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007 クソ雑魚オタクのバラッド 7
それに追い打ちをかけるように、ぼくは夏休み前の放課後、隣のクラスの委員長をつとめる村瀬鍾子とその取り巻きから空き教室に呼び出しを食らった。
取り巻きの上倉晴子から「クソ雑魚オタクのせいで鍾子も迷惑してんのよ! 謝りなさいよ!」と怒鳴られたが、噂はぼくが流したわけじゃない。ぼくと鍾子が抱き合ってキスしていたなんて不良どもが面白半分に言いふらしているだけだ。
鍾子はぼくにとって幼なじみという以上に特別な存在だった。それは母さんが庇って死んだ女の子が彼女だったからだ。
最初は謝罪を素直に受け取ることができなかったが、ぼくも次第に彼女を許していつしかほのかな恋心を抱くようになった。厳しい境遇に何とか耐えていたのは鍾子が寄り添ってくれていたからだ。
しかし2年生になるとぼくは鍾子と距離を置くようになる。いじめが日に日にひどくなっていく中で、彼女をそれに巻き込みたくなかった。
ぼくの態度を感じ取って彼女も次第に疎遠になっていった。それでもどこかで繋がっていると信じていたくて、ぼくは知らずに鍾子のことを目で追っていたのだろう。




