表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/132

10話

 翌日、今度はレナではなくミリアがやって来た

 彼女もオーク肉を持ってきてくれたところを見るに、ひとりでオークを狩ったんだろうな

「カズマさんのお料理やお菓子をいただいてからすごく調子がいいんですの! あなたの作るお食事には神が宿ってますわ!」

「そんな大げさな」

「あ、今日はお料理をいただきに来たのではないんですの。実はオークの数がまた増えてきていますの」

「オークの数が? しかしリーダーだったオークヒーローは既にいないんじゃ?」

「ええ、此度の大発生はそのオークヒーローによるものであると騎士団は結論付けていますの。しかし未だ数を減らさないことから推測するに」

「オークヒーローは一体じゃなかったってことかな?」

「ええ、あり得ないことですが、その線は捨てきれません」

 騎士団に聞いた話だと、オークヒーローなんて100年に一度現れるかどうかという特殊個体

 こんなことは過去の歴史でもなかったらしい

「ともかく気を付けてくださいまし。一応騎士団が巡回してはいますが、万全というわけではございませんので」

「強い騎士団さんが巡回してくれているなら安心だよ。俺、滅茶苦茶弱いから」

「そんなことはありませんわよ。あなたはこうしてわたくしたちの気力を高めてくださっています。それもまた強さ。あなたがわたくしたちをもてなしてくれて、送り出してくれているからわたくしたちも頑張れるのですわ」

「そう言ってもらえると、なんだか報われてる気がするよ。あ、そうだ、次に来るときにはミリアにプレゼントを用意するからさ、楽しみにしといてよ」

「まぁ、そんな気を使ってくれなくてもよろしいですのに。でも、楽しみにしておきますわね」

 ミリアは可愛い笑みを浮かべ、俺がお土産に持たせたクッキーを手に手をフリフリ家を出て行った


 そして翌日、今度はフィルがやって来た

「元気ですかカズマさん」

「ああ、おかげさまで。フィルたちが見回りをしてくれてるからこの辺りでオークは見ないよ」

「それはよかったです。しかし油断してはいけません。もしもの時はすぐ逃げてくださいね」

「そうさせてもらうよ」

「それでですね。今日来たのは、罠の作成をお願いするためなのですよ」

「罠の?」

「はい、現在跋扈するオークを生け捕りにして、何か通常種と変化がないか調べるのです」

「そう言えばミリアが異常とか言ってたな。分かった。次の時までには作っておくよ」

「助かります。報酬はお金と魔石どちらがいいですか?」

「お金は使う機械がないからなぁ。魔石の方がいいかな」

「分かりました。ところでそれは今何をやっているのですか?」

 フィルの目が輝いている

 本当に彼は研究好きなんだな

「これは剣に魔石を組み込んで、魔物の力が引き出せないか実験しているんだ」

「それって、エルフやドワーフでも未だ研究し続けている技術では?」

「ああ、まあこの研究はそんなに長い間研究されてきたわけじゃあないだろ? かれらはただ組み込んでいるだけだから、もしかしたら魔石を加工してはめ込むってことはやってないんじゃないかって思ってね」

「あ、え? 魔石を、加工?」

「ああ、ちょっと固いけどほら、なんとかなってるだろ」

 フィルは俺が加工した魔石をしげしげと見つめる

「これをほら、この剣の穴にはめ込んで・・・。ちょっと外に出てくれないか?」

「あ、ああはい」

 剣を持って二人で外に出て、家の裏にある的のある場所に向かう

 土地を切り開いて大きな訓練場のようになった場所

 そこで俺は剣を構えた

「いくぞ、トリプルスラッシュ!」

 剣の魔石が光り、ゴブリンのスキルが発動した

 だが発動したところで魔石が砕けて、三連撃は二連撃にとどまった

「ああまただめか。やっぱりもう少し加工して魔力の通りを良くするか? いや、魔石をもう少し小さく・・・」

 俺が考え込んでいる間、フィルは壊れた魔石をじっと見ていた

「いいものを見せてもらいました。今日は帰るので、オークのこと、本当に気を付けてくださいね」

「わかったよ。あ、そうだ。今度フィルにも武器を作るよ。次に来た時に渡すから」

「家々そんなの良いんですよ。私はあなたが何かを作っているところを見せてもらえればそれで」

「いいんだよ。俺が勝手に作って勝手に上げるんだから」

「そうですか・・・。ではお言葉に甘えさせていただきます」

 フィルは軽く頭を下げて帰って行った


 あり得ないことが目の前で起こっていた

 彼は一体どこまで常識を捻じ曲げてくれるんでしょうね

 魔石を加工?

 魔力がまだ詰まっている魔石を加工なんて

 魔石は魔力が溜まっている間は非常に硬く、普通の技術で加工なんてできないはず

 それを彼は、鉄製の道具だけであんなにも精密に加工していました

 それに魔石から力を引き出す技術

 まさかあそこまで引き出して使えるようにしているなんて思いもよりませんでした

 確かに魔石は壊れましたが、ゴブリンの魔石であそこまでの威力を引き出すなんて考えられません

 エルフやドワーフでもあの域に達している者はいないでしょう

 武具業界に革命が起きますよ確実に!

 ただ、彼の技術を模倣できる者はいないでしょう

 あれは彼の力あってのものですからね

 それだけに、彼がトラブルに巻き込まれないように気を付けなければなりませんね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ