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門扉

 会場は双葉館という施設で10時必着。余裕を持って家を出たのに地下鉄の車両トラブルで予定が狂ってしまった。

 やっと地下鉄に乗れたところで、小林建設から届いた封筒の中身をもう一度確認した。まずはストラップのついた名前入りのIDカード。これを首にかけるとのことだ。会場の地図はいいとして、もう一枚の紙にはこのように書かれている。


“チャーリーシーンはオスカー賞を受賞した

マイクにはエコーがかかっている

インドには11月に行く”


 他に説明はない。おそらく本戦で必要になる情報なのだろう。


 地下鉄が駅に着き、僕は急いで双葉館へと走った。元々は昔の女優が所有していたらしいが、今は小林建設が管理しているということだろうか。古さを感じないモダンなたたずまいにしばし目を奪われた。幸いまだ9時半、余裕を持って到着できたことに胸を撫で下ろす。

 門扉もんぴの前に来た時、そこに電子ロックがかかっていることに気がついた。どうやらIDカードがキーとなっているようだ。カードを通してみると、ディスプレイに英字のキーボードが表示されパスワードの入力を求められた。つまりあのメッセージがヒントなのだろう。それなら当たりはついている。

 チャーリーのC

 オスカーのO

 マイクのM

 エコーのE

 インドのI

 11月、ノベンバーのN

 COMEIN だろう。ぼくはそう入力してエンターキーに指を動かした。その時だった。


「それ違うよ」


 突然背後から声を掛けられて慌てて振り返ると、知らない女子高生が立っていた。

「信くんって言うんだ。じゃあ、あっくんでいいかな」その女の子は僕のIDカードを覗きこみそう言った。

「君は?」

「私は松島 緋奈子ひなこ。君と同じこのゲームの参加者よ。ヒナって呼んで」そう言って同じIDカードを僕に見せた。

「違うってのは?」

「私も同じこと考えて入れてみたんだけど違ったの。それでね3回間違えたら失格になっちゃうんだって。で、私その後も間違えちゃって後がないの。だから協力しない?今のであなたはミスを防げた、協力してくれるなら私が2回目に間違えたやつも教えるよ。実質あなたはライフ5ってことよ。どう?悪くないでしょ?」

 僕はそのままエンターキーをタッチした。すると彼女の言った通り、それが間違いであると言うメッセージと、あと2回と表示された。

「ちょっと!何してんの!?人の話聞いてた?」

「ごめん、ちょっと気になって」

 言葉を濁したが、彼女が同じ出場者である以上、僕を妨害する目的で嘘を言っている可能性があることを確かめずにいられなかった。

「もう!この際だから教えてあげる。全部小文字で入れてみたけどダメだったの。ねぇなんだと思う?」

「COMEIN自体は合っていると思う。あと小文字と大文字のコンビネーションなら、単語の頭を大文字にしてComeInだろうか」

 入力してみたが、またしてもエラーが表示された。

「どうするの?後1回よ」


 しばし僕は考える。

 チャーリーとオスカーは固有名詞だから大文字

 ここでのマイクとエコーは普通名詞だから小文字

 インドは国名、ノベンバーは月名だから大文字


「COmeIN」僕はそのように入力しエンターキーをタッチした。


「ガチャ」ロックが外れた。僕は扉を開けた。時計の針は9時56分を指している。危なかった。

「多分各自入力しないといけないと思うから一旦閉めるよ」

 そう言って僕は門扉を閉めた。

「あっくん、ちょっと待ってて!」

「ヒナさん、早くしないと時間切れになるよ」

「わかってるってば。あとヒナでいいからね」


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