04F 愛と青春のケモノたち 4
次の日曜日、私は赤井敬五と緑川達郎と一緒に病院を訪れ、赤井三矢の病室に足を運んだ。三矢には栄養剤の点滴が繋がれ酸素吸入器がつけられ、ベッドサイドモニタのバイタルが静かに時の流れを刻んでいる。
「本当にお前がどうにかできるのか? 医者は待つしかないとしか言わなかったぜ」
断言はできないがなんとかなるだろう。魔子に乱れは見られないから、あとは何かきっかけがあればいい。遊茶小枝子のときと同じように。
私は眠り続ける赤井三矢に近づき眼を開けてみたり喉に手をやって脈動を確かめてみたりした。それ自体に深い意味はない。三矢に触れる機会が欲しかっただけだ。
私は赤井と緑川を促し、談話室に移動した。
三矢さんの意識が戻ったとして、この後はどうする? 麻里さんはまだ音楽に未練はあるのか?
「たらればの話はしたくねえ。いや……俺は二人が幸せになってくれれば十分だ」
「未練か。まあ、あるだろうよ。でも今の姉貴には……」
訥々とそんな話をしながら小一時間ほどして、本体の私に反応があった。
目が覚めたようだな。行ってみるか?
「えっ、何で?」「何で分かるんだよ!」
看護師に廊下を走るのを怒られながら病室に急ぐ。戸を開けるとぼんやりと天井を見ていた三矢がこちらを向いた。
「……敬五、なのか? その、大阪のおばちゃん、みたいな虎のダサT……やっぱり敬伍だな?」
か細い声で途切れ途切れにだが、そう言って三矢は赤井をからかって笑った。
「う、うるせえよ! 心配かけといてはじめにそれかよ! もともと三兄ちゃんの着てたやつじゃねえか!」
叫びながら赤井は泣いていた。うれし泣きだよな?




