第二十四話『不穏』
「いやぁ〜、ホントにありがとうございました!疲労困憊の中、依頼手伝って貰っちゃって」
謎の魔物を倒したはいいものの自分の依頼が全く終わってなかったので、ザックス達にコボルド退治を手伝ってもらったぜ!
「まぁ、俺たちもお前がいなかったら死んでたかもしれねぇし、お互い様ってことだ。」
「そっすね!……それにしても何なんでしょうかね、コイツ。」
俺は先程戦っていた魔物の死体に目を向ける。見た目的には鳥類に該当するだろうが、あまりにも見た目が異形だ。顔とか歪んでんだよなぁ。
「似たような魔物も見た事ありませんしね……しかもかなりの強さでしたし。」
「ともかく1度帰ってギルドに報告するのが得策であろう。我らがここに残っても出来ることはなさそうであるからな。」
「それもそうだな。一旦帰るとするか!報告書出したら今日は依頼達成の祝いに飲みまくるぞぉ!!」
なんだか賑やかだなぁ。パーティーって感じがして楽しそうだよなぁ。俺は未だに人型の仲間が居ない現状をどうにかしないとなぁ。とりあえずこの後は宿屋に帰って寝よっかな。
「スグルさんももちろん来ますよね!」
「えっ、ぁっ、え?」
「今回の功労者であるからな。」
「一緒にこの後飲みに行こうぜ!」
「……………………は、はい…………
『くふふっ♪陰キャ仕草全開だね。』
「うるっせぇよぉ…………」
勢いに押し切られてしまった……。あれ断るのって無理じゃない?
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「……ぅぅっ……頭が痛ぇ……」
昨日の記憶が朧気なんだが……確かギルド行って報酬貰って、酒場で飲んで……そっから俺、どうやって帰ってきたんだ?
「ダメだ……思い出せん……」
『……うぅ〜っ、頭痛い……』
「なんでお前まで頭痛を訴えてんだよ。」
『君たちが美味しそうにお酒飲んでるから、感化されてつい飲んじゃったんだよ……うぁぁ……頭痛いっ。』
「昨日は随分はっちゃけてたね。酷かったよだいぶ。」
「おっ、シズク。昨日何があったか覚えてるか?」
「……だいぶ悲惨な目に遭ってたね。……詳しくは聞かない方がいいよ。」
え?何があったの!?そんな言うの渋るようなことがあったってこと?めっちゃ怖いんだけど!?
『私も断片的に覚えてるけど……結構酷かったね。」
「えぇ……?そんなにやばいことが起きてたのか……全然記憶にねぇや。とりあえずギルドに行かないとだし、支度しよっと。」
気になるけど遅刻するとザックスたちに迷惑かけちゃうからな。それにあのときのことをザックスたちに聞けば済む話だしな。そういうわけで着替えや洗顔などを済ませ、早速ギルドへと向かっていくのだった。
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……一応、ギルドにてザックスたちと合流したのだが……なんかさっきから三人とも俺止めを合わせようとしないんだが。まじで何があった?
「…あの。」
俺が話しかけると体がビクッと跳ね、更に雰囲気が重々しくなっていく。
「なんでさっきから目を合わせないんですか?」
「い、いや……べ、別にそんなことはねぇよ?」
「声に信憑性の欠けらも無いんですけど。それで昨日何があったんです?」
「……す、スグルさんの……その……」
なんかマリーさんがあたふたしてるんだけど、そんなに言いづらいことなの?しかもザックスは汗だくだし。
「勿体ぶらずに言ってくださいよ。どんな事でも受け止めますから。」
「……スグルの唇を奪ったんだ、ザックスが。」
「…………」
『いやぁ……なかなかにディープな接吻だったよね。周りにいた人たち引いてたもん。』
「………………」
「本当にすまんっ!!!」
「……………………」
「す、スグルさんっ?」
チ───(´-ω-`)───ン
「し、死んでる……」
「おいスグル!戻ってこい!!」
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どうやら俺はあまりのショックから意識を失っていたようだ。いやはや気絶したのは前の人生も含めて初めてだよクソッ。
「…………はぁ、最悪だ……おっさんとキスなんて……しかもディープ……」
「いや、ほんとすまん。」
「ザックス殿は酒を飲むとだる絡みを始めるからなぁ。」
「……まぁ、許しますよ。これ以上怒っても意味ないし、とりあえず今日は何するんですか?」
「例の件でギルドマスターに呼び出されたので、報告しに行く感じです。」
「ここのギルマスってどんな人なんすか?」
「変わり者というかなんというか……変な女だな。」
「誰が変な女だって?ザックス。」
ザックスの後ろにいきなり音もなく、謎の青髪、長髪のやけに露出が多い女性が現れた。
「おわぁっ!?いきなり出てくんな!!びっくりするだろうが!!」
「歳上に対する口の利き方がなっていないなぁ。そんなんだからいつまで経っても彼女ができないんだぞ?」
「【ナスカ】さん、ご無沙汰してます!相変わらず綺麗ですね!」
「マリーちゃんもいつも通り可愛いねぇ♪今度お姉さんと一緒にお茶しない?」
「やめとけやめとけ。こんな陰険ババアと絡んだら頭がおかしくなるぞ。」
「ほぅ?サンドバッグにして欲しいとは随分嬉しい要望だね。」
「言ってねぇよ。ついに耳までイカれたか?」
「「ハハハハハハハハッ!!よしぶっ殺す!!」」
「……なんだこりゃ」
いきなり目の前で喧嘩が勃発しそうなんだが。
「ナスカさん今日は他にも人がいるんで一旦抑えて貰えませんか?ザックスさんも急に喧嘩ふっかけないでください。」
「むぅ、マリーちゃんのお願いならしょうがないか。感謝するんだねザックス。」
「お前こそマリーに感謝するんだな。負け犬のレッテル貼られずに済んでよ。」
「……あの〜」
「あぁ、すまんね。このバカと一緒にいるとつい喧嘩になってしまうんだ。それじゃあさっさと本題に入ろうか。」
「あっ、はい。」
「君と会うのは初めてだから自己紹介をしよう。私の名前は【ナスカ】このラーパル支部のギルドのトップに立つものだ。」
「あっ、自分は傑っていいます。Cランク冒険者です。」
「君はコボルトを討伐する依頼の最中に例の魔物に遭遇したらしいね。その時の詳しい状況を教えてほしいな。」
「えっーと、まずメナス草原に行ってそれから━━━━━」
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「━━━━━━━━って感じです。」
「……ふむ、概ね報告書通りだね。私も調査員と一緒にその魔物の死体を見たけど、あんな魔物は初めて見たよ。」
やっぱり知らないか。まぁ、この世界の女神が知らん時点でそりゃそうなんだけど。
「どうやら各地でもこの魔物のように今まで見た事ないような新種の魔物が目撃されているらしい。」
世界規模で起こってる感じか、なんか黒幕とかが裏で操ってそうな雰囲気出てきたねぇ!!
「他のとこでもあんな化け物が出てるってのか?」
「そう、それが原因で死傷者も増えている。何しろ特殊な能力を兼ね備えているそうだ。」
「我らが戦った魔物もカラクリが分からなければ確実にやられていたであろうからな。」
「いつ新種の魔物が現れるか分からない状況だ。君たちも十分注意するように」
「分かりました!」
「それじゃあ、もう報告は終わりでいいよ。あとこれは報告してくれた分の報酬ね。」
「まじっすか!あざっす!」
ナスカさんが確認したいことは終わったようなので、俺たちは報酬を受け取って帰ることにした。
「それにしてもなんでザックスさんとナスカさんって仲が悪いんだ?」
「それはだな、ザックスとナスカさんは実は姉弟なんだ。」
「……えぇっ!?」
姉弟だとぉ!?……あっ、でも確かに少し雰囲気が似てるような気がしないでもない。
「ちなみに仲が悪いわけじゃなく、あれは姉弟間のじゃれ合いというやつである。」
「よく言うじゃないですか喧嘩する程仲がいいって。ですよねザックスさん!」
「うるせぇ!俺はあいつと仲良くなんてない!」
あ〜、素直になれない感じの関係か〜。いいねぇ!そういうの好きだよ!
「そういえばスグル殿。いつも連れてるスライムはどこに行ったのであるか?」
え?何言ってんだよぉ〜。シズクなら俺の後ろに着いてきて………………あれ?
「……あっ、ギルドにシズク置いてきちゃった。やっべ!」
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あの4人を帰したあと執務室で私は1人物思いにふけっていた。
「……新種の魔物に近頃の魔物の増加。何かしら関係があるんだろうか。」
何者かが裏で手を引いている可能性……だとして一体何が目的なんだ?世界征服?大量虐殺?……何にせよ、面倒なことに変わりは無い。
「にしてもあのバカはいつも無茶をする。……こっちの気も知らず。」
私にとってはたった一人の家族だから、危険な目に遭わないで欲しいんだけどな。
「はぁ……とりあえず仕事するか。ギルドマスターになってから書類仕事ばかりで疲れるなぁ……」
「なら休ませてあげる♪永久に。」
「ッ!?」
突如この部屋に声が響き渡る。私は本能的に椅子から飛び去る。しかしどうやら遅かったらしい。
「ぐぅ……っ!?」
本来私の首があった位置に刃が振り下ろされる。即回避したため首がはねられることは無かったが代わりに足首が持っていかれた。
「あれっ、避けられちゃった。1発で仕留めるつもりだったんだけどなぁ〜♪」
まるでおもちゃで遊ぶ子供かのように無邪気な声とともに何も無い空間から少女が現れた。
「君はッ……何者かな?」
「今から死にゆくものに名乗る必要ってあるのかな?」
「あぁ……十分にあるよ。なぜなら私はまだ死なないからねっ……」
「アハハッ!おもしろ〜い♪じゃあお姉さんが生き残れたら教えてあげる♪」
「えっ、なんかやばい事になってるんだけど。」
平和に一日が終わるかと思いきや、突然現れた謎の少女!足を切られたナスカ!そして状況を理解していないシズク!果たしてどういった結末を迎えるのだろうか!
次回へ続く




