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1話

 あたしはある日に気がついたら、乙ゲーの悪役令嬢に転生していた。


 確か、タイトルは「王国の危機〜フォルド王国物語Ⅱ〜」になるか。Ⅰの「華やかなる貴公子達」の時代から、二十年後になる。あたしは名前をイザベラ・カウエラという。同級生にシェイラ・ラルフローレンがいるが。あのⅠの悪役令嬢のシェリア・フィーラ様の娘だ。

 ちなみに、主人公もといヒロインはデフォルト名をウェルシア・ローゼットという。年齢はあたし達と同じで学園の2年生で17歳だ。

 攻略対象はシェイラのいとこのアレックス・フィーラ公爵子息にユークリッド・フォルド王太子、ユーノス・スクワラン公爵子息、リチャード・ウィリアムス伯爵子息の4人だったか。確か、アレックスはシェイラの伯父君のトーマス様とローザ様の間に生まれた。つまりはシェリア様の甥なわけで。んで、ユークリッド王太子はシェイラの婚約者である。かつてのシェリア様の婚約者であったエリック陛下とエイダ王妃との間に生まれた第一王子でもあるが。エイダ王妃は、元はエイダ・アルタ侯爵息女といった。エイダ侯爵の確か、次女であったか。

 エイダ王妃はこのユークリッド王太子の他に、第二王子殿下であるヨラン王子を生んでいた。第一王女殿下のマーガレット王女もだ。このお二方は学園に在籍していて、ヨラン王子が高等部の一年生でマーガレット王女は中等部の二年生になる。

 ユーノスはこの国の宰相であるスクワラン公爵の長男だ。ちなみに、フォルド王国四大公爵家がフィーラ公爵にスクワラン公爵、ラルフローレン公爵、セリエス公爵となる。ユーノスは後に、時期宰相となるのが約束されていた。

 最後にリチャードは、エリック陛下の護衛騎士だったジュリアス・ウィリアムス騎士団長の息子だ。そう、先代の団長は陛下の剣術の師匠だったらしい。リチャードのお祖父様でもある。確か、ジュリアス団長の弟のオズワルド様は前作の攻略対象だった。現在は騎士を引退して、エルーン伯爵家に婿入りしたらしい。んで、奥方のスーザン様と二人で切り盛りしているとか。

 リチャードは侯爵子息でもある。てまあ、説明はこれくらいにしてと。


 あたしは色々と書きつけていた手を止めた。紙を見下ろす。疲れた目を解すために、眉間を指で揉んだ。あー、後でツボ押しもしないとね。こんな事を言っているから、老けているとか周りから言われんのよ。ボヤキながら、椅子から立ち上がる。自分で学生寮にある浴室に向かう。シャワーを浴びるためだ。着替えやタオルを持って、浴室に行ったのだった。


 シャワーを浴びたら、寝巻用のネグリジェに着替える。あたし、これからどうしよう。婚約者もいないしな。良いなと思う異性もいないし。うーむ、アレックスなんかは無理だわ。攻略対象とは関わりたくないのよね。詰んだわ、あたしの将来は。

 確か、前世のあたしの記憶はゲームや自分については覚えていた。まずは享年が三十○歳の喪女OLだった事や悪役令嬢転生モノが大好きだった事、名前は加藤衣織(かとういおり)である事。生まれが現代日本であった事までは良い。ゲームでドハマリしたのが、「フォルド王国物語Ⅱ〜王国の危機〜」であった事は割と重要か。ブツブツとまた、考えながらもベッドに入った。眠りについたのだった。


 翌朝、あたしは明け方近くに目が覚めた。メイドのネルとノラが起こしに来る。今日も学園に登校するために身支度をした。ネルが寝室のカーテンを開けながら言う。


「……イザベラ様、今日もシェイラ様と一緒に入口で待ち合わせだとおっしゃっていましたね。なら、早く歯磨きなどを済ませましょう」


「うーん、わかった」


「後、ノラが制服を出して来ますから。今の内に急いでくださいませ!」


 てきぱきと言われて、あたしは伸びをした。ネルが歯磨き粉や歯ブラシ、タオルを手渡す。受け取って、洗面所に向かう。簡単にコップに水を入れると口をゆすいだ。何度かして、歯ブラシに粉をつける。ガシガシと歯磨きを始めた。ざざっと磨いてから、またゆすぐ。何度かしたら、後始末をする。洗顔も済ませてタオルで水気を拭いた。歯ブラシの水気も切って洗面所を後にする。


 ノラが制服を持って来ていた。それをもそもそと着ると、靴下なども履く。鏡台に向かうとネルがお化粧水や美容液を簡単に塗り込んでくれた。軽く眉を描いてもらい、口紅を塗る。メイクはそれだけだ。髪も微香性の香油を塗り込み、ブラシで梳いた()。身支度は完了だ。壁にある掛け時計を見たら、六時を過ぎていた。カバンに必要な物を入れる。後は不備がないか、チェックした。ないと分かると寮の部屋を出る事にする。

 ネルとノラが手を振って見送ってくれた。あたしは小さく手を振り返した。ドアを開けて、出たのだった。

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