04B 本当はコワクナイ錬金術 合成偽薬JST~Just like starting over, today 3
上倉晴子にはJSTのタブレットを50錠とパイプ20本を用意した。1ヶ月分ならとりあえずこんなもんだろう。パイプは不意に禁断症状が出たときや口寂しいときのタバコの代用だ。ガッコウで咎められてもお菓子だから問題はないが人前で堂々と吸うのはやめておけ。
それとJSTは食欲を刺激するからそこは注意が必要だ。過剰摂取は太るもとだぞ。用法用量を守って正しくお使い下さいというやつだ。
「うん、分かった。でもいいの? あたしにしかメリットがないじゃない」
いやそんなことはない。これも丁字信伍を追い込む布石だからな。
晴子がドラッグと手を切ればその分丁字に金が落ちなくなる。そして晴子が立ち直れば他の被害者もJSTに興味を持つだろう。人前で吸うなと言ったが目立ちたがりの晴子にそんなことできるはずがない。逆にいい広告塔になってくれるだろう(おっと、これは内緒だ)。
そしてその被害者もJSTで治療できれば丁字をさらに追い込むことができる。その流通も晴子を前に出せば私も隠れることができて丁度いい。
JSTを手渡すときに晴子は私の手を包むように握りそのまま体を預けてきた。
「ありがとう。本当は……ずっとこうしたかったの。あのときからずっと……」
ここでだけのことにしておいてくれ。オトナに見られて噂が広まったら大事だ。上倉源一が聞いたら私を撃ち殺そうとするかもな。
「ねえ零一、今度のテストでもう一度勝負よ。そうね、勝てなかったらその次も」
何でそうなる? だとしたら何を賭けるんだ。
「もう! あたしに決まってるじゃないの。受けてくれるでしょ? うふふっ」
それはどっちにしろつき合うってことになるんじゃないのか? あっ、もしかして晴子は最初からそのつもりだったのか?




