048 かつて同志だった彼女のこと 5
「あのとき、少し前に龍斗が鍾子に告白したって聞いたのよ。それで確かめたら鍾子もそうだって言うから……だったらこれはチャンスとそう思ったの」
上倉晴子は村瀬鍾子と私が絶交する場を作り、その後にショックを受けた私を救ってあげるつもりだったらしい。
いやご都合主義もいいところだろう。本当なら私は死んでいたはずだった。それぐらいの絶望だったんだぞ。人の気も知らないで。
「でも休みが明けたら急に零一がかっこよくなっちゃって、予定が狂ったっていうか……本当に何があったの? 生まれ変わったみたいな」
なかなか鋭いな。半分正解だ。人間じゃ無くなったとまでは思わないだろうけどな。
「鍾子のことだけど……か、かえって吹っ切れたでしょ? はっ、もしかしてかっこよくなったのもあたしと釣り合うように……ひっ!」
寝言は寝て言えよ。ああ、ちょっと【威圧】してしまったか。頼むから汚すなよ。
しかし鍾子の手のひら返しとも取れる行動は確かに引っかかるものがある。私の方から距離を取っていたのはその通りだが、告白されたからとはいえ神崎龍斗にあっさり乗り換えたのも不自然だ。彼女にも何か理由があってのことなのか? それとも私が鍾子がまだ同志だという感情を捨てきれないでいるだけなのか?
会って直接訊けばいい? それが出来るならクソ雑魚オタクなんて呼ばれていない。




