。


 ドオオオオオン!


 すぐ横のビルで、大規模なガス爆発が発生した。爆風でトラックが片輪走行になり、危うく横転しかける。


「うおおおおお!リアルなボム兵のステージか、ここは!」

『まずいな、このままでは店にたどり着く前にトラックが爆発するぞ!』


 我は、もはや原始的な運転技術と、弓道で鍛えた勘だけを頼りに、炎と爆発が支配する死の迷宮を突き進む。右にハンドルを切れば炎の壁、左に切れば崩落した高速道路。一瞬の判断ミスが、即、死に繋がる。


「我は不死身だにゃん!だが、このトラックと、荷台の伝説どもはそうじゃない!死んでたまるかああああ!」


 炎の海を駆け抜け、爆風を背に受けながら、我々は奇跡的に新宿の焼け野原へとたどり着いた。

 そして、目の前に広がる光景に、我は絶句した。


 エディオン新宿東口本店は、まだ建物の形を保っていた。

 だが、その周囲は、燃え盛る炎の海によって完全に孤立していた。近づくことすら、不可能。そして、空は黒い煙と灰に覆われ、呼吸するだけで肺が焼けるように痛かった。


「クソッ…!これが、空気清浄機が眠る場所に相応しい舞台ナリか…!」


 炎の城塞と化した五つ目のダンジョンを前に、我は決意を新たに、バールを握りしめた。


「クソッ…!どうしろって言うんだ、この火の海を…!」


 目の前に広がる炎の壁。奥にあるはずのエディオン新宿東口本店は、まるで蜃気楼のように陽炎の向こうで揺らめいている。スマホに表示された残り時間は、『1時間40分』。もう、悠長な作戦を立てている暇はなかった。


『待て、前川!無謀だ!この火勢では、お前の再生能力が追い付く前に炭になるぞ!』


 KTZW先輩の制止が飛ぶ。だが、我の耳には届かない。いや、届いていても無視しただろう。


「うるさいナリ!黙って見てるにゃん!」


 我は叫んだ。


「この程度の火事、我が驚異の自己再生能力で突破してやるにゃん!時間が無いんだよ!」


 我はバールを固く握りしめ、覚悟を決める。そして、大きく息を吸い込むと、燃え盛る炎の海へと、その身を投じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ