041 鴨女(かもめ)が泣いた日 5
「今ではもう緊張したときや気分を落ち着かせるのに一日に何本も吸うようになって、そのためのお金も……もう限界だったの」
そこまで言って上倉晴子は言葉を詰まらせた。これは家の金にも手を出しているかもな。だからと言って私から取っていいってことにはならないだろう。晴子には私が母さんの保険金で悠々と暮らしているように見えたのか? そんな金なら少しぐらい貢がせても罰は当たらないとでも思ったのか。
「そんなつもりじゃ! 確かに最初はそうだったけど……零一ならまたあたしを守ってくれるって思ったのよ」
ん? またって前にそんなことしていたか?
「覚えてない? 遠足のときの……」
んん? もしかしてあのことか? ずいぶん昔だな……
それは小学3年生の遠足のときのことだ。隣町の史跡や染色工場とかを見学する予定だった。
昼はモンキーセンターで弁当の予定だったが、そこに屋台も出ていておやつを買うことができた。チョコバナナとかな。
その中にトルコアイスの店もあって晴子もそこに並んでいたのだが、店員がアイスを渡すふりをして渡さないパフォーマンスを念入りにやりすぎたせいで、人にからかわれ馴れていない晴子はブチ切れて急に走り出していなくなってしまったのだ。




