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129話

 さて、そろそろ準備もできた

 みんなよく頑張ってくれたよ

 十分に世界をかき乱したことで、ようやく僕のこの力を使うことができる

 新しい世界を始めよう

 僕は世界を超えて再び戻って来た

「さあ始めよう。僕達のニューワールドオーダーを」

 手を広げ、力を世界へ

 世界は、一変する


 何か違和感のようなものを感じた

 でもそれはすぐに止み、何事もない日常が戻って来た

「旦那様、早く食べようぜ」

「ふふ、ご主人様はご飯が大好きですね」

 二人がいつものように席に着き、料理を前に待ちあぐねている

「ほれ、お前も席につかんか」

「あ、ああ・・・。ファンファン、アネモネ、アルク、いやルカ?」

「なんじゃわしの顔をじろじろ見おって。ふふん、わしがあまりにも美人で見惚れておったか」

「あ、ダメだぞルカ! 旦那様は俺のもんだ!」

「うるさい! わしのほうがカズマと長く暮らしておったんじゃ! わしが正妻でお前は二番じゃ!」

「ぐぬぅうう!」

「このぉおお!」

 二人のいつも通りの喧嘩がなんとも微笑ましい

 アネモネもニコニコとそのやり取りを見ている

 なんて幸せな空間なのだろう

 家族に囲まれて、何気ない日々が続く

 俺の理想のはずなのに、なぜ違和感がずっと俺の中にある?

 その違和感を振り払い、俺は三人と一緒に食事を取り始めた


「てい! そりゃあ! ハァハァ、良いですか皆さん。ここまでの動きで相手をほんろうしつつ、着実に敵を倒すのです。ではやってみてください」

「「はい!」」

 私は今騎士団長まで上り詰めた

 異例の速さで天才剣士なんて言われてるけど、それはカズマさんのおかげかな

 家に帰れば愛しの旦那様であるカズマさんが待っている

 だから頑張れる

 今年入った新人たちは筋が良くて、人々を守る頑強な盾になるはず

 騎士は人々の護り手だもんね

 そう言えばミリアやフィルは今どうしてるのかな?

 ミリアは王国魔術師長になったし、フィルは槍術の技術を世界中で教えて回ってる

「まあ、魔物の被害以外は平和だからなぁ、その内会いに行こうっと」

 そのまま私は騎士団の指導を再開した


 ふふ、綺麗な景色ですわ

 わたくしは魔法で吹き飛ばした魔物の群れを背にしながら、ひとり夕焼けを見ていましたの

 今ではわたくしも賢者の一人

 これもアルク様の指導の賜物ですわ

 再び迫りくる魔物の群れを一掃して、わたくしは帰路につきましたわ


 すごい、すごいぞこれは!

 私は古い遺跡を訪ねていた

 騎士団にはいたものの、元々なりたかったものは考古学者だ

 今は騎士団をやめ、磨き上げた腕を買われ冒険者となって、世界中の遺跡を巡っていた

 まだ知らぬ未知の技術があったとされる古代

 文明はさほど変わっていないものの、失われたとされる古代魔法にはとんでもないものが多かった

 これはミリアが喜ぶだろうな

 ミリアは賢者となっていて、あまり会えないが、数ヵ月前に結婚してもっと大切な存在になった

 騎士団の新人時代から気になっていて、その思いはどんどん強くなっていった

 まあ態度には現さなかったけど

 ともかく猛アタックしてよかった


 ああ、ラナ、なんて可愛いんだ

 ラナは私の膝のうえでこっくりこっくりと転寝をしている

 その表情の可愛いことと言ったら

 昔の怪我が原因で子供のできなくなった私にとって、ラナは宝物だ

 この子の母親になれて本当によかった


 魔王や魔人との和解も進み、エルフの里にも魔人たちが遊びに来るようになった

 魔王はまだ本調子ではないためロロ殿が時折連れて来る程度だが、幸せそうにしている

 魔人が悪ではないことは世界で認知され、今や彼らの力は人々に喜ばれた

 仮初の命だが、リアラス様もまだまだこの世界のために死んでられないと、尽力されている

 この平和がいつまでもいつまでもつづくよう、私達も頑張らなければ

「フェナンちゃん、おやつよー」

 母様が呼んでいる

 行かなければ


 私達とヒト族の和平が結ばれた

 私達の悲願が達成された

 それもこれもカズマさんやリアラスのおかげね

 未だに私の足は動かないけれど、ロロララリリのおかげで移動に難はない

 彼女たち、ケルベロス形態になると私を乗せられるから

 私達は今どこに行こうとも人々に人気で、サインまで求められる始末

 ここまで人気になるなんて思いもしなかったけれど、これが私の思い描いた未来なのかも


 ああ、あれは悪い夢だったんだわ

 お父様もお母様も、そしてお兄様も、昔と変わらない優しい人たち

 ジューオンは平和で、次期国王のお兄様は今市政の勉強中

 私もお兄様の役に立つために一緒にお勉強

「そうだよ。よくできたね。やっぱりラフィナは賢いな。うん、賢くてカワイイから、もしかしてうちのラフィナは最強なのでは?」

「あはは、お兄様言いすぎですよ」

 優しいお兄様

 私はこの家族のもとに生まれて幸せ


 ふと、記憶が流れ込んできた

 ああこれは、多分母親に抱かれた記憶だ

 姉と共に母に抱かれ、ゆりかごの用に揺られながら眠る

 我が母は偉大なる者で、世界の守護を担っていた?

 段々と思い出す

 私は・・・、わしは

 まだ暗闇からは抜け出せないが、歩き続けることに意味がある気がした

 じゃからあるく

 歩く

 アルク

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