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2日目

 7時にセットしたアラームが鳴り僕は目を覚ました。朝の身支度を済ませて朝食会場である待合室へと向かう。途中ヒナから、おはようと背中を押された。

「どう、あっくん?何かわかった?」

「いい線までは行っていると思うんだけど、あと一歩届かないんだ。5本のポールまでなら特定できるんだけど、どうしてもあと1本を特定する方法がわからない。もしかしたら根本的なところから違っているのかも」

「そうなのね、でもまあとりあえず食べよ!食べないと頭回らないし」

「それもそうだね」

 僕たちは待合室に入った。

 いつもの席に座ってセルフ形式の朝食をとる。いつも一緒にいる東さんと梢さん、離れて座る大樹さんを、見るともなしに見ていたら天啓とも言うべき閃きが頭に浮かんだ。

全員食事を終えたタイミングで八木さんと中山さんが入ってきた。

「課題は9時より行います。さて、現段階でチャレンジをご希望の方は見えますか?」八木が尋ねる。

「私にやらせてください」そう言って手を上げたのは高塚だった。

「中山さん、パートナー役をお願いします」

「かしこまりました」

 意外だった。てっきり一番手は東さんだと思っていた。もしかして、この高塚さんはとんだ伏兵なのだろうか。

「他の人のチャレンジは見学できるのかしら?」梢が尋ねる。

「可能です」中山が答える。

「それって失敗した時に他の人たちにヒントを与えることになるから先手が不利になるんじゃないですか?」

「この課題は成功者が出た時点で終了となりますので、先手不利ということにはなりません。時間内に正解者が出ない場合は全員失格とさせていただきます」ヒナの疑問に中山が答えた。

「よし、あっくん9時まであと30分頑張ろ」

「うん」


「時間になりましたので高塚様会議室前までお越しください。見学をご希望の方もどうぞ」八木のアナウンスに従い、三瀦を除く全員が会議室へと向かった。

「それでは中山へ指示をお願いします」八木が高塚にそう促した。

「はい、メモに書いてきました」

「拝見します。読み上げてもよろしいですか?」

「構いません」


高塚メモ

まず、旗がない状態は他の旗があがっていることと何も違いがない。つまり旗がない状態は第八の国旗があがっているとみなせる。便宜上それをEUの国旗とします。

次に旗の序列を決めます。アルファベット順として

America(米) < British(英) < Canada(加) < EU(欧) < France(仏) < Germany(独) < Italy(伊) < Japan(日)

ポイントは、カナダはイギリスより大きくフランスより小さいという大小関係です。

例えば初期状態が

①J②B③C④E⑤I⑥A

であるなら、余りはFGです。対象のポールの旗をここに加えて、序列順に並べます。それを小中大とします。サイコロが1ならFが小、Gが中、Jが大です。

そして対象のポールは他のポールの旗と重複させます。

①と②を重複させるのを①−②とするなら

①−②は①を小に

①−③は①を中に

①−④は①を大にします。

サイコロが2以降の時も同様に

②−③、②−④、②−⑤

③−④、③−⑤、③−⑥

④−⑤、④−⑥

⑤−⑥、⑤−①

⑥−①、⑥−②

とします。

なので、サイコロが4以上で大にする時は他のパターンと重複してしまいますので、その場合は特定できません。

ですが、この方法で5/6の確率で当てる事ができます。


 中山はメモを読み終えた所で一呼吸おき、高塚に視線を移した。

「残念ながら不正解です」

「やっぱりそうですか。でも、悔いはありません。考え尽くしましたから」高塚は、はにかみながら答えた。そして八木を見て言った。

「私、高塚 文子は失格です。『毛をもって馬をそうす』ことはやっぱり無理でした」

「あなたもお気づきでしたか」八木はそう答えた。

「ええ、とても楽しめました。八木さん、お怪我お大事に。では皆様失礼します」高塚は会釈し、きびすを返した。

 梢さんの口が何かを言いかけそうになったのを見て僕は咄嗟とっさに声をあげた。


「全てわかりました」


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