045 かつて同志だった彼女のこと 2
喪中のこともあり明けた正月を私は部屋に閉じこもり家から出ることなく過ごした。それを幸いに思ってか上倉晴子たちは私と距離を置いた。もし謝ったりすれば自分が悪いと認めることになる。そう親に言いくるめられていたのもあっただろう。
その一方で村瀬鍾子は毎日のように私を訪ねてくるようになった。連絡のプリントを届けながら、今日はガッコウで何があったとかどこの犬が子犬を生んだとか私に話しかけてくれた。
しかし私は彼女を無視し続けた。頭では許すべきだと分かっていてもかたくなに背を向けて過ごした時間のせいで言葉が出てこなかった。
そんなある日、プリントを出そうとしたランドセルから一緒に中味が滑り落ちた。それをみて私は固まってしまう。鍾子の教科書は破られノートは落書きだらけだった。
鍾子はガッコウで「人殺し」「死神」「目を合わすと呪われる」などと言われていじめを受けていたのだった。その中には見慣れた晴子の字もあった。彼女もかばうどころか自分が原因だったことを隠すためいじめる側に回ったのだと知って愕然とした。
私は鍾子が毎日会いに来てくれた理由の一端を知る。贖罪の気持ちもあっただろうが、彼女には他に話す相手も居場所のあてもなかったのだ。




