表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/132

81話

 襲撃事件があってからさらに警備が増し、大魔法使いのアルクさんが結界を張りなおしたりと忙しくなってはいたが、あれから特に襲撃してくるものもいなかった

 襲撃犯は死んでしまったため、結局証拠は残らず、裏でだれが糸を引いているかまではつかめずじまい

 翌朝には会議が控えているため、女王様に負担をかけないように、彼女には同じくらいの年ごろと言うことで、レナとミリアが話し相手としてあてがわれている

 あの二人なら仮にもしまた襲撃が起きたとしても、十分対処できるだろう

 オークの一件以来あの二人もさらに力を付けているし、ミリアはアルクさんに師事を仰いだらしく、アルクさんに筋がいいと褒められるほど才能があるそうだ

 あの人、自信家で変な言動が多いけど、優しいし面倒見がいいから意外と人気が高い

 まあこの辺りじゃめったにお目にかかれない魔族というヒト族だし、絶世の美女でもあるからなぁ

 俺はというと、相変わらず見張りをしていた

 戦う力を持たない少女の危機だ。至らない俺だけど、見過ごせないよなやっぱ


 そのまま会議も無事に終わったようで、女王様は部屋へと戻ってきたようだ

「お疲れ様カズマさん」

「レナ。ありがとういただくよ」

 レナがカップに果実水を入れて持ってきてくれた

 それを一気に飲み干す

「それで、女王様を狙ったのは誰か分かったのか?」

「ううん・・・。女王様、怯えてた。私よりも幼いのに、ずっと命を狙われ続けるなんて」

「王兄が関わってるって話だけど」

「それが、女王様のお兄様が関わっている証拠が、王の座を奪われて恨んでる、くらいしかなくて、いっさい物的証拠も、襲撃してきた犯人からの情報もないそうなんです」

「それは彼女を狙っている者が別にいるということか?」

「私じゃそこまでわかんないですよ」

 ともかくこのまま彼女が帰るって言うのも後味が悪いな

 何とかならないだろうか?

 ・・・

 行くか、獣王国ビスティア


 無事この国では襲撃事件以外何事もなく、帰って行った女王様

 その顔は曇っていた

 家に帰った俺はすぐに荷物を用意した

「どうされたのですか旦那様?」

「どっか行くのか? 俺もついてくぜ。妻だからな」

「ああ、ちょっと隣国のビスティアにな」

「お、いいね、新婚旅行だ」

「何処で覚えたんだそれ」

「本」

 ともかく今回はファンファンとアネモネ両方を連れて行くことにした

 隣国まではそこまで危険な道のりじゃあないが、この二人がいればより安全に旅できると思う

「じゃあ二人共行こうか。ちょっとした旅行だと思えばいいから」

「新婚旅行だぜ旦那様!」

「いいですね、旅行なんて初めてです」

 そりゃまあ二人共魔物だったからなぁ

 さて、決まったならすぐ準備をして行くかな


 数時間後に準備はすみ、俺たちは獣王国へと旅立った

 この家から行くにはまず街から馬車に乗らないといけない

 この国から出たことのない俺はいまいちわかっていないが、レナに色々聞いていたおかげですんなりビスティアへの馬車に乗れた

 約三日の道のりだが、道中には魔物も一応出る

 そのため護衛の冒険者も一緒に行くんだとか

 まあビスティアに用のある冒険者が乗ってることが多いから、この街道を通る魔物程度なら簡単に倒せるらしい

 まあファンファンとアネモネがいるから問題ないだろうな


 それから三日、特に強い魔物が出ることもなく順調に進んでビスティアへと到着した


「なんじゃとぉおおお!!」

 その日わしの声がカズマの家周辺に響き渡った

「なんじゃぁ! なんじゃぁああ!! 旅行に行ってきます、じゃと!! わしを置いてか! わしを、置いてかぁあああ!!!」

 怒り狂ったが、直後に冷静に戻った

 そうじゃ、行き先は書いておるんじゃし、行けばいいんじゃ。それに丁度わしも周辺国でアレの情報を得ようと思っておったところじゃ、丁度良い丁度良い

 む、本当じゃぞ! 行こうかなぁって思ってたんじゃ。情報がないことには対策のしようも、問題解決のしようもないからの

 わしはムフフと笑い、翼を生やすとカズマの匂いを辿りながら追うことにした

 まあビスティアなら近い

 数分で到着するじゃろう

 向こうで待っておくか

 翼を開き、一気にはるか上空まで飛び上がると、ビスティア方向へと一気に飛んだ

 わし、これでももっともっと早く飛べるし、なんなら空間魔法ですぐ移動できるんじゃが、久しぶりに優雅に飛びたかったのよ

 この前は戦いのために飛んでおったから、そこまで風景は楽しめんかったからな

 空の旅を楽しみ、カズマとの旅行・・・あいや違う違う、情報収集じゃ、間違えた

 情報収集のついでにカズマと行動するだけじゃ

 これを機にわしの美貌でカズマを魅了しておいてもいいかのぉ

 帰ってきたら結婚して一緒に暮らすわけじゃし

 しばらく飛んでおると、馬車が見えた

 ふむ、探知魔法にカズマの魔力が引っかかった

 あれに乗っておるな

 ファンファンもアネモネも・・・。ん? 馬車の中に面白い気配があるのぉ

 危険はなさそうじゃから放ったおいてもよいか

 フハハハ、向こうについてカズマに会った時、どんな顔をするかのぉ

 楽しみで仕方がないわい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ