043 鴨女(かもめ)が泣いた日 7
それなのに岩見久慈子は責任逃れに私が上倉晴子を唆して問題行動をさせたと言い出した。上倉家も娘が問題児だというのを隠すためにその嘘に乗っかった。
それを皮切りにしてガッコウで何か物が壊されたり給食費が盗まれたりすると問題児である私が真っ先に疑われるようになった。そしてその悪名を消す機会はとうとうこなかった。
それでもその後岩見久慈子がやらかして僻地に飛ばされたのがせめてもの救いか。天罰覿面、因果応報以外の何ものでもないがな。
岩見久慈子は6年生の担任になった年の卒業式で生徒の名前を呼び忘れ、式の後でこっそり卒業証書を渡そうとしてPTAの猛抗議を食らったのだ。
そして晴子も以降は問題児の私を躾けて監督する役目を買って出るふりをして都合の悪いことを押しつけるようになった。絶対君主だった当時の晴子にとって私は家来以下、サンドバックというだけの奴隷だった。そう思っていたんだがな。
「いつも零一を悪者にしていたのはやりすぎたとは思ってるけど、パパにそうしろと言われれば逆らえなかった。あたしの性格も直そうと思っても直らなかったし……。で、でも零一を好きだったのは本当。ずっとそばにいてほしかった。だから……」
それを信じるにしても他にやりようはあったんじゃないのか? 依存するようになれば離れられなくなるとでも思っていたのか? まあ実際に自分が親やオトナにそう洗脳されているからな。
「いつか気持ちを伝えなきゃとは思ってたの。でも零一のママがあんなことになって、鍾子が零一とつき合うようになったせいで……結局それもできなくなった」
ああ、村瀬鍾子の件のもともとの原因は晴子だからな。




