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106話

 人型はまさしく神々しいという表現がふさわしい姿へと至った

「ふむ、あまり自重はせなんだが、そうか、お前たちは気づいておったか、知っておったか」

「イザナミ、お前は引っ込んでろ。私が話す」

「ふむ、イザナギか・・・。まぁよい。今はカズマを守る者として手を取り合おうぞ」

「毎日千人を殺すと言っていたお前も彼にはご執心というわけか」

「ああそうじゃ。ここまで居心地のいい斎王は久方ぶり、いや、初めてかもしれぬ」

 イザナミと呼ばれた女神?はそのまま俺の中に戻って行った

「あ、え?」

 訳も分からず自分の体を見る

「混乱しているのも無理はない」

 優しい笑顔で俺に話しかける男性

 イザナミ、日本神話に出る冥界の女神の名前だ

 そのイザナミにあの口ぶり、そして彼女にイザナギと呼ばれていた

 ということは彼は、主神?

 神の中の神、イザナギノミコト、なのか?

「混乱はしているけど理解はした、みたいな顔だね。そう、私はイザナギノミコト。日ノ本の主神である!」

 そんな彼の横に突然また光輝く人が現れた

 あまりにも眩しい何者か

「お父様、ふざけていないで説明を」

「おおそうだなアマテラス」

「ア、 アマテラス・・・?」

 主神たちが今、俺の目の前に集まっている?

「カズマさん、あの、あなたが大変驚いているのは分かりますが、この方たちは一体」

「ああ、君はこの世界の聖女と呼ばれる存在だったね。魂の輪廻から何故はずれ、この世界にとどまっているのかは置いておいておくとして、そうだな、簡単に言えば私は別世界の神である」

「え、か、神様!? そそそそんな、私はとんだご無礼を」

「ははは良い良い。私達が勝手に来ただけだからな。さて、カズマよ。私達のことを説明する前にお前には一つ説明しなければならないことがあるだろう」

「そ、それは」

「話してくださいカズマさん。貴方を知り、異界の神を知ることで、この世界を救う手立てが見えてくるはずなのです」

「分かった」

 俺は、この世界に生まれる前の話をゆっくりと語った

 そして語り終え、この場のヒトビトを見る

「転生者。昔はたくさんいたのですが、女神が力を失って以来転生者も転移者もいなくなりました。まさかあなたがそうだとは」

「昔は、たくさんいた?」

「ええ、勇者ランス以前はそれこそそこら中にいましたよ。そして私達魔人を殺したのも、異世界人や転生者が多かった・・・」

 確かに、俺の元居た世界の者が異世界に来れば、魔王は確実に悪だって刷り込まれてるだろうな

 いや俺が死ぬ前は魔王にもいいやつがいるって設定のものも結構あったけど

 そこで俺は気づいた

 勇者ランスがいたのは数千年も前のことだ

 その頃に創作物はない

 もしかして、時間の進み方が違うのか?

「察しがいいねカズマ。地球とこの世界にはかなりの時間のずれがあるのだよ」

「なるほど、でもこの世界の女神様が力を失っているのなら、なぜ俺はここに」

「それは私達がこの世界に魂を導いたからかな。この世界の神力の割合は地球と似通ってるからね。干渉がしやすいんだ」

「でもなぜ干渉を?」

「それは、カズマ。お前の力をはぐくむため」

「俺の力?」

「お前は私達八百万の神々と相性がいい。かつていた斎王よりもだ」

「斎王?」

「王の血筋から選ばれる神の依り代のことだ。お前はその血筋でもないにかかわらず、私達神々全ての力を全力で発揮できる魂を持っているのだ」

「俺の魂が、そんな」

「驚くのも無理はないが、お前にはいずれ私達神の末席に加わってもらいたいのだ」

 イザナギ様の言葉に混乱し、俺は何も言えないで黙り込んでしまった

「まぁ時間はある。いずれ神となる道も考えて欲しい。それとだ。これはイザナギから預かっていた。これを、そこの魔王とやら、お前に渡しておく」

 イザナギ様は懐から何やら取り出した

「これは!」

 魔王が受け取ったのは、三匹の小さな魔物? いや、赤ん坊か?

 下半身が蜘蛛の子、ネズミのような子、植物のような子だ

「ミンティ、チーパック、ロイド。三人とも・・・。良かった。本当に」

 泣き出す魔王

「たまたま魂を拾えたから元に戻しておいた。感謝せい。わらわにかかればこの程度どうということはないがな。だそうだ。イザナミはまったく。カズマ、お前のご機嫌取りにでもと魔王の配下を甦らせたのだろう」

「そ、そんなことが」

「まあ死者の王で自分も死者だからね彼女は」

 この夫婦、神話ではあれほどのことがあったのに、現在はそこまで仲は悪くはないのか

 とりあえず、神になれなんて言われたけど俺は一旦そのことは忘れ、自分の出来ることをすることにした

「それでリアラス様、魔王オレガ。俺は、どうすればいい?」

「協力してくれるのですか!?」

「イザナギ様、俺はあなた達神々の力が使えるってことでいいんですよね?」

「ああ、お前は自分の生活すきるというものがなぜああまで隔絶された力を持っていたのか理解していないのか。我ら神々の力を使っていたからだよ。つまりだ。お前はすでに我らの力を使う基盤が出来上がっている。存分に振るえ。我らは協力を惜しまない」

「ありがとうございます! なら、やることは一つだ。その黒幕、闇勇者セイヴを討ちとろう!」

 魔王、聖女とうなづきあい、俺はセイヴを敵として動き出すことにした

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